○仁比聡平君

日本共産党の仁比聡平でございます。
今日は、安倍政権が建設業人手不足の緊急対策として、外国人技能実習制度の活用あるいは拡大をしようとしているという大問題についてお尋ねをしたいと思います。
三月の十七日のこの委員会で、私、技能実習制度を人手不足解消の方策として例えば今の三年を五年に延長するなどという類いのやり方は、技能移転による国際貢献という本来の建前からして全くの筋違いではないかと大臣にお尋ねをしまして、大臣から、法務省としてはどういう対応が適切なのか、具体的なニーズも踏まえながら、産業や治安や労働市場への影響など、様々なことを考えて検討をきちっと進めていきたいと考えておりますという趣旨の御答弁があったかと思います。
その後、四月の四日に関係閣僚会議のここの問題での取りまとめが行われまして、お手元に資料としてお配りしていると思うんですが、そこでまず、具体的ニーズという点について国土交通省にお尋ねしたいと思うんですね。
四月の九日に衆議院の厚生労働委員会で、我が党高橋千鶴子議員の質問に対して、国土交通省が、受入れが必要な人数の目標などについて、六年間で延べ七万人程度を想定しているところでございますという御答弁があります。
二〇二〇年のオリンピックまでのその六年間で延べ七万人程度の外国人建設労働者の受入れを想定するというのはどういうことなのか。つまり、建設労働者がどれだけ不足していて、国内の建設労働者を拡大していく、増やしていくという取組は別途行うんだと思いますけれども、国内での建設労働者を増やしてもこれだけなお不足するから、だから外国人でこれだけ充てる必要があるというような論理になるんだと思うんですけれども、どういう数字とどういう根拠でこの六年間で延べ七万人を想定するという、そういう考え方になるのか、お聞かせください。

○政府参考人(吉田光市君)
お答え申し上げます。
今回の建設分野における外国人材の活用に関する緊急措置でございますが、復興事業の更なる加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けまして、増大する建設需要に的確に対応するため、まずは国内人材の確保に最大限努めることを基本とした上で、大会の成功に万全を期することが重要との観点から、即戦力となる外国人材を時限で受け入れるものでございます。先般、四月の関係閣僚会議で取りまとめられたものでございます。
足下の、国内の建設技能労働者の状況でございますけれども、この数年は被災地の復興事業の本格化等によりまして、一旦離職した方々が再び建設業界の方に戻りつつございます。平成二十二年の三百三十一万人を底といたしまして、平成二十五年には三百三十八万人まで回復しているところでございます。まずは、これらの国内人材の確保に最大限努めることとしてございます。
お尋ねのどのくらいの外国人材の活用を考えているかということでございますけれども、したがいまして、あらかじめ受入れの目標数といったようなものを定めるものではございませんけれども、対象者となる技能実習生の現在の在留数ですとか過去の修了者の人数を勘案いたしまして、六年間で延べ七万人程度の活用を想定しているということでございます。

○仁比聡平君
今の、対象者である技能実習生の現在の在留数や過去の修了者の人数ということがファクターとして挙げられたんですけれども、その数字そのものも延べ七万人などというものには見合わないのではないかという議論が当然あるわけです。
今日ちょっとそこをする余裕がありませんが、いずれにしても、今のその二つの要素というのは、これは給源の問題なんですよね。どれだけの対象とする技能実習生がいるのかということを言っているだけであって、国内の建設労働者を、戻ってきてもらおう、あるいは若手に本当に魅力ある産業として建設業を発展させていこうというこの努力がどれだけ実を結ぶか。今の大震災からの復興やあるいはオリンピックなどのそうした建設需要に、どう日本の若手、後継者、あるいはその下での技能の継承ということ、図っていくのか、その政策がどれだけ実を結ぶのかという、こことの見合いというのは今も述べられていないわけです。
お手元の取りまとめの資料によりますと、二枚目の基本的考え方の二というところで、構造的要因による減少と一時的な需要増に必要な技能労働者(イメージ)というグラフがありまして、御覧のとおり、年度は書いてあるけれども、人数などの数字は記載されていないんですね。ですから、グラフと呼ぶこともちょっと差し障りがある思いがするんですが、上のピンク色で示されている図形、ここの部分が恐らく六年間で延べ七万人程度という人数のことをおっしゃっているんだと思うんです。一方で、下の方に破線で仕切られている青色のゾーンあるいは薄緑色のゾーンは、国内の建設労働者の例えば離職者の再入職だとか、あるいは若手、女性、そうした入職の拡大などによってこれから必要な技能労働者に増えていってほしいという、そこの数字なんだと思うんですよ。つまり、差引きの関係じゃないですか。建設需要がこれだけ拡大していくと、現に人手不足があると。となれば、国内のそうした人材によって賄える部分がどれだけあって、それでもここまでしか届かないから、あるいは見込まれるから、だから延べ七万人という数字が出てくるはずなんですよね。
国土交通省としては、どれだけ不足をして、そのうち、どうして七万人を外国人で充てなければならないと考えているのか。このグラフまで示しているんですからお答えになって当然だと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(吉田光市君)
今後の建設投資需要全体を予測するですとか、また労働者数の予測、構造的な人口減少等の中で全体を予測することはなかなか難しい部分もあるわけでございますが、一つ、今回の試算推計に当たりまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会、これに向けまして、当然、大会の関連施設ですとか民間投資等による一時的な建設需要の増加が見込まれるわけでございます。これについて、六年間で合計で十五万人程度の技能労働者数の確保が必要なのではないかといったような試算をしているところでございます。
このうち、したがいまして、八万人ほどは国内の人材で、例えば離れていった方々に戻っていただくとか、そういった努力をした上で、七万人程度について外国人材の活用を図るといったようなことを想定しているということでございます。

○仁比聡平君
今の数字は初めて述べられた数字なんですね。延べ十五万人が必要である、国内建設労働者の確保策を頑張っても、つまり八万人にとどまるんだという推計をされているということなんですが、その根拠は一体何なのかと。
もう一枚資料をお配りしていますけれども、国土交通省のお作りになっている建設業就業者の現状についての資料です。御覧のとおり、ピークの平成九年から右肩下がりになっているんですが、特に不足とされている建設業就業者全体でいいますと、ピークから百八十六万人が減っている。技能労働者、鉄筋だとかあるいは型枠、土工など、こうしたいわゆる職人さんたちが百十七万人減っていると。
私は、もちろん高齢になって引退されたという方々もいらっしゃるとは思いますが、この間の建設産業の処遇の低さあるいは劣悪さ、特に賃金の低賃金構造、この下で離職を余儀なくされた方々がたくさんいらっしゃると思うんです。
皆さんの御地元でもそうかと思いますけれども、例えば私の地元でも、月にせいぜい二回か三回か現場の声が掛かるぐらいで、あとは仕事がないという思いで、本当に腕に職を持っているのに、腕はあるのに仕事ができずに悔しい思いをしてこられた建設業の皆さんや、特に後継者たるべき皆さんがいっぱいいらっしゃいました。その中で、コンビニのバイトをした方がまだ生活が安定するといったふうに、建設業で働くことそのものが魅力を失ってきたことがこの間のこうした推移をもたらしているのではないかと思うんですよ。その下で、技能継承も困難になる、災害復旧だとかあるいは老朽化対策など地域に必要な力が損なわれていくという現実があって、そこに大震災、そしてオリンピックと、これが今言われている人手不足ということなんじゃないかと思うんですよね。
だったらば、大震災からの復興あるいはオリンピックで建設需要が大きなものが来るというんだったらば、必要だということであるならば、若手、あるいは女性も含めて、建設業に働ける人たち、とりわけ、この間離職を余儀なくされた人たちに帰ってきてもらう、そのための待遇改善を徹底して行う、それが本筋であって、その本筋を本気になって挑戦すれば私は八万人程度にしかならないとは到底思わないんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(吉田光市君)
委員御指摘のとおり、この十数年、長引く建設投資の減少が続く中で、仕事がなく賃金が払えないといったような要因から、多くの職人さん、技能労働者が建設業の現場から離れていったわけでございます。このこと等によりまして、大変、今担い手の問題が深刻化しているというふうに認識してございます。
この数年は被災地の復興事業の本格化等によりまして、一旦離職した方々が再び戻りつつあるわけでございますけれども、ピーク時である平成九年と比較いたしますと、委員御指摘のとおり、百二十万人ほど技能労働者が減少しているという大変深刻な状況だと受け止めてございます。
これらの人手不足の問題を解消するためには、まず技能労働者の適切な賃金水準の確保など処遇改善に努めることが必要であるというふうに考えてございます。このため、昨年の四月と本年二月に公共工事の設計労務単価を大幅に引き上げたところでございます。また、加えまして、建設業の場合には社会保険の未加入といったような問題もあるわけでございます。こういった加入促進の問題、これらにも取り組んでいるところでございます。
今後とも、建設産業の担い手である技能労働者の処遇の改善にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○仁比聡平君
例えば、今お話のあった公共工事の設計労務単価の引上げというのは、私たちも強く求めてまいりましたし、実際、国土交通大臣も先頭に、この引き上げられた設計労務単価が現実に働く建設労働者の賃上げにつながるようにということで努力を今されているところだと思うんですよ。
ただ、現実には、単価は引き上げられたはずなのに賃金は上がっていないということが全国にあるわけで、これを引き上げていけば、例えば建設業界が目標としている技能労働者については年収六百万円の達成をということだって、現実に見えてくる数字だと思うんですね。年収六百万円という、そういう水準が建設産業で働けば見えてくるということになれば、私、たくさんの若手や女性の皆さんも入ってくると思いますよ。そこをまずやるのが本筋だと。それをやり切るなら、これによって充てることのできる国内の建設労働者というのは、八万人には私とどまらないと思うんです。
その是非はどんな御認識なのか分かりませんけれども、そうしてこそ建設産業における技能をしっかりと若手に継承していく、今危機的と言われているその技能の継承を果たすことができるし、それが建設労働者やその御家族の所得ともなって地域に循環するということで、経済対策としても私はそれが一番ふさわしいと思うんですけれども、いかがですか。

○政府参考人(吉田光市君)
建設業の人手不足の問題でございますけれども、まずは一旦離職をした方々に戻ってもらうということが重要であると思います。
一方で、これまで建設業の現場を支えていただいたシニアの方々、団塊の世代の方々が、ちょうど六十五歳前後を迎えるに当たって第一線を退きつつあるといったような構造的な問題もございます。こういった高齢者の方々にもしっかり踏ん張っていただくというようなこともあろうかと思います。また、若手、女性の方々に入っていただくような取組も進めていきたいというふうに考えているところでございます。
こういったもろもろの対策に最大限努めることにしておるわけでございますけれども、一方で、今後我が国全体として生産年齢人口が減少していくと、そういった厳しい事態も予想される中で、オリンピック・パラリンピックの大会の成功に万全を期すといったような観点から、外国人材を時限で受け入れることとした今回の措置があるというふうに受け止めているところであります。国内の人材確保対策についてはしっかりと当然のこととして取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○仁比聡平君
今のような国土交通省のお話なんですけれども、法務入管当局に伺いますが、今、国土交通省がおっしゃっている六年間でおよそ七万人、延べ七万人の受入れというのは、これは入管当局として責任を持っている数字なんでしょうか。

○政府参考人(榊原一夫君)
委員御指摘の数値につきましては、国土交通省におかれまして、対象となる技能実習生の在留数や過去の修了者の人数から六年間で受入れが可能と想定される延べ人数を割り出されたものと承知しております。
こういった人数について、入れるとか入れないとかという形で責任を持って数字を出しているものではないと考えております。

○仁比聡平君
入管当局からしてみれば、そのようなニーズが仮に国土交通省のおっしゃるとおりにあるとして、一人一人の外国人労働者が在留資格の申請をしてくる、その審査を行うということ、それから入国後、その一人一人の外国人労働者の在留管理をどのような形で行うのかというのは、これは国土交通省ではなくて入管当局の責任と仕事なわけですよね。
大臣、取りまとめには関係閣僚会議のお一人としてもちろん入っておられると思うんですけれども、この取りまとめの中を見ると、今私が申し上げている具体的なニーズについての数字の記載はないように思うんですが、国土交通省のおっしゃっているおよそ七万人というこの数字は、この閣僚会議の取りまとめとして目標ないし想定として掲げられているわけですか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
先ほど入管局長が御答弁いたしましたように、国土交通省でこういう確かに算定の中で六年間で七万人という数字を出されたのは私どもも聞いて承知しておりますが、これは今までの対象となる技能実習生の在留数であるとか過去の修了者の人数から、一応受入れの対象となり得るのはこのぐらいだろうと想定されたものだというふうに考えております。
だけど、これはあくまで受入れ対象として可能な延べ人数を想定したものであって、労働者の需給状況やあるいは現実に受け入れる外国人の人数等は変動し得るものだと考えておりまして、この取りまとめの中でも受入れの目標数を定めたというものではないというふうに認識しております。

○仁比聡平君
建設関係の業界紙などを見ますと、この四月の四日の取りまとめの以降、こうしたやり方というのが、建設業が今挙げて取り組もうとしている担い手の中長期的な確保、育成の取組を阻害するのではないのかという声が上がり始めています。例えば、ある大手ゼネコンのトップの方は、建設業が外国人技能労働者の受入れを拡大している間に、担い手となる若年者確保で他産業に負けてしまうんじゃないかとか、あるいは受入れ拡大が本当に業界にとっていいのかを考える必要があるという専門工事業団体のトップの方もあるわけですよね。
こうした問題認識の下で、日本建設業連合会が四月に提言を出しておられますけれども、やっぱり、長年にわたる厳しい経営環境の中で悪化した技能労働者の処遇の抜本的改善が不可欠なのであると。
ゼネコンのトップの皆さんが集まっておられる提言を私が紹介するというのは、やっぱり今、日本の建設業をめぐる状況がどれだけ危機であり、かつこの解決が、ラストチャンスという言葉もありますけれども、今問われているかということだと思うんですよね。そうした下で、この取りまとめの中で示されている受入れの制度、仕組みについて、私は、これがこのまま制度化できるとはちょっと思えない。
入管当局に伺いますけれども、緊急措置の概要①というところにあるように、特定活動を大臣告示で増やすというわけですね。その考え方として、即戦力の確保を念頭に置き、建設分野の技能実習修了者について、技能実習に引き続き国内に在留している、あるいは技能実習を修了して一旦本国に帰国した後に再入国をするという者に対して、雇用関係の下で建設業務に従事することができる、そういう特定活動の資格をつくるというわけです。この即戦力かどうかというのは入管での審査で明らかにできますか。技能実習の修了者というのは、これは分かるかもしれませんが、技能実習を修了していれば即戦力なんでしょうか。いかがです。

○政府参考人(榊原一夫君)
本件の緊急措置におきましては、復興事業の一層の加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて一時的に増大が見込まれる建設需要に的確に対応するための人材の確保を目的としており、即戦力となる外国人材として、建設分野での技能実習を修了した外国人を対象とすることとされております。
そういった観点から、過去に建設分野における技能実習を修了している事実については、当局で保管する個人情報等で確認が可能と考えております。

○仁比聡平君
いや、今お答えになっていないんですけれども。
例えば、確かに建設分野で技能実習を受け入れている企業があります。ですが、例えば全国建設労働組合総連合、全建総連の役員さんに伺いますと、実習生は言葉が余り通じない上に、現場はクレーンなどの騒音の中での作業になるわけですから、危ないと言ったときにその声が届かない、指揮命令がよく聞こえない。日本人でも転落などの事故がある中で、鉄骨だとか鉄筋、型枠、そうした躯体の作業は危険性が高いので、この生産の要のところにはすぐに働かせることができない、だから主力にならない、政府方針には現実性がないという声があります。
曲げだとか切断だとか溶接の作業を工場内で行うという研修はやってもらっていても、現場にそんなにたくさん即戦力という技能実習生がいるわけでは私はないと思うし、まして約七万人にはならないと思いますが、少なくとも技能実習を修了したから即戦力とはならないんじゃないですか。

○政府参考人(榊原一夫君)
採用される企業の方で、そういった技能実習生修了者につきまして、三年間の実習により安全面での日本語での理解ができるなど、そういった観点での判断をされて即戦力などを判断されるものと考えております。

○仁比聡平君
いや、結局、入管の審査ではそこは分からないから、雇用契約で受入れ企業がそこは判断するでしょうというお話になるんですが、入管でそのことが確認できるのは、結局、契約書ぐらいの書面なんですよね。だったら実態はどうなるのかと。
もう一点、新たな特別の監理体制をつくるというのが措置の概要②のところにあります。ここで、優良な監理団体とか優良な受入れ企業というふうにどうも国土交通省が設計していきますということのようなんですけれども、その中身は右下のところに小さい字で書いてあって、過去五年間不正行為などがないということと、協議会への加入、あるいは技能実習生を上回る報酬を確保するというぐらいしか示されていないわけですよ。過去五年間不正行為などがあれば、初めから入国はできないわけで、だから、付け加わる優良さというのはこの協議会への加入程度の話なのか。この優良というのは一体、国土交通省、どういうことなんですか。

○政府参考人(吉田光市君)
今回の緊急措置におきましては、技能実習制度自体について適正化が求められているといったようなことも踏まえまして、現行の技能実習制度を上回る監理体制を整備することとしてございます。その内容といたしまして、優良な監理団体や受入れ企業に限定することとしているわけでございますが、今御指摘がございましたように、過去五年間に不正行為や処分歴がないこと、また、監理団体にあっては、これに加えまして、関係者から成る協議会に加入することなどを求めることとしてございます。また、これに加えまして、元請企業による受入れ企業への指導ですとか、建設業許可部局によります受入れ企業への立入検査等の仕組みも検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
現在、具体的な要件など、緊急措置の実施に伴い構築する新しい監理体制の内容につきまして関係省と調整を進めているところでございます。

○仁比聡平君
そう言うけれども、来年四月に受入れを始めたいなんて言いながら、今のような検討状況だと。加えて、建設業界からも先ほど紹介したような声が上がっていると。そうなってくると、これで何かすぐに制度化できるというみたいなことにはならないと思うんですよね。
もう一点だけ聞いておきます。今度のこの制度設計においては、技能実習制度とは全く違って、自発的な転職、つまり、入った受入れ企業といろいろな問題があったときにほかの受入れ企業に自発的に外国人が転職できるということを想定していると思うんですよね。そうすると、外国人技能実習生OBの一種の労働市場ができるということになります。どこにどんな条件で入るのか、次行った転職先がちゃんと本当に労働条件守られるのか、そうした市場の適正さというのは、これはどこがどんなふうに監理するんですか。これまでの労働だったら職安ということになると思いますけれども、いや、一体どうなるんでしょう、国交省。

○政府参考人(吉田光市君)
今回の緊急措置につきましては、委員御指摘のとおり、外国人材が日本で建設業務に従事することを可能とするものでございますので、殊更に移動の制限を加えることを想定していないわけでございまして、したがいまして、適切な監理体制ですとか労働安全衛生の確保といったような観点から特段問題がないと考えられるような場合には受入れ企業を変わることを可能とするように、今現在関係省庁と調整を進めているところでございます。

○仁比聡平君
私は、この研修制度以来、建前は技能移転だと、けれども、実際には低賃金単純労働力を受け入れる手段としてこの技能実習制度が使われてきたじゃないかと繰り返し指摘をしてきました。その中で、例えば、特に団体監理型において、長時間労働や最賃違反、強制貯金やパスポートの取上げ、そうした権利侵害の下で自殺や過労死、失踪と、そうした深刻な事態が起こってきたからこそ、二〇〇九年の改正で監理団体による適正な監理ということを軸にした改正が行われたわけですよね。なのに、これまでもなかったような、今のようなお話のようなスキームを、法律の改正さえなしに大臣の告示だけでやっていいのかと。これ、実際に導入したときに、例えば入国した技能労働者が転職をして、そのうち、よく分からなくなった、行方不明になったとか、あるいは現場で深刻な労災が起きたとかいうようなときにどう責任取るのか。そうした事態が起こるようなスキームは絶対につくってはならないと思います。
本当だったら答弁いただきたいところですが、時間過ぎましたので、私の質問はこれにとどめておきたいと思います。ありがとうございました。