○仁比聡平君
私は、日本共産党を代表して、今回の児童ポルノ法改正案には反対の立場から討論を行います。
児童ポルノは児童に対する最悪の性虐待、性的搾取であり、政府を先頭に社会全体がその根絶のため断固たる姿勢を示し、対策を強める必要があることは明白であります。その製造過程は無論のこと、インターネット社会において画像の流出は被害児童を著しく傷つけ苦しめ続けるものだからです。所持の禁止規定を置き、社会全体にその違法性を広く宣言することは適切だと考えます。
しかしながら、本法案による単純所持の処罰化条項が、規制目的を達するために必要最小限のものと言えるか、その妥当性には疑問を持たざるを得ません。いわゆる三号ポルノの規定は、本法案で一定の明確化を試みられたものの、依然として不明確さを残しています。その単純所持を処罰することは恣意的な捜査を拡大するおそれが大きく、処罰する必要のないものにまで広範に捜査の網を掛けることが否定できないものです。個人の私的領域にまで捜査機関が踏み込み、冤罪を生むことも懸念されるからです。
インターネット上の児童ポルノ画像のほとんどは単純所持を刑罰で禁止している欧米諸国から流出しているとの調査があり、それらの国々での処罰化は必ずしも効果的な歯止めとなっているとは言えません。
今必要なことは、インターネット上への流出など、提供目的の行為を徹底して摘発すること、流出や被害実態の適切な把握と被害に遭った児童の手厚い保護です。警察による摘発と被害児童保護の連携を強化することを始め、政府の対策充実を求めるものです。
本法の保護法益は実在する児童の自由と人格であり、この観点から、今後、法の名称についても、ポルノから被害実態をより適切に表す児童性虐待描写物などを検討し、その規定も、わいせつ性や主観的要素を構成要件とするのではなく、児童への被害の重大性を評価する必要があります。
また、今後とも、表現物に対象を拡大することはあってはならないことを指摘し、反対討論を終わります。