○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

 イラク戦争に当たって、政府は国民多数の反対を押し切って自衛隊を派兵いたしました、二〇〇三年十二月のことですが。航空自衛隊は、二〇〇四年三月から、多国籍軍との密接な連携の下、C130H輸送機によるバグダッド空港への輸送を開始いたしました。政府はその空輸の実績について、当初、医療機器を輸送した一件だけを除いて墨塗りにしましたが、政権交代後公開されました。

 そこで、防衛省に伺います。公開された空輸実績からすれば、全期間を通じて空自が輸送した米兵は何人か、全輸送人員に占める比率はどれだけですか。

○国務大臣(小野寺五典君) まず冒頭、政権交代後というお話がありましたが、これはそうではありませんで、イラクにおける航空自衛隊の空輸の任務が終わった後に速やかに全て公開したということであります。

 今委員が御指摘ありました、イラク派遣当時の航空自衛隊が平成十六年三月から平成二十年十二月までの派遣期間中にイラク特措法に基づき輸送した米軍兵士は合計二万三千六百九名でありまして、全輸送人員の五一%を占めております。

○仁比聡平君 空輸人員の半分以上が米兵です。私が数えましたら、サマワから陸自が撤退した二〇〇六年七月以降は米兵は六三・二%に上るんですね。

 空自は物資も輸送しております。そのうち、拳銃、小銃、機関銃などの武器は延べ何丁運んだのか。また、輸送物資総量のうち軍事物資の量と占める割合はどれだけですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 週間空輸実績によれば、人員とともに輸送された米軍を含む多国籍軍及び自衛隊の拳銃、小銃及び機関銃は延べ一万六千五百十二丁であります。そのうち、自衛隊の要員とともに輸送された拳銃及び小銃は延べ一万五百九十二丁であります。また、輸送した米軍を含む多国籍軍及び自衛隊の物資は四百六十二トンでありまして、全輸送物資の六九%を占めています。

○仁比聡平君 兵士の多くが拳銃、小銃、機関銃などを携行し、輸送貨物も七割が軍事物資で、これ見ますと、米軍の航空機の部品やエンジンまで運んでいるわけですね。

 アメリカは、大量破壊兵器の脅威を言い募って国際法違反のイラク戦争に踏み切りました。しかし、大量破壊兵器はありませんでした。当時、政府は非戦闘地域での活動だと言い張りましたが、実際は、イラク全土で掃討作戦が行われ、バグダッドは戦場でありました。そこに武装米兵や銃器、軍事物資を運んだ、まさに米軍の武力行使と一体の後方支援ではありませんか。

 総理は、今もこれが正しかったと言うんでしょうか。総理。

○国務大臣(小野寺五典君) 正確にお話をしますと、米兵が、例えば今回輸送として自衛隊が行った部分に関して、基本的には本人が持っている小銃、まあ拳銃のようなものがあればそれを、物資を一緒に輸送したということであります。

 また、今輸送物資のことについてお話がありましたが、輸送物資につきましては、米軍など多国籍軍の物資、これは服とかコンピューターや郵便物などが二百二トン、全体の三〇%、それから自衛隊自身の物資、食料品、通信機材や文書などですが、これが二百六十トン、全体の約四〇%です。そして、その他の国連の物資、医療器具、文具、車両部品等が二百八トン、三一%ということで、ちょっと委員の言っている内容とは違うと思います。

○仁比聡平君 総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラク戦争におきましては、言わば、当時のイラク政府が累次にわたる国連決議を実行しなかった、そして、大量破壊兵器がないということを証明する責任があったにもかかわらず、あるいはまた証明できたにもかかわらずそれを行わなかったということでありますから、まさに当時のイラク政府に責任があったと、このように考えるわけでございまして、日本としては憲法の範囲内における協力をしたわけでございます。

○仁比聡平君 お尋ねをしているのは、戦場に武装米兵や銃器、軍事物資を運んでいるじゃないか、これを総理は正しかったと言うのかと。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) イラク特措法に基づきまして自衛隊が実施した空輸活動は、それ自体としては武力の行使に当たらない活動であり、また、その活動の地域をいわゆる非戦闘地域に限るなど、他国の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保しており、憲法第九条との関係で問題があるとの指摘は当たらないと、このように考えております。

○仁比聡平君 当時、バグダッドでも武装勢力との衝突が頻繁に生じて、米軍の掃討作戦によって多数の市民、犠牲者が続出をしているわけですね。米英輸送機が銃撃をされたり撃墜されたりしているじゃありませんか。イラク戦争の重大な犠牲と惨害にもかかわらず、イラク派兵の反省は全くないのかと。

 武装米兵をこれだけ運んでおいて、後方支援でなくて何だというんですか。集団的自衛権の行使を容認するなら、これ以上何をやろうというんですか。総理。

○国務大臣(小野寺五典君) 委員は何度も武装米兵というお話をしますが、実際は、この米兵が例えば武器、小銃を御自身が持っている場合については、それは携帯していくこともありますが、今回の輸送した人数の、先ほどは……(発言する者あり)委員、聞いていただいていいですか。米兵が実際運んだ実績、私ども先ほどお話ししましたが、米兵を運んだ実績は二万三千六百九名でありまして、そのうち、例えば単純計算をすると、拳銃、小銃を持っていた米兵は約五千名程度であります。ですから、かなりの部分は実はそういうものも携行せずに私どもは運んでいたということで、何か米兵という範疇だけで全て、何か委員がおっしゃるイメージとは、私は、ちょっと私どもが持っているイメージと大分違う、例えば復興支援や民生支援、そういうところに働いている米兵もたくさんいるということであります。

○仁比聡平君 米兵をこれだけ運んでおいて、後方支援でなくて何だというんですか。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、我々は憲法の範囲内における協力を行っているということでございます。

○仁比聡平君 二〇〇八年、イラク派兵訴訟の名古屋高裁判決は、この空輸活動は、他国の武力行使と一体化した行動であって、憲法九条一項に反すると違憲判断を下しました。つまり、憲法九条によって禁じられた武力の行使又は武力による威嚇に当たると。この違憲判断でもう決着は付いているんですね。情報公開は墨塗りにする、当時国会で聞かれても事実を徹底して隠して、国民多数の反対を押し切って続けた空輸活動は憲法違反だったんです。

 このイラク派兵のような活動から更に踏み込んで、もう憲法九条にはばかることなく時の多数派の政治判断次第でどんどんエスカレートすることになる、それが集団的自衛権の行使容認ということではないんですか。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の判決でございますが、イラク派遣等の違憲確認及び差止めを求める訴えについては、不適法なものであると却下をいたしました。また、損害賠償請求は法的根拠がないと棄却をしておりまして、国側の全面勝訴でございます。空自の空輸活動が違憲であると判示した部分は、判決の結論を導くのに全く必要のない傍論であるというふうに承知をしております。

 つまり、本件は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかを判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものであったわけでありまして、このため政府は、裁判において自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかについて主張、立証さえする必要がなく、実際にそのような主張、立証はしていないわけであります。

 したがって、政府としては、判決の結論を導く必要がないにもかかわらず示された高裁の見解については納得できるものではないと考えておりますが、裁判自体は勝訴でありますから我々は控訴できないということでありまして、いずれにせよ、イラク特措法に基づいて自衛隊が行った活動は従来の憲法解釈の範囲内で実施されたものでございます。

○仁比聡平君 名古屋高裁の判決は、その結論につながっていく事実認定とそこへの法の適用という当然の論理であって、傍論ではありません。あなた方が裁判で主張、立証しなかったというのは、つまり裁判上も隠したということでしょう。

 私は、そこまでして総理がイラクでのこうした米兵を中心にした空輸活動、こういうものを正当化しようというのは、これからもやるのかと、集団的自衛権の行使容認というなら、これから先もっと踏み込んでやるのかと聞いているんです。違うんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このイラクに対する支援活動については、これはまさに憲法の範囲内で行われているということでございまして、今私どもが安保法制懇で議論しておりますことは、四分類を中心に、国際情勢が変化する中において、まさに分類に従って様々な議論を行っていることでございます。

○仁比聡平君 総理はそんなふうに言いますけれども、例えば石破幹事長は講演で、自衛権の行使は必要最小限にとどまるべきだが、一方が、つまり脅威がどんどん大きくなれば最小限の範囲は変わっていくと、そういうふうに話しておられます。安保法制懇の北岡さんは、論理的には集団的自衛権に地理的限定はない旨を述べておられるわけですね。どんどんエスカレートして際限がないじゃありませんか。

 憲法上は集団的自衛権の行使が認められるとなれば、我が国が攻撃されてもいないのに海外で米軍とともに武力を行使するかは時の多数派の政治判断だということになってしまう。しかも、秘密保護法で何が秘密かも秘密だ。そんな危うい道に踏み込んではならないんですよ。

 軍隊と武力行使を明確に禁じるのが憲法九条です。集団的自衛権の行使容認は、立憲主義と戦後日本の議会政治を否定するものにほかならないと思います。そんな検討はもうやめるべきではありませんか。

○委員長(山崎力君) 安倍内閣総理大臣、時間が来ておりますので、ちょっと短めにお願いいたします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに現在の状況、国際状況に鑑みまして、我が国の国民と生命と財産を守る責任が私どもにはあるわけでございますので、しっかりと安保法制懇の結論を待ち、議論を進めていきたいと考えております。

○委員長(山崎力君) 仁比聡平君、時間が来ています。

○仁比聡平君 憲法九条の原点と国際公約を絶対に曖昧にしてはならないと強く申し上げて、質問を終わります。

○委員長(山崎力君) 以上で仁比聡平君の質疑は終了いたしました。(拍手)