○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
 私は、今日我が国における最大の憲法問題は、安倍内閣が集団的自衛権行使容認など安全保障政策を大転換した昨年七月一日の閣議決定及び今国会への戦争法案の提出強行であり、それ自体が戦後最悪の憲法破壊であって断じて許されないことを厳しく指摘しなければなりません。
 戦争放棄をうたう憲法九条の下、憲法自らが九十六条に定める国民投票による憲法改正手続さえ行わずに、どうして日本を海外で武力を行使する国に変えられるというのか、どうして日米安保条約を防衛協力指針、ガイドライン改定の政府合意だけで平時から戦時まで切れ目ない地球規模の本格的軍事同盟へと一変できるというのか。我が国の国民主権、民主主義の根本が問われています。
 四月二十七日に合意された改定ガイドラインは、従来の日本防衛、周辺事態を大きく踏み越えて、文字どおり地球規模で、さらには宇宙、サイバー、武器輸出に至るあらゆる領域で日米が軍事協力を推し進める方針を明記しました。具体的な日米協力は、新たに設置する同盟調整メカニズムを通じて、平時から有事に至るあらゆる段階で日米が共同して対処する方針をも明記しました。
 七月一日閣議決定と戦争法案は、この軍事協力に障害となる従来の憲法解釈を投げ捨て、これまで許されないとしてきた戦闘地域での後方支援、さらには機雷掃海など、海外での武力の行使に当たる活動に公然と踏み込もうとするものです。こうして、憲法と日米安保政策との矛盾は頂点に達しています。
 日本国憲法は、戦後日本の出発点です。ポツダム宣言を受諾し、過去の侵略戦争に対する痛恨の反省を踏まえ、政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないことを宣言し、憲法九条に戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記したのです。
 ところが、アメリカは、米ソの対決構造が強まる下で戦後初期の対日方針を転換し、日本再軍備へとかじを切りました。朝鮮戦争の勃発を契機として、朝鮮半島に出動した米軍の空白を埋めるためとして、マッカーサー指令によって警察予備隊が創設され、保安隊を経て、一九五四年に自衛隊は創設されました。その後の自衛隊の育成、増強は、米軍の任務を肩代わりする形で進められてきたのであります。
 歴代政府は、自衛隊の違憲性を言い繕うために、自衛のための必要最小限度の実力組織は憲法に違反しないと弁明してきました。ところが、九〇年代以降、アメリカの新たな対日要求に付き従って、ペルシャ湾への掃海艇派遣を皮切りに、九条を踏みにじって自衛隊の海外派兵に道を開き、その後、国連PKO法、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法など、海外派兵立法を次々と押し通してきました。
 それを今度は、米軍を始めとする多国籍軍支援の恒久法を作り、いつでもどこでも自衛隊が切れ目なく米軍の戦争に加担し、支援活動を行おうというのであります。戦後、歴代自民党政権が推し進めてきた米軍戦争支援国家体制づくりを集大成し、憲法を根底から覆す究極の対米従属というべきものであり、到底許されるべきものではありません。
 同時に、立憲主義を踏みにじるこの解釈改憲、立法改憲の暴走は、時代に最もそぐわないのは憲法九条と唱えた第一次安倍政権以来、憲法改悪を阻んできた国民大多数の反対を前にしての焦りにほかなりません。安倍総理が幾ら専守防衛は変わらない、平和国家としての歩みが変わることはないと繰り返し、アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ないと決め付けても、平和憲法との根本矛盾は言い逃れようもありません。
 安倍内閣は、武器使用権限が増えるので自衛隊員のリスクが増大することはないなどとごまかしますが、これまで行かないとしてきた戦闘地域に派兵し、これまで使わなかった武器を使うなら、殺し殺される危険が質的に飛躍することは当然です。
 これからは武器や弾薬の提供も行うと言いますが、これまで九条が明文で禁じる武力行使と一体になるからできないと言ってきたことがなぜできるというのかとの私たちの質問に、内閣は、支援の内容は問わないと閣議決定で判断したからだと開き直り、国民を驚かせました。先日は、専守防衛には他国防衛も含むと定義を変えたと述べるなど、もはや解釈改憲の暴走が、法的、論理的な意味での解釈ではなく、時の政権の軍事的判断次第という際限のない憲法破壊にほかならないことを実証しつつあるというべきです。
 戦争放棄と戦力不保持、交戦権の否認によって国家権力の暴走が最も恐ろしい戦争と軍事力行使の手を縛り、国際紛争の平和的解決の道を示す憲法九条の下で、海外で戦争する国づくりが成り立つことはないのであります。
 私は今、米軍辺野古新基地建設強行を許さないオール沖縄の闘いから、国民には戦争を止める力がある、戦争をする国への暴走を止める力があることを深く学ぶべきときだと思います。安倍内閣が夏までにと強行すればするほど、国会論戦でも国民的議論の中でも、その独断ぶりは国民皆に広く知れることになるでしょう。既に多数を占める戦争法案反対、今国会で強行すべきでないの声は大きく広がり、圧倒的世論で安倍政権は立ち往生することになるでしょう。
 このような憲法状況の下、憲法審査会を動かすべきではないことを最後に改めて主張するものです。
 憲法審査会は、改憲原案の審査権限を持ち、明文改憲に直接つながる重大な機関であります。その活動は、勢い改憲手続の具体化、改憲原案のすり合わせとなり、国民は憲法改正を求めていないのに、改憲機運を国会が押し付けることとなり、それは国民主権及び憲法制定権力の発動である憲法九十六条の理念、趣旨に反するものにほかなりません。解釈・立法改憲による憲法破壊が生み出す日本国憲法との相入れない矛盾を、明文改憲によって打開する条件づくりを進めようなどという企てに国会がくみすることはあってはならないのです。
 今、国会は、国民の声を聞こうとしない安倍政権は退陣せよという大きなうねりに包まれようとしています。日本共産党は、安倍内閣の憲法破壊を阻止し、戦後七十年、被爆七十年の夏を誇りを持って迎えるために全力で闘う決意を申し上げ、意見といたします。