○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、イージス・アショアの配備問題についてお尋ねをしたいと思います。
 この間、防衛省が適地調査というのを行ってこられました。その結果について、原田防衛副大臣が五月の二十七日に秋田県、二十八日に山口県を訪ねまして、地域住民の健康などに影響はないなどと報告をし、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場、そして山口県萩市、阿武町のむつみ演習場を配備先とすることに理解を求めたという経過があります。この件について、毎日新聞が例えば「秋田・山口反発なお」と大きな見出しで報道しておりますし、阿武町長は、地元の理解とは何ぞやということが欠落していると、改めて厳しく反対の意思を示しております。
 この問題について、読売新聞の五月二十日付けの記事は、防衛省は両演習場に配備することを最終的に決めたと書いてあるんですね。これ、地元が猛反対しているのに最終的に決めたというのは私あり得ないと思うんですが、まず、岩屋防衛大臣、最終的に決めたんですか。
○国務大臣(岩屋毅君) 最終的に決めたわけではございません。
 山口県、それから秋田県、両方にこれまでの詳しい調査結果について説明をさせていただきました。
 双方から、このデータについて検証する時間をもらいたいということでございましたので、そのまた反応を受け止めた上で、引き続き丁寧に御説明を重ねて御理解をいただいてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 決めていないと、引き続き丁寧に説明して理解を得たいとおっしゃるわけです。
 このどちらの候補地も、候補地として名前が挙がって以来、大きな不満、不安と怒りの声が噴き上がってきました。阿武町では、町の存亡に関わる危機という声が地域丸ごとの揺るがぬ固い意思になってきたと思います。圧倒的多数の署名が寄せられています。そして、イージス・アショア配備に反対する町民の会に参加する町民は有権者の過半数に至っております。
 萩、阿武でも秋田でも、イージス・アショアの配備というのは、生活となりわいのど真ん中に超強力レーダーと迎撃ミサイルの発射基地、巨大基地を新設しようというものなのであって、大臣、住民合意なしに配備ありきで押し付けるということなどもちろん許されないし、そもそも絶対あり得ないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(岩屋毅君) イージス・アショアの配備候補地としてむつみ演習場を選定して以来、花田町長さんを始め阿武町の皆様が御不安や御懸念を持たれているということは、防衛省としてしかと受け止めております。
 五月二十四日には花田町長さんが防衛省を訪問されまして、そのときは副大臣に対応をさせたのでございますけれども、私も、阿武町民からの要請についてしっかりその後報告を受けております。
 住民の方々を対象とした説明の機会を今後いただいてまいりたいと思っておりまして、これは秋田県についても同様でございますけれども、そういう説明を通じて地元の皆さんの御不安や御懸念を払拭できるように丁寧で分かりやすい説明を重ねてまいりたいというふうに思っております。
○仁比聡平君 そのような防衛省による説明で払拭できるような思いではないんですよ。
 お手元にお配りした資料、一枚目から三枚目を御覧いただきたいと思いますけれども、これ、昨年、平成三十年九月十一日付けで阿武町議会に提出をされましたイージス・アショアの陸上自衛隊むつみ演習場への配備計画の撤回を求める請願書です。
 三枚目、御覧いただいたら、肉筆、直筆でそれぞれ御署名がございますけれども、阿武町のこのむつみ演習場に隣接する、近接すると言った方がいいでしょうか、地区の十六ある全ての自治会と、それから全ての農事組合法人、うもれ木の郷、福の里、あぶの郷、飯谷笹尾、そして、うもれ木の郷女性部四つ葉サークルのそれぞれ代表者の方々がこうして町議会に請願をされたわけですね。
 二枚目にその請願文がありますけれども、最後の部分、我々は、この地を愛し、この地を次世代につなぐ義務があります、それは、農地を耕し、今日まで努力し続けてくださった先人に対する責任であります。陸上配備型イージスシステムはその継続を妨げることになるのだという思いなんですね。阿武町議会は全会一致でこの請願を採択をいたしました。
 そして、先ほど防衛大臣がおっしゃった阿武町長、花田町長の発言、行動というのは、まさに住民の総意なんですよ。その重みについて防衛大臣の認識はいかがですか。
○国務大臣(岩屋毅君) 先ほども申し上げましたように、阿武町の皆様のそういった御不安、御懸念というものは、防衛省としてしかと受け止めております。
 これまで、地域の皆様の御要望にも沿う形で、かなりあらゆる角度から入念な調査を行っておりまして、その分析結果をお地元に説明をさせていただいたところでございますけれども、更に住民の方々への説明をしっかりと行って、そういう町づくりに対する御不安、御懸念というものを払拭できるように誠心誠意努力をして、御理解をいただいてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 私、防衛大臣の今の御答弁を伺っても、大臣と、それから政権のと申し上げた方がいいかもしれないけれども、地元の住民の皆さんの思いとのもう本当に埋めることのできないずれというのを痛感しますね。
 これまで丁寧な説明してきたというふうにおっしゃいますが、この請願書の二段落目、請願理由の二段落目御覧ください。
 昨年の六月十七日から以降、地元説明会が行われてきたわけですが、それについて、具体的、論理的、科学的とは懸け離れ、細かな説明を求めると機密事項だという答弁に終始し、不安と不満の気持ちが募る、そうありますよね。その後の二回目、三回目の説明を受けても払拭できるものではありませんでした、福賀地区は、人口減少、後継者不足等が深刻化する中で、地域振興や移住、定住の足かせになるといった不安や心配のほか、隣接する牛舎では酪農による乳製品を始め、広大な農地で栽培される農作物等に対する風評被害も懸念される、多くの住民からの不満と不安の声は、三度目の説明会を受けた今でも深刻な状況ですと述べています。
 そして、昨年十月十五日に第四回目の地元説明会が行われました。そこでの花田町長の発言は、つまり配備に反対する最大の理由は町づくりの方向性と全く相入れないからだという厳しいものなんですね。
 そこで、まずこの点について、具体的に政府の認識をお尋ねしたいと思います。
 阿武町は、人口三千四百人余りの小さな町です。町長は、昨年秋に私どもしんぶん赤旗の日曜版のインタビューにお答えになりまして、こうおっしゃいました。長い間、町民を主役に、自然を生かし、住んでみたい、住んでよかったと思われる町になるように取り組んできた。高校三年生までの医療費無料化など子育て支援、ジャズフェスティバルの誘致、そして細かなプラスチック片まで取り除いて鳴き砂の浜を復活させようという事業などの努力を重ねてきて、その努力が実ってきていると。
 Iターンが増え、転入から転出を引いた社会増減で見ると、阿武町の社会増、その増加率というのは、全国の過疎自治体の約八百のうち、上から十七番目になるんですね。この取組、町づくりの取組というのは、阿武町民にとって大きな誇りであり、希望なんです。
 最近、NHKも、四月二十三日の時事公論で、他の多くの自治体と同様、少子高齢化という課題に直面している阿武町、移住者を呼び込むIターン事業を積極的に進め、町の存続を図ろうとしてきました、この十年でおよそ二百五十人が移住するなど実績も上げてきましたと紹介をしているんですが、私、UJIターンの先進地というべきだと思います。
 そこで、まち・ひと・しごと創生担当として、片山さつき大臣、こうした取組と成果をどのように評価をしておられるでしょうか。
○国務大臣(片山さつき君) 御指摘のとおり、山口県の阿武町では、空き家の改修や情報提供窓口の設置、そのほか地方創生推進交付金を活用して様々進められて、人口の社会減が減少傾向にあり、まさに御指摘のように、全国のそういった同じ悩みを持つ地方自治体の中では非常にいいパフォーマンス、それも前向きに取り組んでおられることに大変な敬意を表しておりますし、我々もいろいろな御相談に乗って地方創生の施策を一緒に進めているところでございます。
 また、UIJターンにつきましては、市町村独自のUIJターン政策を、この四月一日より成立しました予算において、まさに地方創生に資するような創業をしていただいて戻っていただいた場合は最大三百万円、またそういった企業に就職された場合は最大百万円等の新たな国の予算の施策も出ておりまして、こういったところも当然、阿武町も萩市も今後活用していかれるということは当然でございまして、UIJターン施策に我々も全力を上げて取り組み、阿武町そして萩市も取り組んでいる、それを応援していると、こういう認識をしております。
○仁比聡平君 そうですよね。つまり、全国の自治体を励ます取組なんですよ。その花田町長が、町に移住してくる人たちは自然の中での健康な暮らしを人一倍志向している人たちだとおっしゃっています。その努力をぶち壊しにしてしまうのがイージス・アショアの配備なんですね。
 実際、Iターンで来られた方は、日本の農村の原風景が残る美しい村だから移住したと、イージス・アショアとの共存はできない、配備されたら出ていくと、絶対に反対という声を上げておられるわけですね。そうした下で花田町長は、片山大臣、新たな移住者が来なくなるばかりか、今いる人たちが出ていくおそれすらあると、これは町の存亡に関わる問題だと危機感を募らせているんですが、私、当然だと思うんですよ。大臣、どう思われますか。
○国務大臣(片山さつき君) 私は、まだ直接このお話を阿武町長からお伺いしたことはないんですけれども、地方創生に取り組む全ての千七百四十一市区町村は様々な政策を活用し、私どもが国として設けている地方創生に関する財政の矢ですとかあるいは情報提供や人材支援の矢を御活用になって独自の取組をしておられまして、この阿武町においても市町村独自のもの、そして国のものを活用した相互のUIJターンの取組が功を奏しているところだと思いますので、何か我々に御相談があればしっかりとそれをお聞きするということなのかなと、かように考えております。
○仁比聡平君 是非、花田町長に直接お話聞いてもらいたいなと思いますね、片山大臣も。
 農林水産業についてお尋ねしたいと思うんですが、地元の農業は、今日、コシヒカリを始めとする良質な米、県内出荷量の九割を占める千石台大根や山口あぶトマトなどの農産物のほか、水産物のブランド産品も多くて有数の特産地になっています。この一帯は阿武火山群ということでジオパーク構想も推進が今されているわけですけれども、その火山群によってつくられた地形が魚礁になって豊かな漁業の拠点にもなってきた。一方で、水の困難とかそれから土壌の問題などで農業には大変な厳しさもあってきたわけですけれども、その下で今日をつくり上げてきた地域住民の長年の苦労というのは、これ並々ならぬものです。
 お手元の資料の六枚目、七枚目を御覧いただきたいと思うんですが、これはむつみ演習場から直線で四キロ、萩市の旧むつみ町にある千石台出荷組合のパンフレットですが、これ表紙になっているのは、その特産、大特産地であるここの地域を視察に来られた山口県知事と組合員の皆さんの写真なんですね。
 一枚めくっていただきますと、「千石台のあゆみ」にこう書かれております。徳川幕府時代に毛利藩によって開墾され、年間穀物が千石取れていたことから千石台と名付けられた。戦後の苦労は大変なものですよ。日本の海外進出とともに荒地となってきて、昭和二十年の終戦を機に入植が始まり、当時の状況はササとススキに覆われ、電気も水もない中、くわと鎌での人力開墾で、その苦労は想像を絶し、当初の入植者は七十数名でしたが、昭和三十八年なんですが、これ、大雪を機に離農が始まり、その後も高齢化や後継者不足により現在では十八戸になっていますと。その苦労が、近年、新規就農者を幾人も迎えて、今は半数以上が二十代、三十代の出荷組合に発展しているんです。山口県内最大規模の露地野菜産地になっているんですね。
 農水大臣、農水省もこれずっと長く支援をしてこられたわけですが、先ほどの議会への、阿武町議会への請願書にあるように、我々は、この地を愛し、この地を次世代につなぐ責任がありますと、それは、農地を耕し今日まで努力し続けてくださった先人に対する責任でありますと。この思いを、大臣、どう思われますか。
○国務大臣(吉川貴盛君) 今、仁比委員から様々なお話をいただきましたように、これ山口県の北部に位置しまして、日本海に面する萩市や阿武町におきましては、基幹作物であります米に加えまして、冷涼な気候を生かした野菜等の生産が行われております。地域の農業の担い手として、新規就農者の確保ですとか育成にも力を入れていると承知をいたしております。また、水産物につきましても、周辺水域が好漁場でありまして、様々な魚種が漁獲をされております。
 これらの農産物や水産物の中には、今お話にありましたように、千石台大根、山口あぶトマト、萩の瀬つきアジなど、地域の特性を踏まえてブランド化が図られた品目もありまして、第一次産業も重要な位置付けにあると考えております。
○仁比聡平君 というような、生活となりわいのど真ん中にイージス・アショアを造ると。
 そうすると、防衛大臣、こうした町づくりの取組をぶち壊してしまうことになるというのが地元の怒りじゃないですか。これ、どう認識しているのか。配備ありきで推し進めるなどは全くあり得ないと思いますが、もう一回、岩屋大臣、いかがですか。
○国務大臣(岩屋毅君) 先ほども申し上げましたように、阿武町の住民の皆様のそういう御不安、御懸念については、私どもとしてはしかと受け止めております。
 今般の調査結果の説明においては、言うまでもなく、レーダー波による人体への影響、周辺水環境への影響、それから、こういった装備は実際に稼働しないような安全保障環境をつくることがまず第一でございますけれども、万が一、実際に迎撃をするような場合に立ち至ったときに、ブースターの落下位置の問題あるいは攻撃目標となるリスクといった点について、その影響の有無や住民の皆さんの安心、安全につながる措置を客観的かつ具体的にお示しをさせていただいております。
 先生言われる阿武町の町づくりというものに影響を与えることがないような配備を、もしお認めいただければ、させていただかなくてはならないというふうに考えておりますので、まずはこの調査、検討の結果について丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○仁比聡平君 本当に思いが伝わらない政権だと思います。
 今防衛大臣がおっしゃった、四項目の適地調査の中身を客観的、具体的に示したんだというふうにおっしゃるけれども、それ自体が町づくりに重大な影響を与えるんだということ、議論を進めたいと思います。
 内閣担当大臣とそれから農水大臣、お急ぎであれば御退席いただいて結構です。
 その下で、今防衛大臣がおっしゃったレーダーの強い電磁波が住民の健康に悪影響を与えるのではないかと、これが重大問題なんですね。
 まず防衛省に確認をいたしますが、海上自衛隊のイージス艦では乗組員の安全のために、レーダーの発射時、照射時には自衛官は甲板に出ることを禁止されていると思いますが、これはどんな取組ですか。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
 イージス艦がレーダーを稼働する際は、万が一にも問題がないように通常は安全上の理由で立入りを制限しておりますが、レーダーの照射を適切に管制することによりまして、レーダーの稼働中であっても甲板上での作業やヘリコプターの発着艦等の作業を実施することができております。乗組員からの健康被害も生じていないところでございます。
○仁比聡平君 イージス艦の甲板の上での作業で自衛官も様々な配慮をしなきゃいけないということになっているわけですね。
 ところが、イージス・アショアに導入を決めたレーダー、これイージス艦のレーダーより格段に強力で、しかも世界にまだ一つもないということだと思うんですね。ですから、実際に影響の調査もしようもないわけですが。
 総務省にお尋ねをいたしますけれども、昨年秋に萩、阿武の地元の講演会がありまして、そこで環境電磁工学が専門の多気昌生教授が総務省の電波防護指針について、まずイージス・アショアの人体への影響について、配備されるイージス・アショアのレーダーのデータは持っていないと、実際に見ないと分からないとお話しになった。これはもう当然のことだろうと思うんです。さらに、参加者から心臓のペースメーカーへの影響について聞かれて、ペースメーカーは電波防護指針の対象外、誤作動が起きるかどうかは別途、つまり総務省の防護指針とは別に検討しなければならないと述べられたことは、これ衝撃でした。
   〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
 まず総務省、政府参考人に確認しますが、そのとおりですね。
○国務大臣(石田真敏君) 自衛隊のレーダー等の無線設備が人体への安全性を確保しているかにつきましては、防衛大臣において必要な基準を定めることとしておりまして、私の方でお答えする立場にはございません。
 電波防護指針について申し上げれば、これは科学的知見を基に携帯電話の基地局などについて電波が人体に与える影響がないようにする基準を定めるための考え方をまとめたものでございまして、国際的ガイドライン等の基準値にも準拠しております。このため、一般論として申し上げれば、電波防護指針の基準値を満たすように設置されるのであれば人体への直接的な影響はないものと考えております。
○仁比聡平君 つまり、大臣がそうお答えになったので、そうしたら大臣に聞きますけれども、ペースメーカーや体内埋め込み型のAEDあるいは補聴器といった住民が使用している電子機器への影響というのは、これは総務省の電波防護指針には対象になっていないということですね。
○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 電波防護指針は、今大臣から御答弁申し上げましたように、電波が人体に好ましくない作用を及ぼすことがないように基準値を定めているものでございます。したがいまして、電波防護指針では電波が心臓ペースメーカー等に与える影響については考慮をしていないところでございます。
○仁比聡平君 そうしたものなんですね、総務省の防護指針は。
 今、先ほど大臣が、イージス・アショアなど防衛省が使うものについては防衛相が必要な基準を定めるんだと、だから答える立場にないというふうにおっしゃったんですが、そういうお立場からすると当然だとおっしゃるのかもしれませんが、今回、防衛省は適地調査だとして電波環境の調査を行っているわけです。それに基づいて、人体やあるいはペースメーカーに影響はないんだということを結論付けて、地元に押し付けようとしているんですね。
 総務大臣、これは、電波防護指針を所管する総務省として検証し、防衛省の行った調査のデータを共有して責任を持っているんですか。
○国務大臣(石田真敏君) 自衛隊法の第百十二条、電波法の適用除外というところで、第四項でございますけれども、「防衛大臣は、無線通信の良好な運行を確保するため、自衛隊がそのレーダー及び移動体の無線設備を使用する場合における無線局の開設及び検査並びに当該無線局で無線通信に従事する者に関し必要な基準を定めなければならない。」とされているわけでございまして、先ほど答弁申し上げましたように、防衛大臣におきまして必要な基準を定めることとしておりますので、私の方でお答えする立場にはないということでございます。
○仁比聡平君 結局、今回の電波環境調査というのは、言わば防衛省独自のものにすぎないということなんです。
 その説明資料の中からお手元の十枚目を御覧いただきたいと思うんですが、半径二百三十メートルより離れた場所では人体への影響がなく安全という結果になりましたと結論がありますが、これ、防衛省、なぜそう言えるんですか、説明ください。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 人体への影響につきましては、電波法令に基づく計算式を用いて、人体に影響を及ぼさない保安距離を算出を行ったところでございます。その結果といたしまして、半径二百三十メートルより離れた場所では人体への影響がなく安全という結果になったというものでございます。これは、電波防護指針の基準を超える区域にはなっていないというところでございます。
○仁比聡平君 いや、何とも木で鼻をくくったような答弁なんですけれども。
 計算式の問題に入る前に、安全という結果になったということの意味について、お配りはしませんでしたけれども、これの説明資料の前のページに、実測調査を行ってこのように判断するんだということが書いてあります。陸自が現に保有している中距離地対空誘導弾の対空レーダーで実測調査を行ったというだけであって、実機での検証はしていないし、これ配備するまでできないわけですよね。
 そのことはお配りしている十二枚目の資料においてもこれ明らかでありますが、まず、実測調査というのはそういうものですね。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 陸上自衛隊の対空レーダー、中SAMでございますが、これを用いた実測調査は、むつみ演習場とその周辺の住宅を含む合計八か所で電波の強さを測定いたしました。
 具体的には、演習場内におきましては、中SAMから見通しの利く二か所で測定を行って、電波の強さが距離に応じて小さくなることを確認しております。また、演習場外におきましては、御地元から人家や学校があるところで測定してほしいといった御要望をいただいてあることを踏まえまして、調整の上で住宅地に近い場所で測定を行ったというものでございます。
○仁比聡平君 今のような実測調査なるものをされて、その上で、全ての計測地点において実測値は机上計算値を大きく下回る結果となりましたということを導いておられるんです。机上計算値というのは、つまり机の上で計算したと。その数値を中SAMの実測値であれば下回るということになった。
 結局、何を防衛省は説明されたいかというと、机上計算値と実測値の関係ということですよね。机上で計算したものよりも実測値が低くなるということになりましたと、だからイージス・アショアのレーダーでも同様になると想定しているというのがこの調査の結果でしょう。そういうことですね。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 今御指摘いただきましたように、この中SAMのレーダーの実測調査、それから机上計算を用いまして、机上計算の値よりも実測調査は下回るというもの、こうした一般的な性格というものを確認させていただきました。そうしたことを用いまして、イージス・アショアについても適用していくというものでございます。
○仁比聡平君 そのようなものにすぎないわけです。
 しかも、計算式というのが、先ほどの資料の十枚目にありますが、あのSイコール、難しいのでもう略しますけれども、難しい計算式が書いてありますね。それの分子になっているP、G、Dという数字があるわけですね。これはどこにも説明がないけれども、その下の計算値は、二百五十八万千六百五十九という値がここ書かれているわけなんですが、このP、G、Dという数字はそれぞれ何を意味しているんですか。具体的な値を私示さないと意味分からないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) この計算式に用いますところのP、G、Dシータでございますけれども、これにつきましては、Pにつきましてはレーダーに供給する最大電力の時間平均値ということでございまして、レーダーは相手目標を捉えるためにアンテナから放出される電波というのは瞬間的にオン、オフを繰り返しているため、最大出力の時間平均を取ったものというものがこのPという値でございます。
 Gはアンテナ利得というものでございますけれども、これは、アンテナに入力された電力をどの程度効率よく集中させて放出できるかということを数値化したものでございます。
 それから、Dシータというものにつきましては、電力指向性係数というものでございますが、これは、メーンビームに対しましてサイドローブがどのくらいの大きさであるかを数値化したものというものでございます。
 P、D、Dシータ、それぞれの具体的な個別の値につきましては、レーダーの捜索能力などの性能を明らかになるため、お答えは差し控えさせていただきますが、今委員から御指摘ございましたように、このP、G、Dシータ、これを掛け算したもの、積につきましては、二百五十八万一千六百五十九という値ということで公表させていただいているというところでございます。
○仁比聡平君 いや、ここを明らかにしないと説明にならないじゃないですか。住民も自治体も検証のしようがないじゃないですか。防衛省が出した数字を信じろと言っているだけということになるわけですよね。
 これ、あれですか、そのP、G、Dシータの値というのは、これイージス・アショアの諸元なんですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) これは、今度導入いたしますところのイージス・アショアのレーダーの値というものでございます。
○仁比聡平君 そうすると、イージス・アショアのそのP、G、Dの諸元というのは、これはもう定まっているわけですね。
○政府参考人(鈴木敦夫君) もちろん今開発中でございますけれども、そうした能力を目標にしてレーダーを造っておるという意味においては、捜索能力ということの性能は決まっておるというものでございます。
 ただし、先ほど申し上げましたように、そうしたレーダーの捜索能力、こうした能力が明らかになるため、お答えは差し控えさせていただきたいというものでございます。
○仁比聡平君 よく分からないんですね。
 そのP、つまり最大出力の時間平均値と先ほどおっしゃいましたけれども、これ、イージス・アショアは、あれですか、向こう千五百キロも先まで探知するというようなことができるという能力を目標にするということなので、これは相当な出力ということになるんでしょうが、これがどこまで上がるのか、どこまで強いのかということが分からなければ、住民あるいは研究者、自治体は検証のしようもないわけですが。
 例えば、これ数学的に明らかですけれども、Pが仮にスイッチが切られているというときは、この電波防護指針の基準を超える区域という、この危険区域の円の図がこの説明資料にありますけれども、この危険域というのはこれなくなりますよね。逆に、その出力が強ければ強いほどこれがどんどん大きくなると、そういう関係になるんでしょう。
   〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
○政府参考人(鈴木敦夫君) こちらにつきましては、そのPにつきましては、オン、オフでございますので、オフのときには電波が出ませんが、オンのときには電波は出ていると。こうしたものの平均値を取って、こうした値を、積を、P、S、Dシータ、こうしたものを掛けまして、こうしたものを分母で割りまして、その結果として出てきた値としていわゆるその保安距離というものが出てくるというものがこうした一般的に電波法令に基づく計算式というものでございまして、この件に限らず、全てのものに対してこうした対応をさせていただいているというものでございます。
○仁比聡平君 飛んでいる飛行機だとかあるいはヘリコプターなどに対しては、これはもっと遠い距離まで影響を与えてしまうということをこの説明資料の中でもお認めになっているんですけれども、これ、つまり、発射された弾道ミサイルを探知するというその主力のビームですか、これはそういう重大な影響を与えるわけですよね。
 これ、何メーターという計算でしたか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) 必ずしも御指摘の点が把握していないかもしれませんけれども、今説明申し上げているところは、人体に影響を及ぼさない保安距離と、こういうものを算出するときのいわゆる計算式におきまして、こうしたP、G、Dシータというものを用いて具体的にこうした保安距離というものを算出しているというものでございます。
 こうした考え方は電波法令に基づく計算式一般的に使われているものでございまして、自衛隊がほかに持ちますレーダーその他についてもこうした考え方におきまして対応させていただいているというところが御説明をさせていただいた趣旨でございます。
○仁比聡平君 結局、その計算式、計算式とおっしゃるだけで、そこに入力する前提の値はこれは秘密だ、それは答えないと、説明しないというわけですね。
 これ、防衛上の秘密だということなんですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) P、G、Dシータのこの三つにつきますところの一つ一つの具体的な値につきましては、レーダーの捜索能力などの性能が明らかになるため、お答えは差し控えさせていただきますが、これらの三つの値を掛けたもののいわゆる積の結果といたしましては、二百五十八万一千六百五十九という数字を明らかにさせていただいているというところでございます。
○仁比聡平君 その説明では住民の皆さんの納得は決して得られないということは、もう明らかだと思います。
 その説明の前提になった実測調査についても、その前の九ページ目の資料お配りしましたけれども、先ほど大臣からもお話のあった八か所といううち、西台の展望台駐車場という位置があります。このレーダー、この位置の実測は、レーダーの位置からすると山によって遮蔽されるというようなことが前提になっているんでしょうが、この駐車場よりももっと上がったところ、ここに白菜の大きな畑があります。私も現場訪ねてきましたけれども、演習場まで歩いて二分ほどでもう入ってしまうようなところです。演習場から見通せるところなんですよね。その地元の生産者は、ここで調査をしろと。だって、もう一日中その畑に出て家族で作業されているわけですから。その声に防衛省は応えませんでした。
 これ、なぜそこでやらなかったんですか。
○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
 今回、むつみ演習場とその周辺の住宅地を含む合計八か所でこの中SAMの電波の強さの測定を行いました。これにつきましては、御地元の方から人家や学校があるところを測定をしてほしいといった御要望をいただいたことを踏まえまして、調整の上でこうした八か所を選んだものと理解してございます。
○仁比聡平君 だから、おかしいというんですよ。人家や学校とおっしゃいますけど、住民は人家や学校にずっとこもっているわけじゃないんですよ。みんな町に出て、山に入って働くんですよ、学ぶんですよ。
 この今の図面でも、もしレーダーが稜線に近いところに向かうということになったときには、先ほどおっしゃったサイドローブも含めて、この西台の展望台よりももっと上の辺りというのは、これ、別の結果が出るでしょう。これ、別の結果があり得ますよね。
○政府参考人(鈴木敦夫君) ある地点におきますところの電波の強さと申し上げますのは、距離ですとか向きですとか遮蔽物の有無等で決まるため、一概に申し上げることは困難でございますけれども、一般論で申し上げれば、レーダーの方向に近い山の稜線部分で測定を行った場合、遮蔽物がなければ、電波の強さというのはそうした遮蔽物を含んだところの地域に比べては大きくなるものと考えております。
 ただ、今回出ましたとおり、イージス・アショアを設置した場合につきまして、こうした場合の保安距離というものが二百三十メートルでございますので、これは全てここのむつみ演習場内に収まりますので、むつみ演習場外であれば、こうした保安距離の以遠、より遠いところに存在するということでございますし、更に申し上げれば、そうした電波につきましての広がりというものを抑えるために電波の吸収、防護壁というものがございます。これに対して、電波吸収材ですね、吸収壁を設けるというようなことを、設置いたしますので、そうしたことを考えますと、人体等への影響はないというふうに理解してございます。
○仁比聡平君 そんな説明で到底納得は得られませんということをもう一度申し上げておきます。
 もう一つ重大なのが、迎撃ミサイルの部品落下の危険です。
 ミサイルは、発射した後に一つ目のブースターが燃焼して切り離され、二段目、三段目と点火、それから切り離しということが繰り返されるわけですが、これ、資料八枚目の地元のはぎ時事の記事にも、「課長発言はショッキング」という見出しが躍っております。これ、昨年十月の四回目の住民説明会で、防衛省の戦略企画課長が、二段目、三段目のロケットの落下場所について、絶対に陸上に落ちないとは言えないが、弾道ミサイルが我が国領域に直撃することと比較すると被害の度合いも比べ物にならないと述べて、これ、住民、そして町長の激怒を買ったわけですね。
 海上に落ちるといったって、漁船や客船だってあるわけですね。地上なら住宅があるわけですよ。これ、大臣、一〇〇%海に落ちるとは言えないわけですね、二段目、三段目。
○国務大臣(岩屋毅君) 今のお尋ねにつきましては、一段目のブースターではなくて、二段目、三段目のロケットの落下場所に係る御質問だと思いますが、防衛省の担当者も、現地の説明会において説明ぶりが必ずしも、先生御指摘のその配付文書にありますその説明会においては説明ぶりが必ずしも適切ではなく、誤解を生んだことをおわび申し上げたと承知をしております。
 いずれにしても、このブースター、一段目、二段目、三段目、あるいはノーズコーンにつきましても、住民の皆様に御迷惑が掛かることがないように適切に運用を行ってまいりたいと思います。
○仁比聡平君 結局、一〇〇%海に落ちるということは言えないわけでしょう。
 これ、大臣、だから、課長の発言を陳謝すると言ってみたところで、地上に落ちることがあり得るということでしょう、大臣。
○国務大臣(岩屋毅君) 私どもは、弾道ミサイルのその飛翔経路あるいは迎撃ポイントによって二段目、三段目のロケット及びノーズコーンの落下位置は変わっていくものですから、確定的にお答えすることは困難でございますけれども、高い高度で仮に迎撃する場合であっても、むつみ演習場周辺に落下することは想定しておらず、陸地から相当離れた海上に落ちるものと考えております。
 また、一段目のものにつきましては、SM3というその迎撃ミサイルは、一段目ブースターの燃焼中に燃焼ガスを噴射するノズルの向きを変更することによって迎撃ミサイルの進行方向を制御する機能がございますので、この機能を用いて飛翔経路をコントロールし、演習場内に落ちるような運用を行ってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、そんなふうに計算どおりに落ちますか。むつみ台というのは台地ですからね。これ、転がり落ちると、あるいは地上に落ちると、これもうとんでもない惨事を招くということになるわけですよ。
 NHKのインタビューで元海上自衛艦隊司令官の香田洋二さんが、迎撃能力のテスト中でブースターがどこに落ちるかという検証の段階には至っていないというふうにおっしゃっています。これ、共同開発中ですけれども、どこに落ちるかの検証というのは行われていないんじゃないですか。
 さっきの電磁波の調査は、中SAMを受注している三菱電機が受注した調査だと。今度のイージス・アショアで使うSM3の新しいミサイルは、これ三菱重工が共同開発をしていると。
 そういう中で、外務大臣、おいでいただいて、一問お尋ねしたいと思いますけれども、トランプ大統領が、米国兵器の大量購入、これは米国の貿易赤字の解消につながるものだと繰り返しおっしゃって、この間の来日のときにもそういう趣旨の発言をされているじゃないですか。
 今お話しのような、技術的にも一体どうなっているのかということを住民にもまともに説明ができない、こういう兵器を爆買いするというやり方というのはもう本当にやめるべきだと思うんですけど、外務大臣はいかがですか。
○国務大臣(河野太郎君) トランプ大統領の発言の逐一について何か申し上げることは避けたいと思いますけれども、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を受けまして、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にございます。そのため、結果として、近年、アメリカからの装備品の調達が増加傾向にあると承知をしております。
○仁比聡平君 そのようにおっしゃって、日米一体で基地の強化、増強をすると、そのために米国製の高額な兵器を爆買いすると、辺野古でも本土でも民意を踏みにじってそうしたやり方を進めるというのは、これはもう絶対にやめるべきだということを強く指摘して、今日は質問を終わります。

○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、二〇一七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書の承諾に反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、建設アスベスト訴訟の訟務費の支出の問題です。
 建設アスベスト訴訟は、二〇〇八年に首都圏で約四百人が提訴したのを皮切りに、全国で次々新たな集団提訴が行われました。二〇一二年に東京地裁判決で国の責任が断じられ、原告が勝訴いたしました。しかし、国は、責任を認め謝罪することもなく、早期解決に応じることもなく、原告が求める補償基金による救済制度をつくることもなく控訴し、さらに上告し、今日に至るまで裁判を争い続けております。その間に多くの原告が、解決を見ることなく中皮腫、肺がんなどで命を落としております。既に高裁判決も含め十度連続で国の責任が断じられており、国は、訴訟で争い続けるのはやめ、早期解決を図るべきであります。
 反対理由の第二は、米軍横田基地騒音訴訟の訟務費の支出の問題です。
 横田基地周辺の住民は、飛行差止めと騒音被害の賠償を求め、繰り返し裁判を闘ってきました。累次の判決も、横田基地の騒音は違法状態であるとして、繰り返し国に賠償を命じてきました。国がやるべきは、控訴して争うことではなく、騒音が違法状態であることを認め、違法な騒音をまき散らす米軍機の飛行を差止めすることです。
 昨年のオスプレイの配備により横田基地の周辺の騒音は大きく増加し、昨年度は二〇〇四年以来の騒音回数を記録しています。
 さらに、問題は、日米地位協定第十八条第五項(e)で、本来その金額の七五%を日本政府が米国政府に対して求償し、お金を取るべきであるのに、米国側が一円も応じず、日米地位協定さえ守られていない状況が続いていることです。米国政府へ損害賠償金を求償し、控訴をやめるべきです。
 以上の理由から、二〇一七年度予備費は承諾できないことを申し上げ、反対討論といたします。