193通常国会2017年5月25日参法務委員会『保証人保護規定、配偶者を対象外は前近代的』

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

今日は、少し積み残しておりました第三者保証における保証人保護の問題についてしっかりお尋ねをしたいと思っております。

五月十六日のこの委員会の質問で、深刻な保証被害を具体的に少し大臣にもお示しをいたしまして、長年にわたるこの保証被害から保証人を保護すべきだというこの議論の上に立って今回の改正案に、やっとと言っていいと思うんですけれども、ようやく盛り込まれた保証人保護の規定、これ一歩ではあるけれども、重要な規定ということで御議論をさせていただいたわけです。

まずお尋ねしたいのは、そういう到達点の上に立ってようやく新設される、されようとしている保証人保護規定からあえて配偶者を外すというこの問題をどう考えるのか。私は前近代的な不当なやり方ではないかと繰り返し申し上げてまいりました。

そこで、まず順番に聞いていきたいと思いますけれども、大臣、今申し上げたように、新設するこの規定というのは、つまり保証人保護ということだと思うんです。このといいますのは、法案、法改正案の第三目、事業に係る債務についての保証契約の特則、とりわけ第四百六十五条の六、この公正証書による宣明証書と、この手続ですけれども、これは保証人保護ということで理解してよろしいですか。何から保証人を保護しようとするのでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員の御指摘、御質問にお答えをいたします。

ただいま御指摘ございました保証人を保護すべきという視点、私はそのとおりだというふうに考えています。事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約におきましては、その保証債務の額が多額になりがちであって、保証人の生活が破綻する例も相当数存在すると言われております。

その理由としては、保証契約は個人的情義等に基づいて行われることが多いということや、保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であることもあって、保証人の中にはそのリスクを十分に自覚をせずに安易に保証契約を締結してしまう者が少なくないことが指摘されております。

そのために、今回の改正案の内容についてでございますが、個人がリスクを十分に自覚せず、安易に保証人になることを防止するという観点から、事業のために負担をいたしました貸金等債務を主債務とする保証契約につきましては、公的機関が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認をしなければならないものといたしまして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効としたものであります。

○仁比聡平君 おっしゃる御答弁をこの国会通じて述べてこられましたけれども、ところが、その保護から配偶者をお外しになるわけです。大臣、改めてお尋ねしますが、それはなぜですか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま申し上げたことの繰り返しになりますが、意思確認手続創設をいたしました理由というのは、ただいま申し上げましたが、保証意思宣明公正証書の作成を義務付ける趣旨でございますが、個人的情義等からの保証のリスクを十分に自覚をせずに安易に保証契約を締結することを防止することにあるわけであります。そのため、改正法案の立案の過程においても、個人的情義等から保証人となることが多い主債務者の配偶者を例外とするのは相当ではないという指摘もございました。

主債務者の配偶者を除外する理由としては、個人事業主に関しましては経営と家計の分離というものが必ずしも十分ではない、そして主債務者とその配偶者が経済的に一体であると見られることが多いということから、配偶者を保証人とすることによって金融機関から融資を受けている事例も現に少なくないのが実情であるということであります。そして、改正法案の内容といたしましては、このような融資の実情も踏まえて、主債務者が個人事業主である場合のその配偶者について、主債務者の事業に現に従事していることを要求いたしまして、主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定をいたしまして例外として扱うことにいたしておる次第であります。

この要件に該当する配偶者につきましては、これを主債務者の保証人とする実務上のニーズも強く、かつ保証のリスクを認識することも可能なものと言えることから、公証人による意思確認の対象としないことが相当であると考えております。

なお、このような立場にあります配偶者が実際に保証人となるかどうかは配偶者の意思によるところでございますが、融資を受けることでその家業の事業継続が可能になるといったような事態も想定いたしますと、自らが保証人となることで融資を得たいという配偶者の判断は一概に軽率であるとか安易であるとかいうのは断じ難い面があると、このようにも考えられるわけであります。

私ども法務省といたしましては、改正法案の成立後は、配偶者による保証を含め、個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立に向けて引き続き関係省庁と連携をしながら取り組んでまいりたい、このように考えておる次第であります。

○仁比聡平君 私、やっぱりさっぱり分からないのです。

最後のくだり、つまり主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定して外したと、そういう御答弁ですよね。保証人の意思を公証人によってしっかり確認しなきゃいけないようにして保護するという趣旨が、そもそもリスクを十分に自覚せずに安易に保証人になることを防止するという観点からであると。であるから、主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定してこれ外すんだと、配偶者はそういう立場なんだと、公証人によるしっかりした意思確認の保護は必要ない、全く必要ない立場なんだと、大臣、そうおっしゃっているわけですか。

○国務大臣(金田勝年君) 先ほど申し上げましたが、融資の実情を踏まえた場合に、主債務者が個人事業主である場合のその配偶者については、主債務者の事業に現に従事していることを要求をいたしまして、主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定をして例外として扱うということにしているものであります。

○仁比聡平君 金融実務については後ほど金融庁にしっかりお尋ねしたいと思っているんですけれども、理屈の話として、先ほど主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にあるから外すんだとおっしゃって、実際、個人事業にしても、配偶者がその事業内容をしっかりそれこそ把握している場合というのは、これはもちろんあります。けれども、そうでない場合というのだって当然ありますよね。

大臣のお連れ合いとの把握の関係がどんなのかは知りませんけど、例えば私のところでいいますと、そんなに把握し合えているのかと、そんなことは考えることもありますよね。連れ合いは福岡で働いておりまして、私はこうして国会に相当の時間いる。別にこれは事業をやっているわけじゃありませんから、本改正部分と特段関係があるわけじゃないんですけれども。

ところが、大臣、先ほどのその答弁の後の部分で、一律に安易、軽率と言うことはできないというふうにおっしゃいました。これ、第三者保証を考えるときに、保証人になろうとする者が一律に安易で軽率だとかいうことをそもそも前提にする話ではないですよね。情義性や軽率性がある、だから保証意思に不確かな部分があってはならない、その不確かな保証意思によって思いもしなかったようなリスクを負うことになってしまって、生活も成り立たない、自殺に追い込まれる、そういう保証被害なくそうということでしょう。ですから、一律に保証人になろうとする者から何かを外すというのはそもそもがおかしい。

もう一回聞きますけれども、配偶者ならば、その事業の内容、これ絶対に把握できるはず、あるいは把握しているはずみたいなことになるんですか。

○政府参考人(小川秀樹君) 個人事業者、個人事業主についての配偶者の問題でございまして、例えば法人の代表者の場合の配偶者は今回の例外の対象ではございません。個人の事業主につきましては、まさに家計と経営の一体性といいますか、とりわけ配偶者が業務を行っているわけでございますので、そういう前提でございますので、その場合には配偶者は基本的には一定のリスクについての認識も持っていることが通常であるということでございます。ただ、それだけが例外を認めた理由ではございませんで、やはり一定のニーズですとか、そういった点も大きな理由の一つでございます。

○仁比聡平君 局長に確認しますけれども、今通常であるというふうにおっしゃいましたけど、配偶者であってもリスク認識を持っていない場合だってもちろんあるでしょう。

○政府参考人(小川秀樹君) そういう意味で、制度としてつくるときには事業に現に従事しているということが必要でございまして、この事業に現に従事しているということは、例えば単に書類上の事業に従事しているとされているだけでは足りず、あるいは保証契約の締結の際の一時的な従事というわけでもございません。あくまで保証契約の締結時においてその個人事業主が行う事業に実際に従事していると言えることが必要であると考えておりまして、その前提で考えますと、先ほど申しましたように、リスクについての認識というのを認めることは十分可能だろうというふうに考えております。

○仁比聡平君 リスクについての認識を、一般に第三者保証をしようとする人と、そして配偶者というのを質的に分けているということに本当に合理性がありますか、不当ではありませんかと、私、お尋ねをし続けているつもりなんですね。

大臣の先ほどの冒頭の御答弁に戻りますと、つまり政府の基本的な立法理由に戻りますと、個人事業主に関しては家計と経営の分離が必ずしも十分でないことが一般的だとか、主債務者とその配偶者、通常主債務者が夫で配偶者は妻であることが多いんじゃないかという、そういう場合に、経済的に一体的であるということが多いなどと言って、一般的だとか多いとか、そうした漠然とした認識を皆さん大前提にしておられるんですよね。それで本当にごまかしちゃっていいんですか。

つまり、公正証書、公証人による保証意思の確認によって保証被害をなくそうと、こうして改正をされるのに、配偶者の中にそうした情義性やあるいは軽率性や、こうした保証被害って現にいっぱいありますよ。その存在を無視するのかということが私全然分からないわけです。

その立場に立って改めて、先ほど局長が御答弁をされ、触れましたけれども、条文そのものについてお尋ねしたいと思うんですが、この四百六十五条の九で公正証書の作成に関する「前三条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。」とされ、その三号で「主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」という条文になっているんです。

配偶者と私が申し上げているのは、条文上は主たる債務者が行う事業に現に従事している配偶者なんですけれども、この現に従事しているというのは改めてどういう意味でしょうか。

○政府参考人(小川秀樹君) 改正法案におきましては、個人事業主の配偶者を保証意思確認の例外としておりますが、それはあくまでも事業に現に従事している配偶者に限定されておりまして、この点は重要だというふうに考えております。

すなわち、比較的零細であることが多い個人事業主の事業を前提といたしますと、現に事業に従事している配偶者であればその事業の状況等を把握することは十分に可能であると考えられるのでありまして、そうであるからこそ、先ほど申し上げましたように保証意思の確認手続の例外とすることが考えられるわけでございます。

そして、このような趣旨に照らしますと、現に事業に従事しているというのは、まさに保証契約の締結時においてその個人事業主が行う事業に実際に従事していると言えることが必要であると考えられます。したがいまして、単に書類上事業に従事しているとされるだけでは足りず、あるいは一時的な従事というのも除かれるものでございます。

また、このようにその要件を満たすためには、保証契約の締結時においてその個人事業主が行う事業に実際に従事していると言えるかが問題でありまして、実際に従事していれば、主債務者との間に契約があるか否か、契約の形態が何か、あるいは報酬の有無などは問われないものというふうに考えております。

○仁比聡平君 実際に従事しているかどうか、そこが重要だと言うんですが、そうすると、ちょっと議論先に行っちゃいますけれども、実際に従事しているか否かの判断で公正証書の手続が必要かどうかが切り分けられるわけですよね。実際に従事していないという実態なのに公正証書による保証意思の宣明をしていないということになると、一体どうなるんですか。

○政府参考人(小川秀樹君) 今のような場合でありますと四百六十五条九の要件を満たしませんので、証書は無効ということになると思います。

○仁比聡平君 証書は無効になるとおっしゃいましたけれども、証書は作られていないわけですから、もう一度。

○政府参考人(小川秀樹君) 契約は無効でございます。失礼いたしました。

○仁比聡平君 その保証契約は無効であると。そうすると、この現に従事しているか否かというのは極めて重大な争点になるということになるようですが、この実際に従事しているかどうか。

先ほど法形式として、例えば役員だとか従業員としての雇用契約だとか、あるいは委任のような形もあるのかもしれないですけれども、そういうどんな契約の形態かというのはこれは関係ないんだという御答弁でした。その従事によって対価を得ているかどうか、これも関係ないんだということでした。そうすると、実際に従事しているのかそうでないのかというのは、これはどうやって判別していくことになるんですか。

○政府参考人(小川秀樹君) もちろん客観的に事実として従事しているかどうかという点についてが重要だというふうに考えております。

○仁比聡平君 客観的に従事しているかどうかというのは、つまり例えば販売、小売業であればお店に立ってお客さんの相手をしてやり取りをされているかとか、あるいは製造業であれば物づくりのところで何か携わっているかとか、それが実際に仕事しているかどうかという話だと思うんですけれども、その事実だけで配偶者を不当な保証被害から保護できるほどの、保護するか否かというほどのメルクマールができますかね。

私、今の局長の御答弁の趣旨なのであれば、これからの、仮にこの法案が成立して実際に配偶者保証というのがどうなるのか、例えば貸す側にしてみれば、配偶者だからいいと思って公正証書取らなかったけれども、後から、あっ、これ駄目だ、無効だということになってしまったということになっちゃうんじゃないだろうかと思うんですが、いかがです。

○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども客観的な事実で判断するということを申し上げましたが、基本的には、貸す側であります例えば金融機関の方の調査によることになろうかと思います。調査した結果として、従事しているということが認めにくいということであれば公正証書を作成するということになろうかと思います。

○仁比聡平君 それを金融機関が調査する、何の観点で調査するのかよく分からないですね。

後でちょっと金融庁にまとめて聞きますけれども、つまり金融機関が調査をするのは、その事業の事業性だったり、あるいは経営者の資質だったり、だから貸すお金がちゃんと返ってくる、その将来性があると、やっぱりそういう意味での目利きですよね。何か、配偶者がどんな仕事を実際実務でやっているのかとか、後から争われるんじゃないかとか、そんなことを調べているんだったら、最初から公正証書をちゃんと取ってもらった方がよほどいいということになるんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっとそこは後で聞きたいと思うんですが。

ちょっともう一つ聞きたいと、ああ、それの前に、そういう意味で、どんな働き方であろうと、対価をもらっていようともらっていまいと、その事業に従事していれば保証人として公正証書の保護はないということになるわけですけれども、元々、保証人になるかならないか、なってふさわしいかどうかというのは、つまり事業のあるいは事業債務の、この法律上の考え方でいうとリスク、普通の金融、円滑な金融という観点からいえば経営や事業の将来性というようなところに、しっかりと責任を持てるのか、その認識は持てるのかということにあるんじゃないかと思うんですよね。

それを、ただでちょっと手伝っている、こういう人たちも含めてこれは入るんだというようなことになると、そもそもこの制度の趣旨からして何だか変な話になりませんか。

○政府参考人(小川秀樹君) 繰り返しになりますが、主債務者となろうとする者についての一定のリスクの有無についての認識が得られるかどうかというのが一つの基準でございますので、現に事業に従事しているということであれば、その要件を満たすということだというふうに考えております。

○仁比聡平君 そうあくまで繰り返されるわけですが、別の角度で聞きますが、この本条に言う配偶者と法律上の婚姻の届出との関係についてもうこれまでに質疑がありまして、届出の有無で区別する、つまり法律婚なんだと、配偶者というのはというふうに御答弁があっているわけですが、この法律婚か否かで区別するという合理的な理由がどこにあるのかもさっぱり分からないんです。配偶者が事実婚であったにしても、当然、経営の実態をよく把握しているという場合は当然あるわけでしょう。法律婚だったら把握しているとか、事実婚だったら把握していないとか、あり得ないじゃないですか。何でそんな区別をする合理的な理由があるんですか。

○政府参考人(小川秀樹君) 実質的なリスクの認識という点では、確かに法律上の配偶者と事実上の配偶者に差を設けるということは難しいのかというふうに考えておりますが、改正法案におきましては、事業のために負担いたしました貸金等債務について個人が保証人となる場合に、公証人による保証意思確認の手続を要しないという例外に該当するか否かという判断、これは契約の有効、無効に関わるものでございますので、その意味では形式的かつ客観的に容易に判断することが可能な要件とする必要が出てくるということでございます。

したがいまして、四百六十五条の九第三号に定める配偶者は、まさにその文言どおり法律上の配偶者を指すものでありまして、事実婚の配偶者は例外の対象とはならないものというふうに認識しております。

○仁比聡平君 いや、もう本当に苦しい答弁でしょう。

同じ例外規定になっているこの三号に、配偶者と同列に扱われるのが主たる債務者と共同して事業を行う者です。これは平たく言えば共同経営者と理解してよろしいでしょうか。

○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘ありましたように、改正法案では、事業のために負担した貸金等債務についての保証契約であっても、主債務者が個人であり、かつ保証人がその主債務者と共同して事業を行う者である者については、保証意思宣明公正証書の作成を要しないこととしております。

ここでいう共同して事業を行うということの意味でございますが、組合契約など事業を共同で行う契約などが存在し、それぞれが事業の遂行に関与する権利を有するとともに、その事業によって生じた利益の分配がされるなど、事業の成功、失敗に直接的な利害関係を有する場合を指します。

したがいまして、例えば共同して事業を遂行するため当該事業に出資をするとともに事業の遂行の一部を担っているなど、いわゆる共同事業者である場合には主債務者と共同して事業を行う者に該当するということでございます。

○仁比聡平君 前段といいますかね、それはそういう意味なわけですよ。配偶者であっても、そうした意味でのいわゆる共同経営者が公正証書によらずに保証意思を、保証契約を結ぶことができるということは、それは分かりますよ、百歩譲って。けれども、そういう共同経営者と配偶者を同列に置いて保護から外すというのは、これ不合理ではありませんか。

○政府参考人(小川秀樹君) 個人が事業を営んでいる場合には、その個人の財産がその事業に供され、かつその利益は個人に帰属することとなるわけですが、その個人事業主が婚姻しているときには、事業に供した個人の財産及び個人が得た利益は、その配偶者とともに形成した夫婦の共同財産であると評価され得るものでございます。

そして、夫婦の共同財産が事業に供されるだけでなく、その配偶者がその事業に従事しているのであれば、事業を共同で行う契約などが夫婦間に存在せず、共同事業者の関係にあるとまでは言い難い事例でありましても、財産や労務を事業に投下し、他方で利益の分配を受けているという点におきまして、実質的には個人事業主と共同して事業を行っているのと類似する状態にあると評価することができると考えられます。

また、比較的零細であることが多い個人事業主の事業を前提といたしますと、現に事業に従事している配偶者であればその事業の状況等を把握することは十分に可能であると考えられます。

そういたしますと、個人事業主の事業に現に従事している配偶者は、事業を共同で行う契約などがなく、形式的には共同事業者とは言えないものの、その個人事業主の事業の成否に強い利害関係を有し、その状況を把握することができる立場にあり、その意味で、共同事業者と同様に公正証書作成の例外とするのは合理性があるというふうに考えているところでございます。

○仁比聡平君 いや、局長のお言葉ですけれども、それは合理性あるとは言えないですよ。それは、共同経営者と類似する、そういう配偶者もいらっしゃるでしょう。けれども、そうじゃない配偶者というのだってたくさんいるじゃないですか。第一、従事するという言葉の意味は、先ほど確認したように、私は本当に無限定だと思いますよ。しかも、今おっしゃったような共同経営者に類似するというような状態、あるいは夫婦の共同財産、共有財産というふうな形になっていくというような実態が形成され得るというのは、これ、法律婚でも事実婚でも全く変わりませんよね。今おっしゃった議論をもって配偶者を保証人保護の例外とするという、これは私は通らないと思うんです。

ちょっと別の角度で聞きますけれども、これは、大臣もお戻りになりました、少し耳を傾けてもらえればと思うんですが、配偶者であれば事業のリスクについてもちゃんと把握し得るというお話があるけれども、そういう場合もあるでしょうけれども、逆の場合だってありますよね。

一緒の家に住んで、配偶者である。だから、父ちゃんがこの大きな借金を高利に書き換えようとしている、借り換えて、何とかこの苦しくなっている事業を維持しようとしている、無理かなと思うけど、お父ちゃんが頑張っているんだから私が保証人になって応援してあげなきゃね、世の中でもうお父ちゃんの味方は私しかおらぬもんって。これ、情義的な保証というんじゃないんですか。

あるいは、配偶者、おおむね夫の側ですけれども、家庭内暴力も含めて、その配偶者を常々制圧的に扱う人。保証人になるの当たり前やないかと、もう説明もしない。主債務の内容だとかその事業の見通しだとか、そういうものを語り合うなんてことは全くない。ここから金借りることにした、これ判こつけと。もうほぼ意思制圧されているという状況だってありますよ。

さらには、同じ家にいるわけですから、どこに奥さんの実印があるかとか印鑑証明のカードがあるかとか分かっていますから、だからこれ勝手に、俺が作って何が悪いと言って印鑑証明、そして実印を押して委任状を作れば、あるいは保証契約やっちゃえば、つまり保証契約の冒用ですよね、あるいは実印の冒用。こういうことだって具体的にいっぱい事件あるじゃないですか。

そうした中で、現に保証債務が現実化して、根こそぎ家族、奥さんの財産も奪われてしまうと、そういうようなこともあり得るんですよ。で、現にあるわけです。それを何で保護しないと言うんですか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいま仁比委員から御指摘がございましたお話を伺っておりまして、主債務者に抑圧をされて保証契約を締結させられるようなケース、あるいは主債務者が配偶者の印鑑を無断で使用する、そして配偶者に無断で配偶者を保証人とする保証契約を締結するといったようなことが実際に起こり得るんではないのかという御指摘があったと思います。そういったことを防止するためにも配偶者を例外とするのはおかしいんではないかという、そういう御指摘だったと思うんですが、改正法案の趣旨との関係で御説明申し上げるとすれば、保証意思宣明公正証書の作成を義務付けるのは、個人的情義等から保証のリスクを十分に自覚せずに安易に保証契約を締結することを防止することにあると。他方で、御指摘の問題は、保証のリスクを十分に自覚せずに安易に保証契約を締結するといった問題とは別のものであろうかというふうに考えられます。保証に固有の問題とも言えないものであろうと、こういうふうに考えられるわけであります。

したがいまして、御指摘の問題は保証意思宣明公正証書の義務付けによって対応するものではなくて、民法上、まずは強迫による意思表示は取り消すことができるとする第九十六条、あるいは無権限で締結された契約の効力に関する第百十三条無権代理といったような規定を基に対応すべきものではないのかと、このように考えられる次第であります。

○仁比聡平君 それはそうですね。そういう法律構成で救済を図るということは、それはもちろん可能ですけれども、そんなことせずに、公証人にきちんと、本当に保証意思ありますかということを確認する対象に入れれば一気に解決するんでしょう、公証人による公正証書で本当の保証意思が確認できるというお立場に立って政府は法案出しておられるわけですから。だから、あえて配偶者を外すということは不当ではないかと申し上げているんです。

先ほど来金融実務の話が出ておりますが、ちょっと金融庁お待たせしましたが、お尋ねしたいのは、結局、配偶者がいる方が、その配偶者が保証人に立っていないからお金は貸しませんと、そういうようなことが現実にあるのか、つまり、奥さんがいるのに、奥さんが保証しない限りは貸しませんというようなことが実際あるんでしょうか。

○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。

配偶者の方が個人保証を求められた場合の対応といたしましては、求めに応じて保証を締結するということによって融資が実行されるケース、あるいは配偶者は保証人にならないけれども代替的な担保や保証を提供することによって融資につながるようなケース、あるいは保証が提供されないということで融資条件が折り合わないで融資が実現しないケースなど、様々な事案があるものというふうに承知しております。

○仁比聡平君 そのとおりでしょうね。ですから、配偶者がいる方が、貸金、金融を受けようとするときに、資金を調達しようとするときに、配偶者が保証することが絶対条件だなんという、そんな世の中じゃないですよ。

五月十一日の鳥畑参考人が紹介をされた日弁連の二〇一二年の意見書の数字をちょっと紹介すると、第三者保証人を徴求していない割合は、政策金融公庫で一〇〇%、全てですよね、商工組合中央金庫で九九・九一%、信用保証協会の制度融資でいえば九九・八八%と。つまり、個人連帯保証契約というのはほとんどないというような実態にあるんではないかと思うんですね。

これ、もし、配偶者がいるけれども、その配偶者が共同経営に実質関わっているとかいうんであれば、あるいは逆に経営の実質的な経営者はその配偶者であるというような場合であればいざ知らず、結婚しているのにその相手が保証人に立たないからというその理由だけをもって貸し渋る、貸さないというようなことは、それ自体が私、もうちょっともはや問題だと言ってもいいんじゃないかと思うんですけど、金融庁、ちょっと御感想あれば。

○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。

先ほどお答え申しましたように、実務の対応としては様々なケースがあるというふうに承知しておりますけれども、金融庁といたしましては、過度に担保、保証に依存しないで融資をしていただきたいというのが基本的な考え方でございます。

○仁比聡平君 その過度に保証に依存しないということで、過度の依存からの脱却が政策的に追求をされてきているわけですけれども、今申し上げているのはつまり第三者保証ですよね。この第三者保証というのは、経済的合理性や経済的貢献が乏しいのに保証被害が広がるじゃないかというのが私や鳥畑参考人が申し上げている大前提なんですけれども、経営者保証というのはこれとはちょっと違うと。経営者保証というのは、信用補完や債権保全、あるいはモラルハザードの防止といった意味での経営の規律付けのようなこともあって、ここからの依存からは脱却しようということではあるけれども、経営者保証をどんなふうにしていくかということでいろいろ工夫をしておられるということだと思うんですよ。そうした中で、経営者保証の実情について鳥畑参考人が、新規融資の一四%が経営者保証を付さないものにもうなってきているという紹介ですが、まあ大体そんな感じなんでしょうか。

○政府参考人(栗田照久君) 経営者保証を求めないで融資を行うという事例が増えてきているということは承知しております。

○仁比聡平君 そういうときに、結婚していれば、法律婚の配偶者のみこうして公正証書の保護の例外にしてしまうというような、こういう考え方というのは、やっぱりこれは不合理であるということを否めない、不当だと言わざるを得ないと思うんです。

少し別の角度で同じ問題聞きますが、配付した資料の最後のページに所得税法五十六条というものの条文を紹介をしています。これは、中小自営業者の場合によく問題に、多く問題になるわけですが、家族、もちろん配偶者を含むわけですが、の働き分が税務申告上の必要経費として認められないということなわけです。ですから、この今の所得税法が大問題じゃないかということで一貫して運動が広げられてきたんですが、その長年の声があって、とうとう二〇一五年、一昨年十二月の閣議決定、第四次男女共同参画基本計画でこの問題が書き込まれることになりました。

内閣府、おいでいただいていますが、何と書かれているでしょうか。

○政府参考人(大塚幸寛君) お答えいたします。

委員御指摘の第四次の男女共同参画基本計画におきましては、「自営業等における就業環境の整備」といたしまして、「商工業等の自営業における家族従業者の実態を踏まえ、女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討する」とされているところでございます。

○仁比聡平君 大きな運動の力があって、元々この所得税法五十六条の論理そのものがおかしいじゃないかという議論も国会の中でも繰り返されて、この基本計画の記載に私はなっていると思うんですね。

財務省も丁寧に検討していくとおっしゃっているわけですが、その背中を押すように、二〇一六年の三月七日、国連女性差別撤廃委員会の総括所見で、この所得税法五十六条を見直せという、検討を求められることになりました。言わば政府の背中を押すという形なんですが、この撤廃委員会はどう述べたんでしょうか。

○政府参考人(大塚幸寛君) お答えいたします。

お尋ねの国連女子差別撤廃委員会より示された委員会の最終見解、昨年三月でございますが、以下のように記述をされております。

委員会は、締約国が農山漁村女性の政策形成への参画を制約する全ての障壁を取り除くこと、及び家族経営における女性の労働を評価し、女性の経済的エンパワーメントを促すため、所得税法の見直しを検討することを要請する。

以上でございます。

○仁比聡平君 そのように国際社会からも背中を押されているわけですよね。これは、元々家族の働き分を事業の必要経費として税務上認めないということが法律の理念としてどれほどおかしいか。皆さんも、先ほど来の民事局長の御答弁もそうですけれども、個人事業で家族、配偶者がどれだけ必死で働いているかということがおっしゃりたいわけでしょう、結局。朝の早くからの仕入れから、もう夜遅くの帳簿、帳面、本当に頑張っておられる方々たくさんいらっしゃいます。そうした中で、その働き分を正当な対価として評価するなら、年間例えば百五十万円とか二百万円とか、そういう賃金が支払われて当たり前と、そういう実態の労働を、この税務申告上は、この所得税法五十六条というのは、白色申告だと妻の場合八十六万円だけ、そのほかの親族は五十万円しか認めないというわけです。人間が実際に働いてそういう評価を受ける仕事をしているのに、それを税務上八十六万円あるいは五十万円としてしか認めない。これ極めて不当なんですよ。だから、この国際委員会の総括所見でも見直しをということが求められているわけですよね。それで、財務省もこれ見直していくという、そういう方向での丁寧な検討というのが進んでいるという状況でしょう。

大臣、きっとこうした議論も私以上によく御存じなのかもしれないんですが、つまり、事業主の家族や配偶者の働き分を独立して正当に評価しようと、人格を尊重して自立を社会のあらゆる場面で確立していこうという、そういう時代の流れのときに、元々個人の尊重を基本原理とする民法に、あえて配偶者がまるで事業や事業主の附属物のように扱う、先ほど来一体となっているというお話ありますけど、そういう規定を新設するというのは、これ前近代的だとは思いませんか。

○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しまして、まず前提でございますが、主債務者の配偶者を除外する理由、これも前に申し上げましたが、個人事業主に関しましてはやはり経営と家計の分離が必ずしも十分ではないということを申し上げましたが、そういう事情、それから、主債務者とその配偶者が経済的に一体であると見られることが多いことから、配偶者を保証人とすることによって金融機関から融資を受けている事例も現に少なくないという実情、こうした融資の実情も踏まえまして、改正法案の内容として、主債務者が個人事業主である場合のその配偶者について、主債務者の事業に現に従事していることを要求をいたしまして、主債務者の事業内容をなお一層把握可能な立場にある場合に限定をして例外として扱うこととしているわけであります。

この要件に該当する配偶者につきましては、これを主債務者の保証人とする実務上のニーズも強く、かつ保証のリスクを認識することも可能なものと言えるので、公証人による意思確認の対象としないことは相当であると考えているところであります。

御指摘ございました第四次男女共同参画基本計画に基づきます検討、この詳細については承知をしていないものの、改正法案は主債務者と配偶者を決して一体として見るといったものではなく、このような合理的な申し上げた理由から例外を定めることとしたものであると考えておるわけであります。

○仁比聡平君 決して世の中はそんなふうに受け止めていない、そのことは与党が御推薦になってこの委員会にお招きをした法制審に参加をされた山野目参考人や高須参考人も、共通してこの規定については大問題だという認識を示しておられるわけですね。

そうした下で、大臣がおっしゃりたいのは、極めて限定的なんだと、そういうふうに扱うんだとおっしゃりたいんでしょうけれども、実際、規定ぶりからするとそうならない可能性が十分あるわけですよ。これはもう速やかに除外する、削除するという提案を政府自身が速やかにされるということを強く求めたいと思います。

意外に早く進んでしまうもので時間がなくなってきましたが、保証人、そうした中で、配偶者はこの公正証書による保護も受けずに保証債務も負うということにこれからもなるわけですが、その下でその保証人の責任制限という議論があります。

前回も少し紹介をしかけたところでしたけれども、中小企業家同友会の全国協議会の私ども国会議員への要請では、経営者の資力に比例した限度でしか保証人は責任を負わない原則、これ比例原則の確立をという強い要望がありますし、参考人質疑で日弁連もあるいは鳥畑参考人も強くおっしゃったわけですね。

つまり、この中小企業家同友会の御提案でいいますと、保証契約で定められた保証人の負担が、保証契約の締結に至る諸事情に加えて、保証契約の締結時の保証人になろうとする者の資産及び収入に照らして過大であると認められる場合において、保証債務履行の際、その前二年間を平均した年間可処分所得の二倍に保有資産の価額を加えた額の限度まで保証人の責任を減じること、こういう制度にしてはどうかと、入れてほしいと。

これ、金融実務で随分いろんな取組がされていると思うんですが、まず金融庁にお尋ねしたいと思います。配付した資料の一枚目の紙ですが、これ平成二十七年度の累計というのが一枚目の紙にありますけれども、保証金額を減額した件数、これが数字が挙がっています。私が今紹介している問題意識とイコールかどうかはちょっとおいておいて、ここの数字の意味合い、それから二枚目に二十八年度の四月以降の実績が出ていますけれども、その前の年と比べても随分いろんな取組が進んでいるようにも見えるんですが、現場の取組というのはどんなことになっているでしょうか。

○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。

経営者保証ガイドラインにおきましては、経営者保証の契約時の債権者の対応といたしまして、形式的に保証金額を融資額と同額とせず、保証人の資産、収入の状況等を総合的に勘案して設定するということなどが記載されてございます。

民間金融機関がこの経営者保証ガイドラインに基づき保証金額を減額した件数は、今御紹介がありましたように、平成二十八年度上半期で八千四百八十九件、前の半期、これは二十七年の下半期でございますけれども、では八千百七十七件ということで、三百十二件の増加ということになっております。

また、具体的な金融機関の取組といたしましては、不動産担保による保全状況などを考慮して保証金額を減額した事案、あるいは経営者への規律付けということに関しては、保証金額は融資額の一定割合で十分であるという考え方の下に、有担保の場合には原則として保証金額を融資額の二〇%に限定するということを組織全体の方針とされている事例なども見られているところでございます。

○仁比聡平君 今回の法案には盛り込まれなかったんですけれども、これ大臣、一言で端的にいただけませんか。保証法制の中にこれ盛り込んでいくべき検討、これはやっぱりするべきじゃないですか。

○副大臣(盛山正仁君) 仁比委員御指摘のとおり、金融の実務では中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的かつ自律的な準則として経営者保証ガイドラインなどが活用され、債権者である金融機関等の判断により保証人の責任が軽減された事例があるということは承知しております。

しかしながら、法的に保証人の責任を強制的に減免するなどの方策を導入し、債権者の意思に反する場合にも保証人の責任を軽減することについては、法制審議会におきましても、裁判所が保証人の資産状況を適切に把握することは困難であり、保証債務が保証人の資力に比して過剰となっているかどうかの判断基準の設定も容易ではないこと、あるいは、主債務者の信用を補完するという保証の持つ機能が低下し、その結果、円滑な資金調達に支障が生ずるおそれがあるといった理由を挙げて反対する意見も強く主張されたところでございます。

そのため、改正法案におきましては、保証人の責任を強制的に減免するなどして事後的に制限する法的な仕組みの創設は見送ったものでありまして、そのような仕組みの創設については、改正法案の施行状況や金融実務における実情の変化などを踏まえた慎重な検討が必要であるというふうに我々考えているところでございます。

○仁比聡平君 恐らく実務の方向は、こうした責任制限や比例原則的な考え方を実際強めていくような流れに私はなるんじゃないかと思うんです。そこはよく見ていただいて、速やかな導入をお願いしたいと思います。

最後に、あと四分残りあって、これちょっと最後、民事局長にきっちり答弁をいただきたいというテーマがありましてお願いしたいと思うんですが、前回の十六日の質疑でも、一体、公正証書で保証意思を確認するというときに公証人は何を確認するのか、公証人が何法に基づいてどのような義務を負っているのか、実際に作成された公正証書がそういうしっかりした、保証人になろうとする者の意思確認がされていないということになったときに、この公正証書の効力というのは一体どうなるのか、その宣明証書に加えて作成された保証契約の公正証書の効力はどうなるのかという趣旨のお尋ねをいたしました。

少し局長の答弁を改めて議事録精査すると、おっしゃっていることが分かるようでいてもうちょっと分からない部分があるんですが、残りの時間で御答弁いただけないでしょうか。

○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。

まず、確認すべき事項でございますが、公証人は、保証意思を確認する際には、保証人になろうとする者が保証しようとしている主債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば、保証人は保証債務を負担し、主債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解しているかなどを検証し、保証契約のリスクを十分に理解した上で保証人になろうとする者が相当の考慮をして保証契約を締結しようとしているか否かを見極めることが予定されております。

仮に保証人の保証意思を確認することができない場合には、公証人は無効な法律行為などについては証書を作成することができないとする公証人法第二十六条の規定に基づきまして、公正証書の作成を拒絶しなければなりません。

さらに、保証契約に先立ち、保証意思宣明公正証書が作成されていなければならないわけですが、ここで言います保証意思宣明公正証書は、保証人になろうとする意思が表示されたものでなければなりません。したがいまして、保証意思がないにもかかわらず公証人が保証意思宣明公正証書を作成することは、これは民法上予定されておらず、そのような状態で公正証書が作成されたとしても、改正後の第四百六十五条の六、所定の公正証書には該当いたしません。

この結果、四百六十五条の六第一項に基づきまして、保証契約についても無効となると解されるというふうに認識しております。

○仁比聡平君 時間が来たので終わりますけれども、今の一番最後の局長の答弁は、実際これからこの法律が成立すれば、公正証書の効力をめぐって重要な論理なんだと思うんです。こうしたこの法の意味がしっかり公証人の方あるいはその実務に関わるとりわけ貸し手の方々に本当に周知されないと駄目なので、まず通達にこの公証人の義務などを記すということを前、御答弁になっていますけれども、この通達にできるだけ詳しくしっかりとこれを書き込むということと、それから実務界にしっかりと周知するということを強く求めまして、質問を終わります。