185-参-災害対策特別委員会-004号 2013年11月13日

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、桜島の噴火活動の活発化に伴って、灰ですね、降灰被害について特に伺っていきたいと思っています。
 お手元に資料を今お配りをしていますが、これは地元の地方議会で作られている桜島火山活動対策議会協議会の被害を伝える資料ですけれども、一枚目の八月十八日の噴火の写真のように、これ、私もこの後、鹿児島にお邪魔をしまして、この大噴火というのは大変なことですよね。この五千メーターを超えるというときも、これは観測史上最高なんですが、この後も繰り返し日々のように爆発を続けて、桜島の上は大きな灰の雲みたいなものが常時あるような状態で、これが風向きによって例えば鹿児島市の上あるいは垂水市の上というところに流れていって、少し離れた例えば国分の辺りから鹿児島市方面を見ても、この噴火の雲からどんどんどんどん、ざあざあざあざあ灰が落ちているというふうにかすんで見える、そんな事情です。ですから、下の写真にあるように、皆さん傘を差してというような事態になっているわけですね。
 二枚目に桜島の年間爆発回数を、昭和五十年以降の数字がグラフにされていますけれども、御覧のとおり、平成二十一年からの活動の活発化というのは大変な事態になっていると思うんです。ですから、この降灰の除去はもちろんのことですが、健康被害も含めて、あるいは今後大爆発が起こるのではないかという不安も含めて、市民の不安というのは本当に高まっているということの中なんですが、まず気象庁に、こうした桜島の活動についてどのように見ているか、御紹介いただきたいと思います。

○政府参考人(羽鳥光彦君)
 桜島の火山活動について御質問ございました。
 桜島では、平成十八年、昭和火口が五十八年ぶりに噴火活動を再開してございます。平成二十年以降活発な噴火活動が継続しておりまして、特に平成二十二年度以降は毎年八百回を超える爆発的な噴火というものを記録し、本年に入りましても本日までに既に七百八十五回の爆発的噴火がございました。
 特に本年は、七月以降、噴煙の高さが火口から三千メートルを超えるような活発な噴火活動がございまして、先ほど先生お示しした写真にありますように、八月十八日の噴火では噴煙の高さが火口から五千メートルに達するということで、その降灰が鹿児島市内から薩摩川内市にかけて広い範囲に及び、交通機関などに大きな影響がもたらされました。
 気象庁では、現在、桜島に対して噴火警戒レベル三の噴火警報を発表し、昭和火口及び南岳山頂火口からおおむね二キロメーター以内、これにつきましては弾道を描いて飛散する大きな噴石あるいは火砕流に警戒するよう呼びかけているところでございます。
 なお、現時点では大正噴火というような大規模な噴火につながるような兆候は見られませんが、これまでのような同様の規模の噴火というものは引き続き警戒が必要だと考えてございます。
 以上でございます。

○仁比聡平君
 その警戒も含めて、この火山活動の観測体制などについてもかねてから充実を私どもも求めてきたところですけれども、その質疑はまた別の機会に譲るといたしまして、この大変な灰の被害、ここについて所管の省庁に伺った上で、最後、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、まず道路なんです。
 この二枚目の下の写真の中に、道路の降灰除去作業を行っている車両の写真があります。これ、ロードスイーパーというふうに呼ばれていますけれども、御覧のとおり、これ、灰を除去するための極めて特殊な車両なわけです。この火山活動で多量の灰がずっと降るというこの地域だけが極めて需要が高いという、そうした車両でもあって、調達費、購入費が大変高いんですよね。しかも、特殊なものなので、メンテナンスをすることもなかなか大変で、部品がなかなかなくて直せないというような事態も起こると。
 この特殊車両が、ロードスイーパーが、お金が高いものだから元々十分な車両数がないんです。圧倒的に不足しているというふうにも言っていいくらいなんですが、この間、昭和火口からの噴火というふうに桜島の活動が変わってきまして、そうすると、この間の最近の桜島の灰というのは極めて粒子が小さくなって、パウダーのようになって、従来の様式のロードスイーパーでは上手に灰が取れないと。それで、ロードスイーパーが走ると、その細かい粒子の灰がもうもうと巻き上がってしまって、目を痛めるとかあるいは健康被害をもたらすのではないかという、そういう事態にもなっているわけですね。ですので、地元からは、こうした降ってくる灰の変化にもちゃんと対応できる十分な清掃能力を保持する高性能な降灰除去車両の開発を行っていただきたいという要望があります。
 加えて、元々が老朽化をしていると。購入後十九年以上経過をしているというのが車両の多くということになっていまして、買換えも含めた必要な事業費の確保というのが一貫した要望なんですね。
 この買換えに関しての地元の負担というのは、これは確かに補助事業があるんですけれども、灰が降らなければそうした事業費というのは必要ない中で、鹿児島市を始めとして地元の自治体の負担というのはこれは極めて重いというふうに思います。ですから、補助基準の緩和や補助率の見直し、つまりもっと補助率を上げてほしいというこの地元の要望も私はもっともなことだと思っているんですが、いかがでしょうか、所管担当大臣。

○政府参考人(森北佳昭君)
 降灰除去事業につきましては、活動火山対策特別措置法等に基づきまして、その年の一月から十二月までの年間を通じまして降灰量が一平方メートル当たり千グラム以上となる場合に降灰除去事業に要しました費用に対して補助することになっております。この場合、必要な機械器具の借り上げ、購入等の必要な経費も含めまして、降灰除去に要した費用を補助対象としているところでございます。
 この降灰除去車両の購入につきましては、近年では鹿児島市へ平成二十二年に一台、さらに平成二十四年に五台の降灰除去車両購入費用につきまして補助を行っているところでございます。
 なお、現行のこの補助制度では、借り上げ費用についても補助対象となっておるところでございまして、その場合には車両の納入期限等の問題もないというふうなことから、鹿児島市ではリース契約方式による降灰除去車両の確保について検討しているところというふうに聞いております。
 以上でございます。

○仁比聡平君
 今そこをお尋ねしようと思ったんですが、後段のところで先に御答弁いただきましたけれども、地元負担の軽減のために補助率の引上げも含めた事業費の確保を是非行っていただきたいと、これ強く要望をしておきたいと思います。
 加えて、リースという話がなぜ出てくるかというと、会計年度が一月から十二月までだというので、十二月までにその高いロードスイーパーが納車をされないと補助の対象にならないと。ですから、大体六か月ぐらい納車に期間が掛かるというので、六月には買う買わないという判断をしなきゃいけないと、地元としては。
 だけれども、噴火で大変な灰が降るというのは夏場が多いわけですよね。ですから、今回のように七月、八月というところでどか灰が降って、どうしたって必要だということになっているのに、地元では発注ができないという。前倒しをすると補助がされなかったときには自己負担が大変重いということになるわけですから、そうしたジレンマがないようにリース方式というのが検討されていると思うんですね。
 これ、つまり地元の負担をなくすためということなわけですから、そういう意味で、国交省としても積極的にそういう立場で支援するということでよろしいですか。

○政府参考人(森北佳昭君)
 委員御指摘のとおり、購入方式によります課題等ございます中で、地元鹿児島市においてはリース契約方式ということで、その点でのいろいろなメリットも考えて今検討していただいているというふうに承知をしているところでございます。

○仁比聡平君
 農道についてもちょっと伺いたいんですが、農水省おいでだろうと思いますけれども、この降灰、灰が、どか灰が降るということで、これが農道にたまれば、当然そこを走る農業用の作業車はもちろんですが、車はスリップをして事故を起こしかねないとか、あるいは巻き上げ、灰を巻き上げることによって周辺の農作物などへの甚大な影響があるということで、この農道の灰の除去ということももっともっと進めなきゃいけないということになっているわけですけれども、その事業の補助基準についてもっと明確にして、もっと活用できるようにしてほしいという要望はかねてからあると思います。いかがでしょうか。

○政府参考人(小林祐一君)
 農道につきましては、降灰により交通に著しい妨げとなることが適用要件となりますが、委員今おっしゃられましたが、降灰の性状でありますとか、あるいは路面の状況でありますとか、あるいは傾斜、勾配、そういった様々な要因がございまして、その降灰の厚さで単純に算定するのは難しいというような実態にございます。こういったことを踏まえまして、それぞれの現場での状況を見ながら、それぞれに応じて判断することとしております。
 例えば新燃岳の噴火、平成二十三年にございましたが、そのときには実車の実験を行いまして、降灰の厚さが十ミリメートル以上の場合には災害復旧の対象とするというような基準で運用したところでございます。
 以上でございます。

○仁比聡平君
 新燃岳の噴火のとき、委員各位も行かれたことがおありかと思いますけれども、もう桜島の今現状のどか灰どころの話ではなかったわけですよね、それは。ですから、先ほどのように災害復旧事業としてという対応にもなるし、車のスリップどころか、わだち、もう埋まって動けないというようなくらいの灰でした。
 そこに至らなければその農道についての除去の補助がうまく進まなくてもいいかといったら全然そんなことはないわけでありまして、今の基準では使いにくいという声が強く出されているわけですから、これは正面から受け止めていただきたいと、今日のところは強く求めておきたいと思います。
 いずれにしても、灰の性状などのお話がありましたけれども、農道の利用が早く速やかに整うようにという立場で臨んでいかれるということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(小林祐一君)
 委員御指摘のとおり、そういうような被害が生じないように意を体していくという、いろいろな検討課題はあるかと思いますが、委員御指摘のとおりだと思っております。

○仁比聡平君
 もう一点、これは今日、要望だけにしておきたいと思うんですけれども、農業生産のかかわりで、鹿児島、南九州いずれもですけれども、ビニールハウスが大変重要です。それで、そのビニールハウスの設置のときには様々な補助の事業があるわけですけれども、これが台風でハウスが壊れたというときには、その再建のために補助があるわけですが、灰がどんどんどんどん降って特にビニールが劣化してしまうといった場合の張り替えには、現状では補助がどうやらないようなんですよね。
 ここについて、是非張り替えについての補助をという声を強く伺ってまいりました。中には硬質ハウスといって、台風に強い、耐候性の強いということだと思いますけれども、しっかりしたハウスに関しては、普通のハウスとは違って、その張り替えは業者さんに頼む必要があって、そのためには数百万円というような、もちろんハウスの規模にもよるんでしょうけれども、費用が掛かって、到底自己負担ではできないと。したがって、十何年も張り替えていないというところも多いというふうに私の方では伺っておりまして、こういう生産者の苦しみが軽減されるように、是非新たな補助ということも含めて検討をしていただきたいということを今日は御要望申し上げておきたいと思います。
 それで、文科省にもおいでいただいていると思いますが、学校なんですね。垂水市の小学校、中学校にどうやら多いようなんですが、校庭にも当然どか灰が降るわけです。降ったときに、芝生が生えているところは灰を除去することがきっとなかなか難しいんですね。それで、グラウンドの方、土だけのところ、ここは案外灰が除去されていくと。だけれども、芝生のところは積もったままで更にその上に降り積もるという形になって、そうすると、芝生はその上に伸びていこうとするので、グラウンドの面から芝生の長さというか、高さといいますか、芝生が生えているところが段差がすごく高くなって、子供たちに支障が生じる。だけれども、この芝生を張り替えるということについてはなかなか現状難しいということになっているようなんですね。
 この対策を是非速やかにできるようにお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(関靖直君)
 火山の噴火に伴い学校の校庭等に堆積しました火山灰の除去につきましては、降灰除去事業といたしまして国庫補助の対象としておりまして、校庭の芝生のある部分につきましても、降灰除去、収集や運搬及び処分でございますが、これらの補助の対象としているところでございます。
 今お話ございました芝生の張り替えということでございますが、長年の降灰が除去されずに堆積した場合の芝の張り替えにつきましては、一定の要件はございますが、屋外教育環境整備事業の一環としての芝の整備ということもございます。そういったものなどによる支援が考えられるところでございまして、具体的な要望があれば、よく関係の地方公共団体の話を聞きながら相談をしてまいりたいと考えております。

○仁比聡平君
 今御紹介があった現状のその屋外教育環境整備事業なんですが、これは事業費が一千万円以上で、加えて平成二十六年度までの時限事業なんでしょうかね。これではちょっと使いにくいというのが現場の様子のようですが、もっと柔軟に、何しろ学校のグラウンドがそんな状態になっていたら困るじゃないですか。何とかなりませんか。

○政府参考人(関靖直君)
 今御説明を申し上げました屋外教育環境整備事業、事業費が排水や舗装などのグラウンド整備等と合わせまして一千万円を超える場合に対象となるものでございまして、二十七年度以降の延長につきましては現在のところ未定でございますが、こういった制度の活用、あるいは日本スポーツ振興センターが行いますtotoの助成における事業などもございます。
 こういった制度などもございますので、そういった制度の活用を含めまして、関係自治体からの具体的な要望があれば、よく状況をお聞きしながら相談をしてまいりたいと考えております。

○仁比聡平君
 大臣、お聞きになったとおり、どか灰に対する対策は何とかしようとしながらも、なかなか、被災地、被災者のニーズとの関係でいうと、突破すべきことがもっとたくさんあるんですよね。大臣として感想を一言伺いたいと思います。

○国務大臣(古屋圭司君)
 二十一年以降、桜島は爆発が増えて、降灰量多く、これはよく承知しております。
 今、国交省、農水省、それから文科省から答弁もございまして、言わば活動火山対策特別措置法に基づいてそういう対応をしておりますので、引き続き、しっかり現地の要望を聞きながらそういった支援をしていくように、関係省庁がしっかり連携して対応していくように、私からも督励をしてまいりたいというふうに思います。

○仁比聡平君
 よろしくお願いします。終わります。