裁判所の令状なしに捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査が問題となっていますが、警察がGPS捜査を行う際に対象犯罪を限定していないことが19日、日本共産党の仁比聡平参院議員が入手した警察庁の通達文書でわかりました。警察の判断でいかようにも使えるGPS捜査の問題点が浮き彫りとなっています。

仁比議員が入手したのは警察庁が都道府県警に通達した「移動追跡装置運用要領」(2006年)というマニュアルです。


「要領」は「他の捜査によっては対象の追跡を行うことが困難であるなど捜査上特に必要があること」と前置きした上で、対象犯罪7類型を提示。このうち6類型は「略取(りゃくしゅ)誘拐」などと具体的な犯罪を明示しています。

ところが類型の7番目では「犯行の手段、被害の程度等から判断して、社会的危険性又は社会的反響が大きく、速やかに被疑者を検挙することが特に必要と認められる犯罪」と対象があいまいになっています。警察の判断で、どのような捜査にもGPSを利用できる内容です。

今回、警察庁が開示した「要領」では、GPS端末を取り付ける対象が墨塗りで隠されています。「被疑者の使用車両」の他にも3対象に取り付けてよいとなっており、警察がどのように使用しているのか、いまだ全容はわかっていません。(しんぶん赤旗 2017年2月20日)