国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の即時開門を国に求めて、県内の漁業者が起こした訴訟が9月24日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)で結審しました。最終弁論で漁業者は、「漁民が希望を持てる開門の判決を」と訴えました。判決は来年3月10日に言い渡されます。

 意見陳述したノリ養殖を営む瑞穂漁協の男性(76)は「昨年収穫したノリは色落ちして売り物にならなかった。これではもうノリ漁はやっていけない。私がやめたら瑞穂漁協でノリをする漁民はいなくなる」と憤りの声を上げました。

 原告代理人の堀良一弁護士は、「国が有明海再生事業につぎ込んだ公金は500億円に達しているが、再生の展望は見いだせていない。開門をタブー視していては、有明海は再生しない」と厳しく批判しました。これに対し国は開門請求の棄却を求めました。

 裁判後の報告集会で馬奈木昭雄弁護団長は、裁判長から和解について確認されたが、国は開門なしの和解協議に固執し、決裂したことを報告。「徹底的にたたかうしかない。漁民もがんばるが、農民、市民らの声を結集し運動を大きく広げていこう」と呼びかけました。

 裁判には日本共産党の仁比聡平前参院議員も駆けつけ、「有明や島原の漁業をとり返さなければいけない。総選挙で安倍政権を追いつめ、有明海再生でも希望を切り開く政治をつくっていきたい」と力を込めました。

 同日、別の漁業者による第4陣開門請求訴訟も新たに始りました。(しんぶん赤旗 2019年9月27日)