長崎県の国営諫早湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審第3回口頭弁論が9月30日、福岡高裁(岩木宰裁判長)でありました。
 
 国側は2013年以降、諫早湾周辺の漁獲量が回復しつつあるとし、福岡高裁が確定判決で命じた開門の強制は許されないと主張しました。
 
 漁業者側は、国の漁獲量増加の主張は、一部の魚種に限られており、締め切り前の豊かな海に回復しているとはとても言えないと反論。また、確定判決では「漁獲量の減少、または漁獲物の質の低下のどちらかが認められれば漁業被害は存在する」と述べており、量だけでなく、質も向上していなければ漁業被害が減ったとは言えないと主張しました。
 
 弁論後の報告集会で馬奈木昭雄弁護士は「確定判決は、量と質の問題と言っているが、国は勝手に量の問題だけにすり替えている。事実をごまかした主張には絶対に負けない」と批判しました。
 
 オンラインで参加した熊本県の漁業者の西川幸久さんは「後を継ぐ人たちがいるので海を取り戻したい。常時開門で有明海を元に戻し、豊穣(ほうじょう)の有明の海を若い人に託したい」と力を込めました。
 
 弁護団で日本共産党の仁比聡平前参院議員が参加。野党各党からメッセージが寄せられました。(しんぶん赤旗 2020年10月2日)