「宝の海をかえせ!」「われわれはもう待てないぞ!」―。9月10日、300隻以上の漁船が長崎県の諫早干拓潮受け堤防沖に結集し、「即時開門」を求めた海上デモ(抗議行動)を行いました。1000人を超す漁業者らが「有明海再生」を目指し、酷暑のなか声を張り上げました。

 有明海沿岸は潮受け堤防閉め切り以後、ノリの色落ち、タイラギのへい死など深刻な漁業被害が続き、「開門」を求める切実な声が上がっています。

 海上デモは佐賀県有明海漁業協同組合が長崎、福岡、熊本各県の漁業者に呼びかけたもの。大漁旗をはためかせた漁船群が列をなして疾走し、午前10時すぎには潮受け堤防北部排水門沖に続々と集い、海上を埋めました。

 「被害知れ 即時開門」と1文字ずつ描かれたブルーシート8枚を漁船9隻で広げ、アピールしました。漁協幹部らが先頭に立ってハンドマイクを握り、「有明海漁民の声を聞け!」などと約30分間にわたって唱和。「開門調査」を先送りする民主党政権に、漁業者の総意を突きつけました。

 同漁協大浦支所運営委員長の赤木勝蔵さん(66)は「有明海はもう待てない。ギリギリの状況だ」と語っていました。

 海上デモには、日本共産党の仁比聡平前参院議員が参加。陸上の北部排水門突堤では、市民らが激励集会を開きました。(しんぶん赤旗 2010年9月11日)


元の海へ 漁民と共に/陸上でも激励集会 長崎・諫早

 長崎県諌早市の諫早湾潮受け堤防の早期開門を求め、有明海沿岸4県(長崎、佐賀、福岡、熊本)の漁船団が海上デモを行った9月10日、陸上でも同堤防北部排水門突堤に漁民・市民ら約150人が集まり、激励集会を開きました。

 「諌早湾や有明海を元の海にしたい」と活動する「諫早市民の会」の池田オチホさん(80)は、市民ら1万人の署名を集め長崎県議会や市議会に請願したことを紹介し、「宝の海を守る漁民の方たちの思いにこたえ、ともに頑張りたい」とエールを送りました。

 日本共産党の堀江ひとみ長崎県議は、「4県の漁民の声を代表し、県議会で頑張っています。『漁民を見殺しにするな』との私の発言は議会で削除されましたが、この暴挙を許さず、漁民の声をまっすぐ届けるたたかいをしたい」とのべ拍手を受けました。

 佐賀県鹿島市の松尾征子・党市議は、「漁民の生活を守ることは地域経済や市民の暮らしを守ることになります」と訴えました。

 集会に参加した長崎県・橘湾の漁民(男性)は、「赤潮が例年より1カ月も早く、しかも海面だけでなく底まで広がり魚もカニもいなくなった。水産県・長崎といってもこれほど漁民を苦しめる県政は無い」と語っていました。(しんぶん赤旗 2010年9月11日)