長崎県の諫早湾干拓事業潮受け堤防の常時開門を求める「よみがえれ!有明訴訟原告団」など5団体は7月16日、5300人余の開門調査を求める署名を農水省に提出しました。「有明海異変と漁業不振に苦しむ漁民らの自殺が相次いでいる」こともあげ、一日も早い中長期開門調査と農地の排水対策などを求めて農水省の担当者と交渉しました。

 交渉には、有明漁民(46)と松永秀則さん(55)=同原告団長=と同弁護団、有明海漁民・市民ネットワーク、諫早干潟緊急救済本部・東京事務所のスタッフら十数人が参加。日本共産党の仁比聡平参院議員が同席しました。

 松永原告団長らは、7月はじめにかけての大雨で同干拓事業の調整池背後地の農地が浸水する一方、調整池から湾内に排水された汚水で赤潮被害が発生するなどの影響が出ている事実を指摘。潮受け堤防排水門を開放した場合の影響を予測する農水省の事前環境影響調査に早くても6、7年もかかるとして、開門調査の早期着手と、大雨で浸水する農地の排水対策、調整池の代替農業用水源確保を急ぐように求めました。

 7月初めに諫早市森山地区の水田などが大雨で浸水したことから、調整池が農地の浸水被害解消には不十分であるばかりか、調整池からの淡水が漁場に流れ込むことで漁業被害の原因になっています。

 このため同原告団・弁護団は、石破茂農水相にたいして開門方法を工夫しながら調整池の淡水を海水に入れ替えることを求める要請書も提出しました。(2009年7月17日(金)「しんぶん赤旗」)