超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」は8月28日、長崎県諫早市を訪れ、漁業被害で漁業者が一方的な不利益を強いられるなど、矛盾が噴き出している国営諫早湾干拓事業の現状を調査しました。

 調査は29日までの予定で、初日は日本共産党の仁比聡平参院議員、畠山和也衆院議員、民進党からは大串博志、初鹿明博、鈴木克昌各衆院議員が参加。同市小長井と佐賀県太良町大浦の漁業者ら約20人から、干拓工事と潮受け堤防排水門の閉め切りで深刻な漁業被害が続いている実態について聞きました。

 「防災のために干拓が必要で、湾内の漁獲高減少は2~3割だと言うから、しぶしぶ同意したのに、タイラギ(二枚貝の一種)がほとんど取れなくなるなど、干拓以前の漁業は、ほとんどゼロになった。国はわれわれをだまし、有明海を死の海にした」との怒りや、司法が開門調査を命じた確定判決をほごにしようとする国への強い反発の声が出されました。

 カキ養殖を営む男性(29)は「結婚相手の両親を『開門判決が確定したので、安定して漁で生活できます』と説得したのに、合わせる顔がない。一日も早く開門を」と訴えました。会社員の男性(35)は「排水門閉め切り後、魚が取れず両親はけんかばかり」と語り、「漁師の子として自分も漁をやっていきたい」と訴えました。

 一行は、干拓農地やアオコの発生で調整池の水が緑に変色した潮受け堤防の状況も視察し、「よみがえれ! 有明訴訟」弁護団の堀良一弁護士らから、開門しても農・漁業が両立できる道はあることなどについて説明を受けました。(しんぶん赤旗 2017年8月29日)