安倍政権が「テロ等準備罪」と呼ぶ「共謀罪」法案で、誰のどんな「合意」が対象となるかは、警察の判断次第であることが国会審議で明白になるなか、警察官による職務質問や所持品検査も「共謀罪」を念頭に行われることがはっきりしました。日本共産党の仁比聡平議員が3月9日の参院法務委員会で追及しました。

 法務省は、「合意」だけで「準備行為」のない段階では、捜査はできないとの見解を示しています。(1月31日参院予算委、林真琴刑事局長)

 仁比氏は「それは、すでに起こった犯罪の、令状を取った強制捜査や任意捜査のことだ」と指摘。何か犯罪はないかという、警察官による見回りや警備、職務質問は「共謀罪」も念頭に行われるのかとただしました。警察庁の白川靖浩長官官房審議官は「犯罪の限定はない」と答えました。

 金田勝年法相は、処罰対象となる団体が「組織的犯罪集団」に当たるかは「当該事案の時点」において判断されると述べています。仁比氏は、その「時点」がいつかも追及。林刑事局長は「合意」があった時点だと、事実上認めました。

 仁比氏は8日の参院予算委で、犯罪の下見と散歩を例に、「準備行為」と日常生活のさまざまな行為の違いはあいまいで、警察が行為の目的・内心に疑いをかけることになり「庭先の桜をのぞき込んだだけで職務質問を受ける息苦しい社会になる」と警告しています。

 両日の質問で、捜査機関が、「組織的犯罪集団」とみなした団体で犯罪の「合意」があったと判断すれば、散歩などの日常生活の行為も、共謀罪(「テロ等準備罪」)だと疑われる危険性が浮き彫りになってきました。(しんぶん赤旗 2017年3月10日)