○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 有明海再生といわゆる開門調査につきまして、政府・与党の検討委員会は大詰めと言われておりまして、その提案を受けての大臣そして内閣の政治決断が山場を迎えているわけですけれども、今日、この問題についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、前政権による有明海問題にかかわる支出を〇八年、〇九年の予算ベースで農水省に整理をしていただきました。お配りしている資料の一枚目がそうです。(資料提示)

 このように様々な事業にわたりまして、中でもこの二つ目の項目の有明海対策として実施される事業の数字は、これ有明海を含む全体の内数ということですから、今日、額として固まった数字を申し上げることはできないわけですけれども、いずれにしても相当の額に上るということは言えると思うんですね。

 このそれぞれの事業の効果については今日は踏み込まないでおきたいと思うんですが、お尋ねをまずしたいのは、こうした事業によって有明海の再生が果たされたのかといえば、これはほど遠いということでございます。

 私事にわたりまして恐縮ですが、私の父は有明海の三池炭鉱の炭住で育ちまして、戦後、食料難の時期に小学生で、放課後に一斗缶を二つ手にぶら下げて干潟に参りまして、あの炭住の目の前が三池の干潟なんですね。ここでアサリだとかアゲマキだとか、これを小学生が缶々いっぱいに取りまして、これを市場に持っていって、一缶分は教科書代や小遣いにする、もう一缶分は一家の夕食のおかずにすると、そうやって暮らしてきたわけです。有明海というのは、それだけ豊かな生産性、生物多様性を持っていた宝の海でした。それが諫早湾干拓事業の着工以来、漁獲量の激減に象徴される有明海異変によって、一過性ではない、継続し、累積し続ける被害にさらされてきているわけです。

 そうした中で、大臣もお聞きになられたことがあるかと思いますけれども、一九九九年以来を見ましても、沿岸四県で四十代から六十代の働き盛りの有明海漁民の自殺がほぼ毎年続いています。ノリの凶作によって、数千万円に上る設備投資の借金の返済や、保証人に迷惑を掛けられないという苦悩の中で、あるいは、年一千五百万円あるいは二千万円という水揚げがあったタイラギの休漁によって著しい生活苦と多重債務に追い込まれて、その自ら命を絶つ態様も、ノリの荷揚げ用のクレーンで首をつられた方、あるいはエビ漁の作業小屋で網を掛けて首をつられた方、本当に痛ましい事態が毎年続いてまいりました。本来、明るく豪快な気質の有明漁民がここまで追い詰められていると。そうした中で、漁村の地域経済は土台から壊されて、若い方々も漁村で暮らせなくなって、ですから、小学校の入学する新しい児童が二人になるあるいはゼロになる、村の祭りもできなくなると、そうした状況が広がっているわけですね。

 前政権の下での有明海再生事業の現状を率直に見るなら、私は、漁民がよみがえれと願っているかつての宝の海、有明海の豊穣さとは比べるべくもないと私は思うんですけれども、この点についての大臣の御認識はいかがでしょう。

○国務大臣(赤松広隆君) 私どもは、この問題について郡司副大臣の下で今検討委員会をやってもらっていますが、そのこととは別に、私自身のまた勉強のためにということもございまして、この間、十四、十五、四県をそれぞれ回らせていただきました。賛成派、反対派、いろんな方差別せず、広く大臣に物を言いたいという方には全部来ていただきまして、いろんなところでお話も聞きましたし、また今お話のあった豊穣の海とかつて言われた有明海にも実際船に乗ってその今実態も見させていただくということで見させていただきました。

 そういう意味で、それぞれ今日までいろんな予算が組まれ、有明海再生のために事業として行われてきた。全くこれも意味がなかったかというと、そうではなくて、一部には、覆砂だとか、中をこう、何というんですか、田んぼでいうと、畑でいえば耕すような形での事業等、一部これによって貝が、シジミが取れるようになったとかいうところもありますけれども、全体として、ノリの色焼けや、あるいは貝、それからまた豊富な魚種の漁獲ということについては大変これは落ち込んでいるということは事実でございます。

 そんな意味で、多くの人たちがその原因が諫早湾のあの潮受け堤防にあるのではないかと言う中で、ただ、開けろという方も、果たして本当に一〇〇%それが原因なのかどうか分からない、ただ、それを調べるためには是非開けて調査をしてほしいと。もしかしたらそれが直接的な原因ではなくて、生活排水等も有明海に大分流れ込んでいるので、そういうことも原因の一つかもしれないと。いろんな理由があるので、そういうことを含めて、とにかくまず開門調査をしてもらいたいという御意見。あるいは、長崎県では、反対に今度はみんな鉢巻きされた方たちがどんどん押し寄せてきて、その人たちは、何としても開けるなと、開けたら、防災上も、あるいは既に短期の開門したときと違って本格的な営農についても今もう始まっていると、四十一企業、団体でしたかね、やっているということで、その作られたトマトも食べさせてもらいましたけれども、そういう形でいろんな御意見がございました。

 そういう意味で、私は、とにかくいろいろな今日までの経過がございますけれども、政権交代もあったわけですから、そういう意味では白紙の状態でもう一度この問題についてこの政権としてきちっと方向性だけは出させていただきたいという思いの中で、郡司副大臣にそのプロジェクトの座長をやっていただいて、後で副大臣に聞いていただいた方がいいかもしれませんが、精力的に調査等をやっていただく中で、このゴールデンウイーク明けか、当初は今月中にというお話でしたけれども、報告をまとめていただけるということを聞いておりますので、近くその報告をいただいた上で私自身のまた考え方をまとめ、皆さん方にお諮りをしていきたいと、こんなことを考えております。

○仁比聡平君 私は、有明海の再生のためには相当額の予算は必要だと思うんです。そして、今大臣もおっしゃられましたけれども、覆砂や海底耕うんがこれ一切効果がなかったと申し上げるつもりはないんです。そうした意味では、予算が掛かる、けれどもこのお金をどういうふうに使うのか、本当に再生につながる使い方に転換する、あるいは発展をさせる、そうしたことが漁業者、そして沿岸の市民からも新政権に対して強く求められているなということ