2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」

岩手・宮城地震

 

元の生活へ一日も早く

仁比議員 政治の支援の要に



(写真)質問する仁比聡平議員=20日、参院災害対策特別委

日本共産党の仁比聡平議員は6月20日、参院災害対策特別委員会で岩手・宮城内陸地震の対応について質問しました。

仁比氏は、現地調査に入った宮城県栗原市で、孤立した花山地区の人たちがいる避難所を訪問した際、「早く自宅に戻りたい」「牛がどうしているかば かり考えている」など不安の声があがったことを紹介。「すべての被災者が一日も早く、もとの集落に戻って、もとの生活ができるように支援することが政治、 行政の支援の要になるべきだ」と強調しました。内閣府の加藤利男・政策統括官は「地域のコミュニティーの維持からも、まずライフライン等の復旧に全力をあ げる」と述べました。

「生活再建のうえでは、生活の基盤である住宅の再建も緊要の課題」とした仁比氏は、昨年改正された被災者生活再建支援法の柔軟な適用、活用を要望しました。

また、農業用の用水路が崩壊した写真を示しながら、農業被害が拡大しないよう早急な対応も求めました。

農林水産省の齋藤晴美・農村振興局整備部長は「用水路などの早期復興に努める。東北農政局では用水供給用のポンプを無償で貸し出しできる体制にある。要請があれば現地への搬入、設置まで農政局がやる」と答弁。「できるだけ営農に支障がないよう対応する」と述べました。

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第169回国会 参議院災害対策特別委員会 第5号
2008年6月20日 仁比聡平参議院議員
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
この度の岩手・宮城内陸地震で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
これまで御質疑、御答弁がございましたけれども、私からも、行方不明の方々の捜索や救助、それから河道閉塞の緊急対策を始めとした二次被害の対策、そして上水道、伺いますと、井戸水を利用されてこられた方々がその濁りや水脈の変化などで御苦労されているということもありまして、これらのライフラインの確保、そしてできる限り地方負担を軽減する激甚災害の速やかな指定を強くお願いをしておきたいと思います。これらの点について政府が挙げて取り組んでおられることは私も承知をしておりますので、今日は御答弁は求めずに、強く要望をさせていただきたいと思っております。
これからの取組について少しお尋ねをしたいと思うんですけれども、私も発災の翌日、宮城に入りまして、栗原市を中心に調査をさせていただいてまいりました。その中で一つお伝えをしたいと思いますのは、花山地区から避難をしておられるその避難所にお邪魔をしたときに、被災者の方々の一日も早く自宅に戻りたいというこのお気持ちに私たちがどうこたえるかと、ここがやっぱり問われているということだと思うんです。
お手元に二枚ほど資料をお配りしましたけれども、一枚目の写真に牛を避難させる被災住民の方の姿がございます。収入の本当に大きな部分を占める牛がどうしているだろうかと、避難所にいてもそんなことばっかり考えているという声がございました。また、イワナの養殖をされている方々にとりますと、水がきれいであって初めて成り立つんだけれども、このままでは数日で駄目になってしまうかもしれないと、そんなお気持ちの中で、ずっと頑張ってきた集落を離れた避難所で不安を募らせていらっしゃる思いが本当にひしひしと伝わってまいりました。
一方で、高齢化も進む集落ではあるんですけれども、長年一緒に暮らし生きてきたという、そのコミュニティーによって被災者がお互いに励まし合って支え合って頑張っているお姿も拝見をいたしまして、やっぱりこのコミュニティーを取り戻す、一日も早くすべての被災者が元の集落に戻って元の生活を取り戻せるように支援するということが私たち政治、そして行政の支援のかなめにやっぱりなるべきではないかと思うんですね。
この辺りについてどのようにお考えでしょうか。○政府参考人(加藤利男君) 今御指摘ございましたように、今回の地震では多くの方々が集落を離れた避難を余儀なくされておりまして、早く家に戻ることを強く望まれているというふうに考えております。
こうした御要望に対応いたしまして、また御指摘いただきましたように地域のコミュニティーの維持という観点からも、まず道路や河川、さらには水道等のライフラインを早期に復旧させることが何よりも必要であるというふうに考えておりまして、政府としてもこれらに全力を挙げていくという考え方でございます。○仁比聡平君 今申し上げた点についても、大臣に私どもの党としても要請をさせていただいたときにお気持ちも伺っているところでございますが、そうした元の生活を取り戻すというときに、一つは生活の基盤である住まいをしっかり再建するということが何よりも緊要の課題になるということでございます。昨年、この委員会で改正を実現をいたしました被災者生活再建支援法の改正のその思いも、その何よりも基盤となる住宅にできる限りの公的支援をということかと思うんですね。災害救助法の適用によって住宅の応急修理が今後当然大きな要求であり課題になってくるかと思います。それから、被災者生活再建支援法もこれから住宅被害の実態の調査が進むにつれて、その適用、あるいは柔軟な適用、活用ということも求められてくると思うんですが、住まいの再建こそというこの支援法の改正の趣旨、精神を十分に生かして取り組んでいただきたいと思いますが、それぞれいかがでしょうか。○政府参考人(加藤利男君) 被災者生活再建支援法の適用につきましてお尋ねですが、この被災者生活再建支援法の適用の基準が市町村単位で十以上の世帯の住宅に全壊被害が認められた場合等に適用するということになっておりまして、まず被害状況を見極めることが先決ではないかというふうに考えてございます。いずれにいたしましても、被災者生活再建支援法の適用要件を満たすという事態になりますれば、法律の規定に従って制度の適正な運用に努めてまいりたいというように考えております。

○政府参考人(宮島俊彦君) 災害救助法の応急修理の関係でございます。
地震が十四日に起きまして、同日中に五市二町で災害救助法が適用されております。現在、家屋の調査がなされております。その後、市町村の応急修理の受付が行われるという段取りになっております。厚生労働省といたしましては、今後とも地元の自治体の相談に十分応じて、被災者ニーズを踏まえた迅速な対応に努めてまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 生活再建支援法の件については、今の段階では統括官がおっしゃられたような御答弁にとどまるというのは私も理解しているところでございますので、これからの住宅被害の調査、それから実際に住宅の再建を支援するというこの手だてを私どものこの改正の趣旨、精神を生かして是非積極的に取り組んでいただきたいと強くお願いをしておきたいと思います。
一点具体的に、資料の二枚目なんですけれども、農業用水の確保の問題についてお願いをしておきたいと思うんですけれども、生業である農業、これの被害をこれ以上拡大しないということは大変重要でございまして、この写真は栗原市の文字津花地区にある穴山堰という用水路の被害の状況です。ここの写真の下の部分になるのが二迫川なんですけれども、ここの川の傾斜地が崩落をして、そこに設置をされていた水路が御覧のように、右手が上流、左手が下流なんですが、崩落をしてしまっていると。この下には川の水があるわけなので、これをポンプアップしてまだ残っているところに流せば、この下流域に十町歩の水田があって、田植も終わって、これまではすくすく育ってきていたわけです。
こういった被害を広げないために、こうした場所はここ以外にも幾つももちろんあるかと思うんですけれども、対応を急いでいただきたいと思いますが、農水省、いかがですか。

○政府参考人(齋藤晴美君) 今回の岩手・宮城内陸地震による農地、農業用施設の被害状況などにつきまして現在鋭意調査を進めているところでございます。
地震の影響により農業用水の供給に支障を生じている地域では、作物被害の防止等のため災害査定を受ける前に復旧工事に着手することができるいわゆる査定前着工を活用して用水路等の早期復旧に当たるよう関係県等に周知しているところでございます。
また、東北農政局では用水供給用のポンプ三十一台を準備しておりまして、無償で貸し出しできる体制を整備しております。具体的には、被災した農業用水路等の管理者等から市町村が相談を受けまして、当該市町村から要請があれば速やかに現地への搬入、設置まで農政局が行うこととしております。
なお、昨日、宮城県栗原市等から要請を受けまして、現地にポンプを四台設置したところでございます。
今後とも、県を始め関係機関との連絡を緊密に図りつつ、農業用水路等施設の早期復旧に努めるとともに、農家の意向も踏まえまして、できる限り営農に支障がないよう適切な対応に努めてまいりたい、このように考えております。

○仁比聡平君 ありがとうございました。
大臣、せっかくですから、思いがございましたら一言いただければと思います。

○国務大臣(泉信也君) 先ほど来、政府参考人からお答えをいたしておりますように、これから時間とともに対応すべき政府の役割は変わってくると思っております。
何はさておき、人命救助ということは引き続き重要なことでありますと同時に、生活の安定化に向けて取り組むべき課題に全力で取り組んでまいる覚悟でございます。

○仁比聡平君 終わります。