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公式発見から5月で60年となる水俣病問題の解決をめざし、全国公害弁護団連絡会議は3月26日、熊本市でシンポジウムを開きました。患者団体「水俣病不知火(しらぬい)患者会」の裁判などをたたかう被害者や全国の支援者ら、130人が参加しました。

記念講演では「メディアから見た水俣病」と題し、熊本日日新聞の高峰武論説主幹が、加害企業チッソを守るために国が被害を放置、拡大させた責任などにふれ「やるべきことをやらなかった不作為が水俣病事件」と強調。国やチッソが何度も幕引きをはかる中、被害者が声を上げ続け、歴史をひらいてきたとのべました。

パネルディスカッションでは、潜在患者の掘り起こしを続ける「公害をなくす熊本県民会議医師団」の高岡滋氏、熊本と新潟でノーモアミナマタ第2次訴訟をたたかう弁護団の園田昭人、中村周而両団長を交え、いまだ全面解決に至らない現状と打開の展望について議論されました。

高岡氏は、医師団の調査で国の救済策が指定する対象地域外に明らかな被害が確認されているにもかかわらず、それを踏まえた広範な住民健康調査を実施しようとしない国の姿勢を批判。園田氏は、国が水俣病の全貌解明に背く背景には、被害を隠蔽(いんぺい)・矮小(わいしょう)化することでチッソの救済をはかる意図があると指摘しました。

日本共産党の仁比聡平参院議員があいさつで、超党派の「水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会」を結成したことを紹介し、国の被害者切り捨て策を転換させるため力を尽くすと訴えました。
(しんぶん赤旗 2016年3月27日)