水俣病特別措置法の救済対象地域外で、水俣病の潜在被害者が数多くいるとされている熊本県天草地域を訪ね、被害の実相と被害者の生の声を見聞する「ミナマタ現地調査」が8月28日から、始まりました。主催は水俣病不知火(しらぬい)患者会などで構成する同実行委員会。200人あまりが参加しました。29日までの予定です。

 調査は、約2㌔先が救済対象地域の天草市倉岳で実施。「こんなに近かでしょう。どれだけ水銀が広がっているか計りしれない」。地形を見下ろす山頂から、ノーモアミナマタ原告団の岩崎明男さん(56)が語ると、参加者からは驚きの声がもれました。

 40年間、水俣病に取り組んでいる藤野札医師が「模擬検診」を披露。強い全身性の感覚障害がみられる、濱本重子さん(68)を実際の検診の流れで、検査手法や症状の表れを参加者に説明しました。

 濱本さんは、首から肩にかけてチリチリとしたしびれ、耳の奥でセミが鳴くような感覚に苦しみます。昨年9月の検診で「水俣病疑い」と診断されました。「区域外だからできないというのではなく、平等に救済してほしい」と訴えました。

 東京から初参加の進藤光子さん(66)=東京公害患者と家族の会=は、「海に境はありません。公害に対して全国をあげてたたかう必要がある」と話していました。
 29日は、すべての水俣病被害者救済などを求める決起集会が開かれ、仁比聡平前参院議員が挨拶しました。(しんぶん赤旗 8月29日)