2007年12月21日(金)「しんぶん赤旗」

政治資金規正

「改正」法案を可決 参院委 仁比議員「監査は形式的」


与野党協議でまとめられた政治資金規正法「改正」案が12月20日、参院の政治倫理・選挙制度特別委員会で、日本共産党を除く各党の賛成で可決しました。二十一日の参院本会議で成立する見通しです。

採決に先立つ反対討論で日本共産党の仁比聡平議員は、同委員会での審議が「わずか一時間しか行われないのは問題だ」と指摘。政治資金の公開は、国民の不断の監視のもとにおくのが基本だとのべ、「(新設する)『監査』は、収支報告の記載内容と会計帳簿、領収書などをつきあわせるにすぎず、形式的適正を確認するものにすぎない。結局この政治資金監査は、弁護士、税理士、公認会計士という専門家の『お墨付き』をえたいだけだとのそしりを免れない」と批判しました。

そして、「監査」のために新たに「適正化委員会」をつくることに触れ、「そのために予算をつぎ込むことはまったく不必要」「収支はそのまま公開すればいい」と指摘。「今後、監査を厳しくするなどの方向になれば、政治活動の自由への介入になりかねない」と強調しました。

同時に、収支報告書の公開時期を遅らせたことや政党助成金の支出の全面公開を除外したことなどの問題点も指摘しました。

仁比氏は、企業団体献金や政党助成金など「政治資金の『入り』の問題を検討することが、国民の政治不信を払しょくするのに不可欠だ」と強調しました。

監査人制度を批判

日本共産党の仁比聡平議員は12月20日、参院の政治倫理・選挙制度特別委員会で政治資金規正法「改正」案に関し、目玉とされる「監査」とは何かただしました。

仁比氏は、新しく導入される「登録監査人」の職務は、収支報告書と会計帳簿や領収書のつきあわせなど形式的なものであって、「支出状況の真実性を見抜く責任はないということか」と質問。提案者の一人である大口義徳衆院議員は「ご指摘の通りだ」と答弁しました。

仁比氏は、実際の運用上、監査の過程で領収書が虚偽ではないかなどの疑いを持つ可能性に言及。「監査人に会計処理をただす責任があるということになれば、それにふさわしい調査や権限が必要になる。もしそういうことになれば政治活動の自由との関係でも難しい状況になる」と矛盾点を指摘しました。

その上で、「こうした複雑なやり方を持ち込むのではなく、政治資金の収支をストレートに公開し、国民の不断の監視のもとにおくべきだ」と強調しました。

さらに仁比氏は、政治家と顧問関係にある弁護士などが登録して監査することが妨げられていないことを指摘。「そうなると独立した第三者のチェックといえるのか、改めて疑問だ」と述べました。