性暴力の被害者支援体制の拡充を求める性暴力被害の当事者らは9月16日、国会内で関係省庁に対して、警察に行けなくても性暴力の被害の証拠を残せる仕組みづくりを求める2万7893のオンライン署名(14日時点)と要望書を提出しました。

要望書は、(1)性暴力の証拠保全体制の整備と改善(2)起訴状における被害者氏名匿名化のための法改正と運用推進(3)被害者の情報保護についての見解―の3点を求めています。

署名発起人で「性暴力被害者支援情報プラットフォームTHYME」の卜田素代香さんは、性暴力被害に遭ったことをきっかけに、心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、仕事を退職せざるを得なかったことを証言しました。

卜田さんは事件直後、病院の緊急外来を診察し「証拠採取はできますか」とききましたが、病院側に「警察の依頼がないとできない」と断られ、被害から病院での証拠保全までに約40時間かかりました。

加害者に脅された卜田さんは、警察に行くことも恐怖だ、と指摘し、「被害後に警察に連絡・相談できた人は5・6%」にすぎない内閣府の調査結果を紹介。その上で、「性暴力被害が認められることが難しい社会です。被害を訴えられやすい社会にしたい」と述べました。さらに個人情報が加害者に知られ、「脅迫などの再被害に遭うケースもある」と実態を語り、「訴えたときに不利益を被らないように声を上げた」と話しました。

THYMEが実施した全国の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップセンターのアンケートでは、「警察に通報せずに証拠保全できる」と回答した自治体の中でも、医療機関が一つ(東京都、神奈川県)など、医療機関や体制が足りていない実態が浮き彫りとなりました。

要請には、日本共産党の本村伸子衆院議員、仁比聡平、山添拓両参院議員が同席しました。(しんぶん赤旗 2022年9月17日)