女性差別撤廃条約の履行状況を審議する国連の女性差別撤廃委員会のパトリシア・シュルツ委員が10月2日、衆院第2議員会館で開かれた集会で講演しました。権利侵害を受けた女性が国連に直接、権利の救済を求める個人通報制度を規定する選択議定書を日本政府が早期に批准するよう訴えました。

 与野党の国会議員もマイクを握り、「超党派で力を合わせて選択議定書の批准を迫っていこう」と訴えました。

 集会は、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク、国際女性の地位協会、女性人権機構の共催。女性差別撤廃委員会の林陽子委員も参加しました。

 日本は1985年に女性差別撤廃条約を批准しましたが、選択議定書は、「司法権の独立」に抵触するとして批准していません。

 シュルツ委員は、これまで36カ国に住む女性から131件の個人通報を受け、28件で違反を認定したことや、受理された36カ国で司法が損なわれたということは「聞いていない」と報告。権利侵害が認められれば、差別を引き起こす構造的な問題に踏み込んだ解決策や損害賠償を勧告できると話しました。

 選択議定書の批准は、裁判所の決定を外部に説明する責任を負うことにつながり、「司法制度が強化される」と強調。「(批准は)その国が法の支配を尊重しているかの一部を構成する。女性の権利を守る効果的なメカニズムに入ってほしい」と訴えました。

 日本共産党の高橋千鶴子、畑野君枝、本村伸子の各衆院議員、吉良よし子、倉林明子、仁比聡平の各参院議員、公明、立憲民主、国民民主、社民の各党と無所属の議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2018年10月3日)