○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

私は、口永良部島の噴火による避難生活の支援について今日はお尋ねをしたいと思うんですが、五月の二十九日、昨年八月から心配をされてきました新岳の爆発によって全島避難となった住民の皆さんに改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。

本当に恐ろしい轟音と火砕流が向江浜に到達もした中で、やけどをされた方はあったんですが、全島避難が無事に行われたと。ここには、昨年八月以来の地元の防災対策、それから避難計画の見直しや、この島でのコミュニティーの力が本当に大きな役割を果たしたと思うんですね。この経験に私たち深く学ぶ必要があると思うんですが、今日お尋ねしたいのは、その避難からほぼ三週間がたとうとしている中で、被災者の皆さんの避難生活というのは本当に窮した状況にあるかと思います。

少し通告と順番違うんですが、統括官に先にお尋ねしたいと思うんですけれども、この間に四人の方が避難所から入院をしなければならないというような状況にもなっています。ですから、安心してぐっすり眠れる住まいの確保という国の支援は極めて重要だと思うんですね。

先ほど、民間住宅の借り上げだったり、あるいは公営住宅の提供だったり、それから仮設住宅の建設の見通しについての御答弁ありましたから、確認を私、させていただきたいと思うんですが、一つは、このコミュニティーを本当に維持をしていくためにという思いで、いろんな迷いがありながら屋久島での仮設住宅を選ぼうとしている方々がたくさんいらっしゃるわけですね。この皆さんが、仮設住宅に集会所を造ってほしいという要望があります。ですが、基準では五十戸以上じゃないと駄目みたいな話が一般論としてはあって、先ほどのお話のような状況の中で、できないとなったらこれはとんでもないなと。集会所を是非造ってほしいということ。

もう一つは、今は大変な豪雨が島にも襲っていますけれども、これから本当に暑くなるわけですね。先ほど、エアコンについて、国の基準によって可能性はありますというお話があったんですけど、可能性ということじゃなくて、これはもう要望はあるわけですから、つくるんですとはっきり御答弁いただきたいと思いますが、その二点、いかがでしょう。

○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。

口永良部島の住宅の確保につきましては、今委員から御指摘のとおり、コミュニティーの確保ということを非常に強く求められておりまして、そういった意味での仮設住宅の建設ということも求められているというふうに伺っております。

災害救助法に基づきます応急仮設住宅につきましては、地域のコミュニティーを確保する等の目的で、十戸以上五十戸未満の仮設住宅を設置する場合には小規模な集会施設として談話室を設けることができるというふうになっております。今回御要望があるものは、まだ確定ではございませんけれども、二十七戸というふうに伺っておりますので、談話室の設置というものを予定しているところでございます。また、建設する応急仮設住宅の各戸に附帯設備としてエアコンは設置する予定でございます。

いずれにしましても、県、町とよく調整しながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 災害救助法は、被災者の皆さんが本当に必要とするもの、これは特別基準を作るとかいろんな柔軟な運用をするとか、考え方はいろいろこちらの方で整理をして、とにかくそのニーズに応えるという精神だと思いますから、町とよく相談して、あらゆる支援を尽くしていただきたいと思うんです。

その避難生活の中で、島がどうなっているのかというここが、いつ帰れるのかというその思いと併せて大変な被災者の皆さんの課題なわけですが、この点について、衆議院で委員会の質問、あるいは参議院の本会議で山谷大臣にも御答弁いただきましたけれども、口永良部島の現状を示す映像などを住民の皆さんに共有をしようと、そして気象庁やあるいは火山の専門家の皆さんにコメントもいただきながら、しっかり疑問にも答え、その中から出てくる要望を国としても受け止めていこうじゃないかという御提案をいたしまして、大臣からもそうしたコーディネートに努めていきたいという御答弁をいただいているわけですけれども。

気象庁長官、おいでいただいていますが、五月の二十九日に実際に爆発して、三十日にかけて避難が完了して、その後、そうした情報の提供、そして気象庁の現地の職員の皆さんによる説明、その中で出されている主な疑問だとか要望だとか、御紹介いただければ端的にいただきたいと思います。

○政府参考人(西出則武君) 気象庁では、現地に職員を駐在させて、情報の提供、火山の状況でありますとか、気象の状況もかなりニーズがございまして、提供してございます。

その中で、屋久島町を通じてでございますけれども、住民の皆様の要望をまとめてお聞きしていることがございまして、一番やっぱり大きかったのは、いつ帰島できるか、帰島するためにはどういう条件が必要なのか、あとは、その帰島のために関連することでございますけれども、天気はどうなっているのかというようなことを御質問、御要望いただいて、それに対する帰島のオペレーションといいますか、それに当たってどういうことが必要かというところの考え方をまとめるに当たって気象庁としては御支援していると、そういうようなことをこれまでやってまいったというところでございます。

○仁比聡平君 引き続き、現地の気象庁の職員の方、それから、必要となれば予知連などの火山の専門家の皆さんにも、直接住民の皆さんの疑問に答えたり、評価について本当に腑に落ちる御説明の機会などもつくっていただきたいと思うんですけれども。

ちょっと通告の順番が違いますが、大臣、そうしたコーディネートが私、本当に大事だと思うんですよ。加えて、今回の口永良部島からの全島避難というのは、屋久島に避難をしておられる方々にとっては、言わば目の前といいますか、この屋久島から見えるところにふるさとがあるわけですね。

この間、二回、一時帰島が消防団などの代表の方々によって取り組まれましたけれども、この一時帰島が十分に行われるということになれば、避難はしておかなければならないかもしれないけれども、島には帰れるという、そういう条件もあり得るわけですね。その大前提はもちろん安全の確保だと思うんです。それを住民の皆さんが腑に落ちる形で行う上では、一層、今気象庁に御紹介いただいたような取組が重要になると思うんですけれども、大臣、御感想はいかがでしょう。

○国務大臣(山谷えり子君) 全島民が避難が実施できましたのも、天候等に恵まれたということもありますが、自治体、関係機関、そしてコミュニティーの力、防災教育、そして様々な防災対策の徹底があったというふうに思っております。そして、様々な今要望をお伺いしているところでありますけれども、島を思う心の強さということを深く感じているところでございます。

内閣府としましても、このような町の取組等々、皆様のお心を聞きながら、お心に沿うように、複数の省庁にまたがる事項、所管が明確でない事項については、町、県と各省庁の調整役として積極的に役割を果たしてまいりたいと思います。

今、口永良部島の島民八十六世帯は、現在、屋久島に開設された三つの避難所、島内外の知人、親戚宅のほか、町営住宅等で避難生活を送っておられます。屋久島町では、各避難所に二から四名の町の職員を常駐させ、要望、相談への対応や情報提供に努めています。例えば、当面の住まいの選択の一助となるよう、町が確保した公的住宅、民間賃貸住宅の場所、間取りなどの情報提供をきめ細かく行っておりますし、避難所以外に身を寄せられている住民の方々についても連絡先を把握し、情報提供を行っているところでございます。

一時帰島の在り方についても、皆様のお心に沿いながら、もちろん安全確保が第一でありますが、きちんとコーディネートしてまいりたいと思います。

○仁比聡平君 どうぞよろしくお願いしたいと思うんです。

その下で、家畜の避難が私、急務だと思っておりまして、畜産部長においでいただいているんですけれども、先ほど御紹介にあったように、牛、豚、鶏あるいは馬が島に残されています。

私も、噴火の翌日、屋久島を訪ねたときに、お一人の牛の生産者の方にお会いをする機会がありまして、爆発して、山に放牧をしているわけですね、その山の中にいて慌てて出てきてみたら大噴火になっているという下で、島から離れるのはもう本当に耐え難い思いだったんだけれども、説得をされて、本当に大切な牛を二十頭少し残してきたとおっしゃるわけです。火山ガスやあるいは火山灰によって牛が食べる牧草が枯れてしまうんじゃないかとか、あるいは灰をかぶったものを食べて牛が健康を壊すんじゃないかとか、噴火活動によって、湧き水を牛が飲むようにしているんですが、そこが大丈夫なのかとか、そうした状況が全く分からないまま、その方は一時帰島もできずに離れた本土に避難をするということになって、なりわいの根本を失ってしまった、だからどうしてももう先のことを考えられないと、そういう状況になっておられました。

こうした心配をされている家畜を避難させるということは大事だと思うんですが、まず、そうした生産者の方々が四人いらっしゃると思います。どの地域にどんな方法での飼育をしておられるか、御紹介ください。

○政府参考人(原田英男君) 口永良部、大きく東と西に分けますと、島の西部、岩屋泊地区、新村地区でございますけれども、子牛四頭、種牛ですね、種雄牛一頭を含む牛が三十三頭、これを放牧をしてございます。東部の方、湯向地区でございますけれども、こちらには子牛九頭と種雄二頭を含みます牛二十七頭が、これも放牧でございまして、馬一頭も放牧でございます。豚二十五頭と鶏三十一羽は舎飼いをしているということでございます。

○仁比聡平君 そうした家畜を避難させる上で、十二日、先週金曜日の一時帰島で町営フェリーが本村の港に着岸できるということが確認された。これはすごく大きな一歩なんですよね。ですから、この家畜をフェリーに、つまり放牧をされているものを集めてきて、フェリーに乗せて、どこに運ぶかというのが課題になるわけです。

牛については屋久島にある町営牧場に移せないかということが課題になっているわけですけれども、私はそれは現実にもう急いでやるべきだと思うんですね。国としてどんな支援ができるでしょうか。

○政府参考人(原田英男君) 今委員御指摘あったように、湯向地区からの道路は通れるということが確認されております、今回。それから、本村の港もフェリーが着けると。これは大変本当にいい話だと思っております。ただ、限りのある時間の中で、作業員の安全性を確保しながら、今委員御指摘の放牧地が四、五か所ある中で、雌牛、子牛、それとちょっと気の荒い種雄牛ですね、雄牛を安全に港まで持ってくるというオペレーションを、具体的にどういう運搬車を用意して、どういう作業員でやっていくのかということを、これは我々の方でも、県や町の方には既にシミュレーションを作っていただくようにお願いはしてございます。

私ども農林省も、例えば新燃岳の噴火のときには牛の運搬などにつきまして人を派遣してお手伝いをしておりますので、そういった意味でのオペレーションができれば、計画ができれば、そういった形での御支援が可能かと思っておりますけれども、いかんせん、短い時間の中でどういう形で安全性を確保しながらやっていくのか、これを県や町とよく連携を保ちながらお手伝いをしてまいりたいと思っております。

○仁比聡平君 その牛を始めとした家畜をどこに連れていくのか、残される家畜がないのか、あるいは、それを進めていく上での生産者の方々の意向をしっかりと踏まえていくことが必要であることなど、課題があると思うんですけれども、ちょっと今日時間がありませんので、そうした課題を解決をしながら是非御努力いただきたいとお願いをしておきたいと思うんです。

一点だけ内閣府にお尋ねをしたいんですが、二回の一時帰島というのは、上陸できる時間が二時間ということになっているんですね。これを二時間というふうにこの二回制約した原因は何かと。これは、先ほどの作業の時間のことも考えると、もっと長い時間滞在できるようにならないか。それから、九電が停電したということがあって、これが再び停電することのないように週に一度ぐらいはメンテに行かなきゃいけないんじゃないのかということも少し伺っておりまして、だったら、そういう際にもうちょっと長い時間の作業ができるようにならぬのかと。統括官、いかがでしょう。

○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。

口永良部島では、依然として火山活動は高まった状態で噴火警戒レベル五が継続しております。このため、一時帰島を実施するに当たっては、入島時間を最小限として、火山活動の監視体制、緊急時の連絡体制、ヘリコプターによる上空監視などの緊急時救難体制等の安全確保措置を十分講じる必要があります。

決して二時間ということが絶対というわけではないんですけれども、委員御指摘のとおり、六月一日には湯向地区が一時間半、本村地区が二時間でした。それから、六月四日の九電が入りましたときは、ちょっと作業に時間を要したということで二時間半。それから、六月十二日は比較的点検がすぐに済んだということで一時間十分あるいは一時間四十分ということで入っております。

いずれにいたしましても、安全確保をよく確認しながら、必要最小限という中でどこまで作業ができるかということをよく検討してまいりたいというふうに思います。

○仁比聡平君 つまり、安全確保のためのヘリでの監視とか、そういう条件が整えばもう少し長い時間作業は可能だということなんじゃないかと思うんですね。ここもよく相談をいただきながら進めていただきたいというふうに思います。

今日、もう一問聞いておきたいのは、被災者生活支援法の関係なんです。生活支援金の給付が制度によってできるわけですけれども、この制度において長期避難世帯という概念があります。

この長期避難世帯というのは、政令によりますと、「火砕流等の発生により、住宅に直接被害が及んでいるか、又は被害を受けるおそれがあるなど世帯に属する者の生命又は身体に著しい危険が切迫していると認められることから、当該住宅への居住が不可能な状態が既に継続しており、かつ、その状態が引き続き長期にわたり継続する可能性がある当該世帯等をいう」というふうに規定をされていて、平成十九年に、それまでは六月以上避難していなきゃいけないというような条件があったんですけれども、これを取り払って、知事がそうだと認めれば支援金が長期避難世帯として百万円支給できるという制度になっているんです。

全島避難という避難指示によって実際に口永良部に住めなくなっているわけですから、私は、この長期避難世帯として速やかに生活支援金百万円の支給をできるように進めるべきだと思うんですけれども、統括官、まずいかがですか。

○政府参考人(日原洋文君) 被災者生活支援法の適用といたしましては二段階ありまして、まず、災害として、非常に被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害であるかどうかという基準がございます。そこの中で十世帯以上の被災というのが要件になっております。その認定をされた後、対象となる世帯はどうなるかということについては、長期避難世帯というのが対象になっているということで、まずその自然災害が対象となるかどうかというのが課題になっております。

現在、口永良部島の噴火災害につきましては、火山活動が継続中でございまして、詳しい住家被害の調査が行われていないものですから、これによりまして支援法の対象になり得るものであれば直ちに適用を考えてまいりたいというふうに思っております。

○仁比聡平君 いや、統括官から今、その制度の説明があったんですけれども、十世帯というふうに言われるけれども、皆さん、どう思われます。口永良部島というのは離島で、八十六世帯なんですね。八十六世帯のうち十世帯が全壊になっていなかったら支援金は渡さないなんといって、長期避難しなきゃいけないのに何でその支援が行かないのか、それで共助だと言えるのかというのが、私、大臣に問いたいんですよ。

この適用要件の私は抜本的な見直しをそもそも求めてきましたけれども、現にある口永良部島からの避難が長期化するのではないかという中で、島から離れたら生活が成り立たない、なりわいの根本が損なわれて本当に大きな不安がある、そうした方にこそこうした支援金の、あるいは同程度の給付が私、されるべきだと思うんですけれども、県などと相談しながら、そうなるように是非御努力いただきたいと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(山谷えり子君) 適用の基準というのはあるわけでありまして、まずは、詳しい住家の被害状況の調査というのをまだ行われておりませんので、支援法の対象の是非については、まず状況を確認してからというふうに思います。

しかしながら、いずれにしても、避難者の方々が一日も早く日常の生活に戻られるように、屋久島町、鹿児島県と連携して内閣府としても取り組んでまいりたいと思います。

○仁比聡平君 県が、こうした厳しい支援法の適用条件で当たらないなどという結論になりかねないときに独自の支援策をつくって、国がその二分の一を補助するという、そうした仕組みは各地に行われてきたわけですから、この鹿児島県と屋久島、口永良部島でも是非それを実現できるように、もう御答弁の時間ありませんが、大臣によろしくお願いをして、今日は質問を終わります。