「医療や介護が必要なのに経済的理由で受けられない」―深刻な事態が広がるなか、日本共産党は自公政権時代の毎年2200億円の社会保障費削減路線と民主党政権の公約違反と正面から対峙(たいじ)し、政治を前に進め国民の命を守る成果を上げてきました。

小池質問力に区議会で連携

督促状の束を掲げて質問する小池晃政策委員長=3月4日、参院予算委


 「総理、見てください。これが督促状の束です」―小池晃政策委員長(参院東京選挙区候補)は3月4日の参院予算委員会で、国民健康保険(国保)料が払えず、自ら命を絶った東京・板橋区の男性のアパートに残されていた督促状を手に握りしめて迫りました。

 高すぎる国保料の最大の原因が国庫負担の引き下げ(1984年度は約50%↓2007年度は25%)にあることをズバリ示し、国庫負担引き上げとともに保険料滞納者から国保証を取り上げないように政府に求めたのです。「胸の痛みを感じないのか」との迫力ある追及に、長妻昭厚生労働相は「払えるのに払わないと証明できた場合以外は慎重に扱いたい」と答弁せざるを得ませんでした。

 それから19日後の板橋区議会。日本共産党のかなざき文子区議が、小池氏の4日の質問議事録を示して事態の改善を求めたのに対し、区の担当部長は、国保証を取り上げられた低所得の滞納世帯に国保証を渡すことを明らかにしました。

 国会と区議会による命を守る連係プレーです。

 小池氏は、国が国保料軽減措置を独自に行っている自治体に対し、国庫補助を減らすペナルティーを科している問題でも、これを中止するよう一貫して取り上げ、やめるよう追及してきました。今国会でも、北海道厚生局の“指導”で独自措置廃止を決めていた旭川市の例を取り上げ、その結果、旭川市は廃止措置を撤回したのです。

自民支持の人共産党に共感


パネルを示し、介護問題で鳩山内閣に質問する仁比そうへい議員=2月4日、参院決算委


 介護保険でも大きな改善を勝ち取ってきました。09年4月に導入された、介護保険を利用するために必要な要介護認定の改悪を大幅修正させたのです。

 「聞き取り調査項目を減らし、要介護認定の基準を変えるのは利用抑制のためだ」と介護現場の声をもとにして、制度改悪前から批判していた小池氏。改変直後の4月2日の参院厚生労働委員会の質問で、「要支援2と要介護1の割合を現在の5対5から7対3にする」と軽度の人を増やす方針を明記した厚労省の内部文書を示し、「介護切り」だと指摘し調査を要求しました。

 この質問は、舛添要一厚労相(当時)が「初めて見た。どういう資料か調査したい」と答弁したように、政府を揺り動かしました。

 これを契機に、厚労省は新制度検証会を設置。要介護度が下がっても希望者には従来の介護度を維持する措置を取りました。介護関係者の運動と日本共産党の国会での追及が政府の「介護切り」のもくろみを押し返したのです。

 介護保険における「応益負担」の問題はどうか。

 今国会で仁比そうへい参院議員(比例候補)は、節約のために電気を消し真っ暗な部屋で寝たきりの女性から「介護も受けられない、死んだほうがまし」と涙ぐまれた経験を示し、低所得者の介護が奪われていることを追及(2月4日、決算委員会)。鳩山由紀夫首相から「介護全般の問題を検討したい」という答弁を引き出しました。

 「がちがちの自民党支持者だ」という東京の60代の男性は、「日本に共産党がなかったら高齢者は大変になるということがよく分かった。もう共産党しか頼れるところはない」と声を寄せました。

社会保障の改悪と各党の態度


後期医療廃止 共産党が伸びてこそ

 民主党政権による重大な公約違反のひとつが、75歳以上の高齢者を切り離し医療費の増加に応じて保険料がどんどん上がっていく後期高齢者医療制度の廃止先送りです。

 小池氏は、厚労省が検討している新制度案が、65歳以上の人全員を国保に加入させ別勘定にするというものであることを暴露。「うば捨て山の入山年齢を下げるだけだ」と批判しました。(3月16日、厚生労働委員会)

 さらに、この案では公費負担が9000億円減ることを示し、「公費だけを減らす案が国民に理解されると思うのか」と迫ると、長妻厚労相は「医療費が増えていくなかで、公費だけが減るのは考えにくい」と答弁せざるを得ませんでした。(5月11日、同委員会)

 民主党は新制度の骨格を参院選前に示すことを拒否し、国民の審判をかわそうとしています。2000年に、今日の制度の原型となった高齢者医療制度を別建てにする決議に唯一反対し、それ以降も一貫した態度を取っている日本共産党が伸びてこそ、制度のすみやかな廃止の最大の力です。(しんぶん赤旗 2010年5月26日)