○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

共謀罪について伺います。

先週、二月の二十八日にこの共謀罪の問題での政府検討案原案が判明をいたしました。政府は、総理を先頭に、テロ等準備罪であって共謀罪とは全く異なるとか、このままでは東京オリンピックを開催できないと言っても過言でないと強弁して、例えばある新聞、読売新聞ですけれども、テロ準備罪とまで書いておられるわけですが、案の定と言うべきか、テロリズムあるいはテロ組織の用語も定義も一切書かれていないわけです。

法務大臣、これはなぜでしょうか。

○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員にお答えをいたします。

テロ等準備罪に関する法案の具体的内容はいまだ成案に至っておりません。現在もぎりぎりの最終的な調整と検討を行っておるわけであります。

法案の具体的な内容等に関する御質問につきましては、政府として責任を持ってお示しできる成案を得た段階で十分に説明を尽くさせていただきたいと考えております。

○仁比聡平君 聞いているのは、細かい条文の解釈ではないんですよ。基本的人権と罪刑法定主義、捜査と刑事裁判における適正手続、警察の権限の在り方、まさに政治の根本に関わる問題です。

一か月半ぐらいになりますか、この国会が始まったときにあれほど拳を振り上げるように声を上げた大臣たちが、今責任を持って示せる段階にないなんという、それは一体どういうことになっているんでしょうか。答えない理由などないと思うんですが、大臣、いかがです。

○国務大臣(金田勝年君) 先ほどもお答えをいたしましたが、現在最終的な調整をしております。法案の具体的な内容等に関する御質問に関わりますので、政府としては責任を持ってお示しできる成案を得た段階で十分に説明を尽くさせていただきたいと、このように考えております。

○仁比聡平君 結局これまでの説明が全部ごまかしだったということなんではないですか。

政府はこれまでもテロ等準備罪を呼称と言ってきました。呼称というのは呼び名のことです。安保法制、戦争法を平和安全法制と呼ぶ、賭博解禁推進法案をIR法案と呼んで正体をごまかそうとしてきたのと同じ、安倍政権が付けた呼び名、俗称ということですね。

○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪の具体的内容については現在検討、調整中であることは申し上げましたが、基本的な考え方として、対象を組織的犯罪集団、つまり重大な犯罪等を行うことを目的とする集団に限定することを検討をいたしております。国内外の犯罪の実態を考慮いたしますと、そうした犯罪組織による犯罪の中で重大なものの典型がテロ組織によるテロであると、このように考えます。

また、テロ等準備罪というものは、重大な犯罪の合意に加えて、実行準備行為が行われるときに初めて処罰されるものとすることを検討中であります。したがって、テロ等準備罪というただいまおっしゃられました呼称は、このような罰則の実態を反映したものとして適切であると、このように考えておる次第であります。

○仁比聡平君 大臣のこれまでの答弁聞いていますと、まるで条約を締結するだけですと言っているように聞こえるんですけれども、これは処罰するんですよね。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

そのように私どもは考えております。

○仁比聡平君 だったら、刑事法の原則にしっかり立って議論するというのが大臣の責任です。

警察庁に伺いますが、総理は、準備行為が認められれば、ほかの人も含めてその時点で一網打尽と答弁しているわけですが、犯罪が発生した後の任意捜査、強制捜査はもちろんですけれども、犯罪を予防する、特にテロを未然に防止するとなれば、警備警察あるいは行政警察活動の上で、これ、共謀罪の新設というのは大きな意味持つんだろうと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(松本光弘君) お答えいたします。

政府内で検討中の法案に関するお尋ねでございますので本来お答えしかねるところではございますが、せっかくの御質問ですので一般論として申し上げますと、テロ対策に関する法令が整備されていくということは、我が国のテロ対策に万全を期すという観点から意義があるものと考えております。

○仁比聡平君 つまり、警備公安活動でこれを活用していくということなわけですよね。

先ほど大臣、典型だとおっしゃいましたけれども、判明した条文案は、テロリズムやテロ犯罪、その実行に結び付く計画や準備行為を明確に定義して処罰するものではないんです。逆に、準備行為を伴った計画、つまり合意を処罰するというふうにしているわけですね。大臣、これは、二〇〇六年当時の自民・公明修正試案、これとうり二つです。十年前に三たび廃案になったのと同じれっきとした共謀罪ではありませんか。

○国務大臣(金田勝年君) 共謀罪と現在検討しておりますテロ等準備罪でございますが、法案として提出した際に詳細に説明することではありますが、基本的な考え方を申し上げますと、犯罪の主体を一定の犯罪を犯すことを目的とする集団に限定をし、準備行為があって、実行準備行為があって初めて処罰の対象とするということを検討しておりますところでありまして、共謀をしたことのみで処罰されることとされた従前の共謀罪とは異なるわけであります。

こうした限定によりまして、一般の方々が処罰の対象となることはあり得ないことがより明確になるものと考えておる次第であります。

○仁比聡平君 私の問いに答えないところにこの問題の本質があるんですよね。つまり、問題はテロ等準備罪あるいはテロ準備罪ではないということ、そして準備行為が伴えば計画、つまり合意を処罰する罪だということなんですよ。

大臣は、昨日ですか、予備罪は合意を処罰するものではないから条約締結にテロ等準備罪が必要だと答弁をしています。つまり、合意が処罰対象だということですね。

○国務大臣(金田勝年君) 先ほども申し上げましたが、組織的犯罪集団が合意に加えて実行準備行為を行ったその行為を対象として処罰をすると、こういう流れになるわけであります。

○仁比聡平君 御自身の答弁なんですから、責任を持っていただきたいんですが。

つまり、合意を処罰しない予備では条約が批准できないからテロ等準備罪が必要と国会で繰り返し答弁しておられます。ならば、テロ等準備罪の処罰対象は合意でしょう。

○国務大臣(金田勝年君) 繰り返しになりますけれども、合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の、初めて処罰の対象となります。(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山本一太君) それじゃ、速記を起こしてください。

○国務大臣(金田勝年君) 御質問に沿う形でお答えをしておるつもりなんですが、合意に加えて実行準備行為が行われて初めて処罰の対象とするという基本的な考え方で検討をしております。

そういう中で、処罰の対象となるその対象として合意ということをお尋ねであるとすれば、それは実行準備行為を伴う、加えて伴う形で合意が処罰対象となっていることも事実であります。

○仁比聡平君 正面から認めない大臣の方がおかしいということはもうくっきりしたと思うんですけどね。判明した条文案の別の条文では、計画、つまり合意が犯罪行為だと、そうきちんと規定している条文もあるんですよ。別物だとかテロ準備罪ではなく、正体は共謀罪と、合意を一網打尽にするということがだんだんはっきりしてきたと思うんですね。

ちょっと別の角度で大臣、聞きますが、判明した政府原案にテロとは一言も書かれていない。自民党、公明党の審査では、これまでの答弁と整合性が付かないとか支持者の納得が得られないと次々不満が上がって、政府は、昨日、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団と書き込む案を与党に示したというわけですが、これ、テロリズム集団その他のと書き込んだら刑罰法規の意味がどうなるというんですか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

テロ等準備罪に関する法案の具体的内容でございますが、繰り返しにはなりますが、ぎりぎりの現在調整中であります。したがいまして、政府として責任を持ってお示しできる成案を得た段階で十分に説明を尽くさせていただきたいと考えております。

なお、先ほどまでの御質問についてちょっと一言だけお話をさせていただきたいんですが、かつての共謀罪とテロ等準備罪というのはなぜ別物なのかというふうにおっしゃっている部分、これは非常に多く今までいただいております。これに、質問に対しましては、やはり共謀したことのみで処罰されるかつての共謀罪とは違って、この度は主体を組織的犯罪集団に限定をし、実行準備行為があって初めて処罰できるとするものだということを申し上げたつもりでおりましたが、その点を重ねて申し上げさせていただきます。

○仁比聡平君 全く答弁は前進していないですね。

元の私の問いに戻しますが、結局、成案を得てからと言ってこれお答えにならないんですけど、大体、政府、真剣に検討したんでしょう。その上で、原案に書き込まなかったテロリズムとかテロリズム集団、これをそんなに簡単に書き込めるというのは、入れても意味は変わらないと自分で認めたような話ではありませんか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

テロ等準備罪、これは現在ぎりぎりの調整の検討をしておりますが、これを設けることによって、テロを含む組織犯罪について実行着手前の段階での検挙、処罰が可能となり、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになる。あるいはさらに、テロ等準備罪を整備してTOC条約を締結することによって、国際的な逃亡犯罪人の引渡しや捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連携することが可能となる。

このように、テロ等準備罪を含むTOC条約を締結するための国内法の整備というのは、テロ対策となることは明らかであります。(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) 金田法務大臣。

○国務大臣(金田勝年君) お尋ねの点が、テロというその集団を法案に入れる入れないのお尋ねであるとすれば、その意味の違いであるとすれば、それは、先ほどから申し上げておりますように、成案を得る段階において説明をさせていただきたいと、このように考えております。

○仁比聡平君 いや、今答弁、中身はないけれども、私の問いの意味は大臣分かっておられるわけですよ。なのに答えないと。これだけ国民の面前、前で大問題の議論をやっているのに答えないと。それ自体が、大臣、とんでもないこのテロ等準備罪の正体を、私、浮き彫りにしていると思うんですよね。

大臣は、大臣、いいですか、組織的犯罪集団の意味について、衆議院予算委員会、二月二日の答弁で繰り返しておられた、テロ組織、暴力団、薬物密売組織に限定されず、それ以外のものも含まれる場合はあるという趣旨の答弁をされました。その当時ずっとおっしゃっていた三つのその組織的犯罪集団に限定されない、それ以外のものも含まれる場合はあると答弁されましたね。

○国務大臣(金田勝年君) お答えいたします。

そのような答弁をいたしております。

○仁比聡平君 テロリズム集団その他のと条文に入れたら、その答弁は変わるんですか。

○国務大臣(金田勝年君) その点については、先ほど申し上げましたように、成案を得て御説明をしたいと、このように考えております。

○仁比聡平君 おかしいでしょう。だって、変わるか変わらないかが答えられない。ついこの間の生々しい答弁ですよ。これが変わるというんだったら極めて重大。御自分の答弁が今生きているのかどうかも分からなくて、何で大臣務められるんですか。

テロリズム集団その他の組織的犯罪集団というふうにもし入れたとしても、その他の組織的犯罪集団の中に、皆さんが、一変すれば正当な活動をしているところも含まれるというふうにおっしゃっているように、およそ際限なく、一般の人々の活動も含めて二人以上の活動であれば、これは入ってくるということになるじゃありませんか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定することを検討しております。具体的には、構成員の結合の目的が一定の重大な犯罪を実行することにある団体とすることを考えております。例えば、先ほど例示がございましたテロ組織、暴力団、薬物密売組織などは対象となる一方、労働組合や市民団体、民間企業といった正当な活動を行う団体が対象とならないことが法文上も明確になるように現在検討をして、進めているところであります。

いずれにしましても、厳格な要件を定めることにより、一般の方々がテロ等準備罪の適用対象とならないような法案を、現在ぎりぎりの段階で成案に向けて検討を進めているところであります。

○仁比聡平君 今の御答弁を聞いても、結局、テロリズム集団その他のと仮に入れたとしても、これまで、今三つの例、これはあくまで例示であって、あれこれいろいろ入る、一変すれば入るという、そういうものだということは変わらないということなんですよ。

ちょっと別の角度で聞きますけど、テロリズムその他、テロリズム集団という言葉を入れたら縛られるんですか。つまり、例えば警察がある集団、人々の主張をテロリズムだと判断したとして、その政治上の主義主張に基づく組織的な犯罪集団だけが対象になるという、そういうことですか。

○国務大臣(金田勝年君) まあ、本当に繰り返しになっちゃうんですけれども、お尋ねは結局条文の内容に関するお尋ねでありますので、成案を得て、そしてそこでしっかりと説明をしてまいりたいと、このように考えて、申し上げているとおりであります。

○仁比聡平君 いや、そうならないことは、そうならないというのは、つまり縛られないということは、与党との協議で政府が、テロ対策には有効だが、テロの防止だけを目的にした法案ではないと説明をしておられることでもうはっきりしていると思うんですね。三月一日の公明党の合同会議で林刑事局長がそうお話しになったとNHKが伝えているところです。テロ犯罪を限定して処罰するという罪ではない、与党はだまされちゃいけないと思いますよ。

政府は、一般の方々が対象となることはあり得ないと繰り返してきましたが、二月十六日に、元々正当な活動を行っていた団体も一変したら当たり得ると統一見解を示しました。

この間議論になっている点を一つだけ大臣に聞きますが、会社の一部だけ、上層部だけ、幹部だけ、これが一変するということがあるということですね。

○国務大臣(金田勝年君) その例えば例にお出しになられた会社の場合、会社の幹部の皆さんが一変されたというのと、その組織が一変するというのは違うんではないかというふうに私は考えております。したがいまして、それも含めて現在やっているということを御理解いただきたいと思います。

○仁比聡平君 いや、今の大臣の御答弁だと、会社の中に組織的犯罪集団の構成員とそうじゃない社員というのがいるということになるんですが、これは何を基準にして区別するんですか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

一般の会社につきましては、その会社が犯罪を目的とした集団ではありませんので、その一般の会社の幹部というものもその犯罪の対象集団には入らないというふうに考えておるわけであります。

○仁比聡平君 いや、全然お答えにならないんですけどね。

これ、衆議院の予算委員会の分科会で民進党の階議員が二月の二十三日に取り上げておられる関係になるんですけど、そのとき大臣は、いいですか、大臣、私が言いますから。容疑者として嫌疑がなければ捜査は行われないと答弁しているんですけど、嫌疑って一体何の嫌疑なんですか。それ、共謀罪みたいな話なのか、全然そんな、この区別の基準にならないと思うんですけど、どうです。

○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪、現在検討しておりますテロ等準備罪の嫌疑ということであります。

○仁比聡平君 テロ等準備罪の嫌疑だと、つまり合意プラス準備行為だと。

大臣はメールやLINEでも共謀は成立するということも認めてこられたわけですが、まさにLINEもできない共謀罪と。これ、社内、組織内、そのLINEで、これ既読スルーでも共謀罪ということになりませんか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

LINEを見ただけでは合意が成立するとは考えておりません。

○仁比聡平君 それ、一連答弁してこられている、例えば昨日、林刑事局長がコミュニケーションのツールは問わないとおっしゃっている答弁とは全く違いますけど。

○国務大臣(金田勝年君) それは、確認のその手段、手段は問わないと申し上げているんだと思います。それを、LINEを例えば見ただけでは、その合意があったというふうな、そういうことにはならないということを申し上げたつもりであります。

○仁比聡平君 共謀というのは、内容を認識して、それでもやむを得ないという、いわゆる未必の故意というのでも成立をするし、暗黙のうちでも、また瞬間的にも、意思の連絡さえあれば成立するとされてきました。意思の連絡さえあれば、つまり意思の合致があればこれは成立するとされてきました。

これ、既読スルーでも当たり得るし、要は現場個別の警察の判断次第ということになりませんか。

○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。

合意についての手段の話をお尋ねであると。そういう中で、前提として、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与をいたします重大な犯罪の合意に加えて、実行の準備行為が行われた場合に初めて処罰されるものとして検討中であります。

したがいまして、一般人がこの重大な犯罪の、もとい、よろしいですか、重大な犯罪の合意というのは、当事者間において意思の合致が必要であります。意思の合致、確認が必要であります。

したがいまして、たまたまLINEを見ただけといったような一方的に意思の伝達を受けただけでは重大な犯罪の合意というものは成立しないと、このように申し上げているわけであります。

○仁比聡平君 見ただけか、あるいはそこで内容を認識してそうだと確信をしていたか、計画は、ああ、ここまで進んだというふうに考えていたか、そんなこと外から分からないじゃないですか。どうやって区別するんです。

○国務大臣(金田勝年君) その点につきましては、捜査の上で、慎重の上にも慎重を期してそこは対応する話になると考えております。

○仁比聡平君 大臣、結局、合意を処罰するということになったら、その対話なりメールなりSNSなり、それの内容が問題になるんでしょう。本当は自由でプライベートな行為のはずなのに、警察がその人々の話合いの中身や内容に疑いを掛けていくということですよ。

準備行為とおっしゃいますけど、大臣、関係先の下見と、花見、散歩、これどう違うんですか。

○国務大臣(金田勝年君) それは、違いをどのように説明申し上げるかということだと思いますが、犯罪のために散歩をしているのか、花見をしているのか、あるいはそうではなくて、その下見のために歩いて散歩をしているのか、そういうところの違いだと、こういうふうに考えております。(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) ちょっと速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山本一太君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(金田勝年君) 目的が違うということを申し上げた方が分かりやすいと思いますが、目的が違うという状況を踏まえて、それを慎重に受け止めて、しっかりとそこを調べるということだと思います。

○仁比聡平君 今、結局、大臣、下見と散歩、これは外見上同じなんですよ。その目的を疑って掛かるということなんでしょう。警察が一個一個の件で嫌疑を掛けてこれを調べるというわけですよね。

下見と散歩というのは、これは日常生活ですよ、散歩というのは日常生活ですよ。下見は違います。庭先の桜をのぞき込んだら警察官から職務質問を受けるというような息苦しい社会になってしまう。それは、憲法が厳しく要求する罪刑法定主義を根本から覆すものなんです。

時間がなくなりましたから。にもかかわらず、政府が条約批准のためにこのテロ等準備罪が不可欠だと言ってきた、その問題について最後伺いたいと思うんですけれども、東京新聞によりますと、三月三日、外務省は自民党の法務部会で、六百を超える犯罪を対象にしなければ国際組織犯罪防止条約を批准できないとの過去の説明を撤回したと、同省担当者が、当時は慎重を期す観点から条約を批准できないリスクを避けた、申し訳ないと陳謝したといいます。三月四日付けでした。

これは、長期四年以上の法定刑が定められている罪は全て合意、共謀を処罰することが義務付けられている、犯罪の内容に応じて選別することは条約上できないというこれまでの政府の立場では、対象犯罪を二百七十七に絞り込むことはできないということですね。

○国務大臣(岸田文雄君) TOC条約の国内担保法の議論につきましては、過去三回、法案の御審議をお願いし、その都度、一般の方々が対象になるのではないかなど様々な指摘をいただきました。結果として御承認をいただけませんでした。こうした審議の過程を振り返り、そして政府として検討した結果として、一般の方々が対象にならないことをより明確化しなければならない、そのためにはどうしたらいいのか、こういった検討を行った次第です。

そして、その中で、TOC条約第五条一には、重大な犯罪の合意を犯罪化するということを求めているわけでありますが、その中にオプションが含まれております。要は、各国の法律で組織的な犯罪集団が関与するという要件を付加することを認めているわけです。ですから、このオプションを使うことによって一般の方々が対象にならないことを明確化することができないか、こういった検討を行い、結果として対象を組織的な犯罪集団に限定するということを行ったわけであります。

そういった新たなオプションを採用して検討を行った結果として対象犯罪を絞ることができないか、この検討を今ぎりぎりのところで続けているというのが政府の立場であります。

○仁比聡平君 どうも与党の中で、今の岸田大臣の御説明の上に立って、重大な犯罪に該当するもののうち、その性質上、組織的犯罪集団が関与することが現実に想定されるものはどのようなものかというような議論があっているようですが、これ想定といって、二百七十七とか六百七十六とかそういう罪の、保護しようとする法益、それを守るために計画そのものを処罰する必要が本当にあるのか。具体的にしっかり検討することもなしに、これは当たり得るかもしれない、ありそうだとかなさそうだとか……

○委員長(山本一太君) 仁比君、時間が終わっております。まとめてください。

○仁比聡平君 そんなことを想定して処罰するなんていうのは、これ絶対に許されないですよ。

結局、共謀罪が条約の義務付けで不可欠だという政府の説明自体がごまかしだったということが私は明らかになっているんだと思います。

時間になりましたから今日は終わりますけれども、引き続き徹底して追及をする、閣議決定、国会提出など断固としてあり得ないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。