金田勝年法相は3月8日の参院予算委員会で、政府が「テロ等準備罪」と呼ぶ「共謀罪」法案について「法案が処罰対象とするのは合意だ」との日本共産党の仁比聡平議員の指摘に対し「準備行為を伴う形で合意を処罰することは事実だ」と述べました。「共謀罪」法案が「合意」を処罰するものであることを法相が初めて認めたものです。

 同法案を、「合意に加えて準備行為があって初めて処罰するもの」で「従来の共謀罪とは別物だ」としてきた政府の説明はごまかしで、その本質が合意=内心の処罰にあることが大臣答弁によって明確になりました。

 さらに、この日の仁比氏の質問で、「合意」と「準備行為」に何が該当するかは警察の判断次第であることも浮き彫りになりました。

 金田法相は「合意」について、コミュニケーションツール(意思疎通の手段)は問わず、メールやライン(無料通信アプリ)でも成立するとの見解を示しています。これについて仁比氏は「ラインの『既読スルー』(開封し読んだメッセージに返信せず、放置すること)でも『合意』に当たるのではないか」とただしました。

 金田法相は「捜査の上で、慎重に慎重を期して対応する」として、判断するのは捜査機関だと認めました。

 仁比氏は、「準備行為」の例に「下見」が示されていることに関連し、「犯罪の下見と散歩の違いは何か」と追及。金田法相は「目的だ」と答えました。

 仁比氏は、二つの行為は外見に違いがなく、内心で区別するしかないことから、警察が行為の目的を疑うことになると強調。「庭先の桜をのぞき込んだら、警察官から職務質問を受けるというような息苦しい社会になってしまう」と指摘し、「憲法が厳しく要求する罪刑法定主義を根本から覆すものだ。法案の閣議決定・国会提出などありえない」と主張しました。(しんぶん赤旗 2017年3月9日)