外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改定案が11月29日の参院法務委員会で審議入りしました。日本共産党の仁比聡平議員は、安倍晋三首相の「安い労働力を確保しながら就労期間を都合よく延長するためだけに創設するものではない」(28日、参院本会議)との答弁はごまかしであり、新制度は、失踪者が相次ぐ劣悪な実態にある技能実習生を安く使い続けようとするものだと追及しました。

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 政府は、新制度初年度の受け入れ見込み数について、建設業でほぼ100%を実習生からの移行と見込んでいます。建設業は失踪実習生(2017年度、7089人)の4割を占めます。

 仁比氏の質疑で、建設業を所管する国土交通省の積算は、失踪に至る劣悪な環境や失踪者数を考慮せず、「残った人のうち、これだけの人数が新制度に移行する」と見込んだだけであることが明らかになりました。仁比氏は「劣悪な環境でも働かざるをえない人を新制度で使い続けたいというだけだ」と批判しました。

 山下法相は「(新制度の雇用契約は)双方の合意で自由意思だ。実習修了後も日本で働きたい外国人に新たな選択肢を与える」と強弁しました。

 仁比氏は、実習生の困窮につけこみ食い物にする人材ビジネスや悪質ブローカーを度外視する空論だと批判。3年間技能実習に就いた外国人を対象とする建設業の特例制度では、実習制度とは違って国交省が直接関与する下でも不法行為が起きていると指摘し、賃金水準や労働環境を守るために「新制度で国は個別の雇用契約にどう関与するのか」とただしました。山下法相は「分野別運用方針で検討する」と述べるだけでした。(しんぶん赤旗 2018年11月30日)