独立化 疲弊する現場 命守り育てる保育に

 「国会活動の原動力は現場の声と要求だ」(21日、参院選スタート集会)―西日本17県を奔走する仁比そうへい参院議員・比例候補。12月22日は、福岡市内の医療、保育関係など3団体と懇談し、「現場の声」をもとに、社会保障の削減から拡充へ、医療・福祉を中心にした「内需主導型」の経済に転換するための“手掛り”“を探りました。

 全日本国立医療労働組合(全医労)福岡地区協議会との懇談では、「2人夜勤」体制で、ナースコールが鳴り続ける状況のなか、休憩も取れない過酷な勤務実態が明らかになりました。葛目雅春書記長は「医療の安全を考えればありえない事態だ」と悲鳴を上げます。

国立病院の役割 

 重症心身障害や筋ジストロフィーなどの「政策医寮」「不採算医寮」を担うのが国立病院の役割です。一方で、独立行政法人化で採算性が重視され、職員も「業績評価」で時間外労働が増えるなど、現場は疲弊しきっています。

 同組合の資料によると、国立病院の看護師は約2万4千人、平均年齢37・5歳。年齢別では24~27歳が約5600人ですが、28~31歳では一気に、3千人程度まで激減します。

 看護師の組合員らは、「新人を育てても、疲れ果て辞めていく」「本来の看護ができない」と訴えました。定年退職者がほとんどいない高い離職率―福岡市内のある国立病院では、新規採用計画を早めに立てることを意図し、離職を考えている看護師に「早く申し出てほしい」と声をかけるほどの異常事態です。

 同組合は仁比議員に対し、国民医療と国立病院の充実・強化のために、▽医師・看護師の増員▽政策医療の充実強化を図り、運営費交付金の削減をやめ、必要な財政措置をとること―などを要請。仁比議員は、「あるべき政策医療とはまったく逆方向になっている」として、年明け早々にも現場の声を聞き、調査することを約束しました。

抜本的な拡充を 

 福岡医療団との懇談では、診療報酬、介護報酬の抜本的な拡充が要望されました。

 特別養護老人ホームで働く男性らは、「介護士の賃金が低く、手取り10万円ぐらいの人もいる」「やりがいをもっていても、生活ができない」と訴えました。

 仁比議員は、「社会保障の削減から拡充に転換するのが、いまの政治の課題だ。医療・福祉労働を中心にした経済、内需主導型の経済にどうかえていくかが大事だ」と述ベました。

 仁比議員は最低基準がなきがごときの〝詰め込み保育″をめぐって、保護者や保育者などでつくる「福岡県保育センター」と意見を交わしました。

 新しい政権が企図する保育所の最低基準の緩和について、メンバーの一人は「ボストンバッグを一時預かり所に預けるかのような政策だ。いのちと育ちをどう守るかという視点が必要だ」と厳しく批判。仁比氏は「政府に対し、保育の公的責任、社会化を真剣に考えさせないといけない」と応じました。(しんぶん赤旗 九州沖縄のページ 2009年12月24日)