午後、参議院会館で「参議院憲法審査会規程強行反対緊急院内集会」と聞き、急遽駆け付けました。主催は超党派の市民運動、5・3憲法集会実行委員会。4年前、「戦後レジームからの脱却」などと叫んだ安倍政権の教育基本法改悪・改憲手続き法強行の暴走に、ともに立ち向かった皆さんです。
5月2日になって突然「G.W明けに議決を」と自民・民主が言い出し、民主党憲法調査会の会長が前原氏になるなど事態が一気に緊迫するなか、想定を数十人超える百人以上の熱気です。
私は特に二点を訴えました。
一つは、民主党内には「ねじれ国会を乗り切るための妥協」だとか「規程は作っても審査会は始動させない」などの弁明がありますが、ことは妥協や政治的取引の材料にできる性格の問題ではない、という点です。
改憲手続き法は、「国民投票法」と名打ちながら9条をはじめとした憲法改悪と地続きの手続き法であり、だからこそ最低投票率の定めさえ置かず、CMの操作や公務員・教員の運動規制など、改憲のハードルを下げ、やりやすくする仕掛けが持ち込まれました。衆参両院に置くとされる「憲法審査会」は、改憲案の発議と解釈改憲をやりやすくするための要です。そうした狙いとカラクリが国民的大闘争と国会論戦の中でことごとく明らかになったからこそ、当時の参院民主党は「反対も考えた」と述べ、18項目にわたる付帯決議まで付けられたのです。
その反憲法的欠陥ゆえに、4年に渡って憲法審査会は設置できずに来たのであり、同規程強行の是非は、国会議員の憲法そのものに対する態度が直接問われる問題です。「妥協も必要」とごまかして自民党との実質大連立に走ろうとする民主党に、運動の力で迫ろうではありませんか。
もう一つは、なのになぜいま強行しようとするのか、です。その象徴が、自民・民主から声高に出ている「非常事態宣言」のための改憲論です。東日本大震災を口実にして「国難にあたって総理大臣の決断で国民の権利を制限できるように改憲すべきだ」というのです。一院制や首相公選のための改憲論も同根ですが、総理に強い権限がないから震災と原発危機対応が今のていたらくなのでしょうか?
とんでもありません。これまで強い権力を握ってきた政権の「安全神話」と原発依存、なんでも「自己責任」の構造改革路線こそが救援・復興にも大きな障害となっているのであり、いわばその主犯である政治家たちによる「もっと強大な権力を」という論理は、事を真逆に描こうとするものです。
いま求められているのは、被災者の声、社会的弱者の声を聞くことであり、危機打開にあらゆる英知を結集することです。これまでの政治の劇的な転換は、本当の民主主義の力が発揮されてこそ遂げることができるのではないでしょうか。
久しぶりにお会いした宗教者や市民運動家、教育者のみなさんや他党派の議員から、「早く国会に戻って」と握手攻めにあい、改めて、野に放たれた虎の思いを深くしました。勇気の湧く集会でした。