広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会は1月20日、「黒い雨」が降ったとされる地域の拡大と第1種健康診断受診者証交付を、厚生労働省に求める要望書の提出交渉を行いました。同省は、「黒い雨」の降雨地域の拡大には「科学的・合理的な根拠が必要」と述べました。

要望書の提出と交渉には高野正明同会長、牧野一見事務局長ら5名が参加し、同省健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室長の和田康紀室長が応対。日本共産党の井上哲士参院議員、仁比聡平前参院議員、中原ひろみ、近松さと子両広島市議が同席しました。

牧野さんは「『黒い雨』を大雨だったとか小雨だったとかで区別し、線引きすることがおかしい」と述べ、原爆認定訴訟などの勝利判決で採用された新しい見解に立ち、旧来の解釈を脱してほしいと訴えました。

井上議員は「一人でも多くの被爆者を救おうとするのが、本来の行政の立場ではないのか」と述べました。

仁比前議員は、政府の「科学的・合理的根拠」をもとに定めた線引きによって被爆者と認められず、苦しんでいる人々がいると指摘。和田室長は「広島の皆さんの思いや気持ちは自分なりに理解している」と答えました。

「黒い雨」は、原爆が投下された直後に降る泥やすすなどを含んだ放射性降下物の一種。広島市は2010年、「黒い雨」が従来の認定地域の6倍の範囲で降った可能性があるとする調査結果をまとめました。認定地域を広げるよう求め、厚生労働省は「検討会」を行っています。(しんぶん赤旗 2012年1月21日)