日本共産党の仁比聡平議員は5月15日の参院決算委員会で、広島と長崎で原爆投下直後に降った「黒い雨」をめぐり、国の指定地域外での被爆者を認定しない政府の姿勢をただし、一刻も早い全員救済を求めました。(質問動画はコチラ)

 仁比氏は、政府の姿勢を大本からただしたのが、原告84人全員を被爆者と認定した2021年の広島高裁判決だと強調。さらに三つの降雨図を示し、「3雨域の中でなければ『黒い雨』に遭ったと認めないのか」と質問。厚生労働省の佐原康之健康局長は、3雨域外でも被爆者と認定された例があると認めました。

 また仁比氏は、厚労省が高裁判決に反して11疾病のみを被爆者認定の要件とし、長崎を対象外としていると批判。広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会が昨年7月、判決を尊重し、広島・長崎の援護に差が生じることがないよう政府に対応を求めたとして、改善を迫りました。

 加藤勝信厚労相は「11類型の疾病を要件とすることは適切」「(長崎で)被爆地域と指定されていない地域で、身体に放射能の影響を受ける事情のもとにあったとは言えない」と冷たく言い放ちました。

 仁比氏は、21年に長崎県・市が行った8700人の被爆証言に基づく調査で、国の指定地域外の「黒い雨」に関する記述が129人分あり、放射性降下物に関する記述も1874人分に上るとの結果を示し、「広く原爆被害が及んでいることは一目瞭然だ」と批判。広島では、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館が被爆体験記を調査しており、国は長崎でも同様の調査を行うべきだと求めました。加藤厚労相は「長崎県・市と連携し、調査・実施体制について議論する」と答えました。(しんぶん赤旗 2023年5月17日)