憲法が保障する内心の自由を侵す「共謀罪」法案が5月29日、参院本会議で審議入りしました。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、安倍首相らの圧力によって認可の過程がゆがめられた疑惑が深まるなか、その真相解明という国政の最優先課題を脇においた審議入りの強行です。政府・与党は、会期延長も視野に、今国会での成立を狙っています。

 日本共産党の仁比聡平議員は代表質問で、加計学園問題に関する予算委員会での集中審議と文科省前事務次官の証人喚問を要求。「真相解明に背を向け、権力の恣意(しい)的乱用が懸念される『共謀罪』法案を推し進めるなど、もってのほかだ」と批判しました。

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 安倍首相は、加計学園による獣医学部新設は適切に行われたと強弁し、問題を規制改革の是非に矮小(わいしょう)化。学部新設の手続きが「加計学園」ありきで進んだ問題には言及しませんでした。

 仁比氏は、共謀罪について「限りなく内心に踏み込んで処罰するものだ。刑事法の大原則を根底から覆し、憲法に違反する」と批判。人権を制約するとの懸念を示した国連特別報告者の書簡に抗議した政府に対し、「特別報告者の権限を理解しない驚くべき姿だ。国連条約のための法案だと言いながら国連特別報告者の厳しい批判を敵視する態度は、国際社会に通用しない」と強調しました。

 さらに、「一般人とは組織的犯罪集団と関わりのない人だ」との政府答弁について、「警察に捜査対象と目されれば、誰もが一般人でなくなる」という態度だとして乱用の危険性を指摘。警察権限の拡大をもたらす同法案は「秘密保護法、安保法制=戦争法、憲法9条改悪と一体に戦争する国づくりを推し進めるものだ」と述べ、断固廃案を求めました。

民進党の真山勇一議員は、秘密保護法や拡大盗聴法などと合わせて「強力な監視社会ができあがる」と批判しました。(しんぶん赤旗 2017年5月30日)