国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門を長崎県の諫早湾内の漁業者が国に求めた湾内2・3陣開門請求訴訟の控訴審第2回口頭弁論が3月1日、福岡高裁(森冨義明裁判長)でありました。

 昨年3月の一審長崎地裁判決では、湾内で潮流の速度が低下したことや硫化水素も発生していることなど堤防閉め切りと環境変化との因果関係を認めながら「これらの環境変化が漁場環境を悪化させたとは認めることはできない」と漁業被害との因果関係を否定し、漁業者らの請求を全面的に棄却しました。

 この日原告側代理人は、潮受け堤防による閉め切りが諫早湾内の潮流の減少の原因となっていることは「紛れもない事実だ」と主張し、国側が控訴答弁書で潮流の減少について言及を避けていることを批判しました。

 報告集会で馬奈木昭雄弁護士団長は「事実をきちんと積み上げれば、国がうその主張をしているのは明らかだ。いつまでもこんなごまかしを許してはいけない」と強調しました。

 佐賀県太良町の漁業者の男性は「諫早湾干拓事業による潮流の減少で赤潮が出ていて、諫早湾近傍も現状は厳しいのに国は認めない。漁業者の尊厳を取り戻すためにも早く有明海を再生してもらいたい」と訴えました。

 弁護団の一員として日本共産党の仁比聡平前参院議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2021年3月3日)