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 性犯罪に関する規定を110年ぶりに改め、厳罰化を図る改正刑法が6月16日の参院本会議で、全会一致で可決・成立しました。

 改正法は、強姦(ごうかん)罪を強制性交等罪と改めて被害者の性別を問わないこととし、法定刑を「5年以上」に引き上げ。告訴がなくても起訴できる非親告罪とします。また、暴行・脅迫を要しない保護者など監護者による罪を新設。衆院で「3年をめどに見直し」との修正が盛り込まれました。

 本会議に先立つ参院法務委員会の参考人質疑で、3年後に向けた課題として、暴行・脅迫がなければ罪にならないという強制性交等罪の要件が焦点になりました。

 13歳からの7年間、父親から受けた性的虐待を告白した山本潤氏(刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト)は「何が起きているか理解できず、フリーズ(恐怖や衝撃で体が固まること)して抵抗できなかった。父は脅したり殴ったりはしなかった」と指摘。暴行・脅迫が処罰の要件にされていることが、捜査や裁判でのセカンドレイプ(2次被害)や、被害届や相談もできない被害者の苦しみの根源になっているとして、先進諸国並みの「明示的な同意」のない性的侵襲を罪とするよう求めました。

 橋爪隆東京大学教授(刑法学)は、暴行・脅迫は「同意の有無」を判断するための要件だとしつつ、捜査や裁判でこの要件が過剰に重視され「性犯罪の限定になっている」と述べました。(しんぶん赤旗 2017年6月17日)