建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんなどにかかった労働者やその遺族54人が、国と建材メーカーに損害賠償を求めている「九州建設アスベスト訴訟」の控訴審判決が11月11日、福岡高裁(山之内紀行裁判長)であり、原告勝訴の判決が言い渡されました。

 判決では、東京高裁、大阪高裁の同様の裁判に引き続き、国の責任に加えて2014年の福岡地裁判決では認められなかった企業の責任や個人事業主の労働者「一人親方」への賠償を認定。国と企業4社に総額3億4718万円余りの賠償を命じました。

 山本一行弁護団長は、「一人親方」救済や企業責任を認める流れが定着したと述べ「大きな武器になる貴重な判決。皆さんと一緒に国、企業に解決を迫っていく」と語りました。

 支援者など327人が集った報告集会では平元薫原告団長が「国のアスベスト対策は私たちが完全勝利しないと進まないのでは。8年間の裁判で多くの原告が亡くなった。一日も早く解決が進むよう望みます」とあいさつ。全面解決への基金創設や公正判決を求める統一署名のさらなる奮闘が呼びかけられました。

 福岡地裁判決で賠償の対象から外れていた原告の男性(71)は「私たちの訴えが正しかったという感慨でいっぱいです。これから明らかになるアスベスト被害者のためにも頑張りたい」と語りました。

  事前集会には日本共産党の仁比聡平前参院議員も駆けつけ、激励挨拶しました。 (しんぶん赤旗 2019年11月12日)