全国ジェンダー・女性担当者オンライン交流会議が6月4日、党本部と都道府県をオンラインで結んで開かれました。昨年1月の第28回党大会で綱領が改定され、ジェンダー平等委員会が発足して初の全国会議です。ジェンダー平等委員会の倉林明子責任者・副委員長、山添拓、藤田文両副責任者、仁比聡平委員、坂井希事務局長らが参加。坂井氏が報告し、倉林氏がまとめを行いました。

坂井事務局長報告

 坂井氏は会議の目的について、(1)全国の積極的な努力・経験を交流してとりくみを強化する(2)悩みや疑問も出し合い、双方向で学び合う(3)中央と全国が一体で運動、選挙、党活動にとりくむ契機とする―の3点をあげました。

 「綱領にジェンダー平等を掲げた1年半で、巨大な変化のうねりを目の当たりにしてきた」と述べ、全国的な広がりを見せた「フラワーデモ」や同性婚否認は違憲とする画期的な札幌地裁判決、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになったジェンダー格差などを指摘しました。

 党中央のジェンダー平等委員会として、(1)ジェンダーをめぐる政策・理論活動(2)ジェンダー平等を求める運動への参加と推進(3)ジェンダーを綱領に掲げたことを力にした党の量的・質的建設と自己改革―の3本柱で、これまでの党の蓄積や到達を大切にしつつ、党内外の運動や理論、声をあげている人たちに学び、新しい課題に果敢に挑戦し、努力してきたと振り返りました。

 政策・理論活動として、アピール「新型コロナ対策にジェンダーの視点を」の発表、政府の第5次男女共同参画基本計画策定にあたっての党国会議員団ジェンダー平等推進委員会との連名の申し入れ、倉林責任者インタビュー「多様な性の在り方を認める社会をどうつくる LGBT差別なくす法整備を」(「赤旗」5月22日付)などをあげました。

 運動面では、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員や、森喜朗前東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の差別発言に対し、党として機敏に街頭宣伝を行ったほか、多彩なジェンダーの課題で幅広い人と交流・懇談を行ってきたと述べました。

 党の量的・質的建設と自己改革については、学習会や「集い」の講師を行い、党本部としても学習を深め、自己改革を進めることを心掛けてきたと話しました。

 党建設の課題では、この間、若い世代や女性たちが綱領に深い共感を寄せて入党し、入党自体がその人のエンパワーメント(力づけられること)になっていることを強調。また、『女性のひろば』にふれ、「魅力的な紙面、手に入れやすい値段、読めば共産党への理解と共感が深まる貴重なメディアです。ぜひ広げていきましょう」と呼びかけました。

 坂井氏は、事前に行った全国の担当者からのアンケートの特徴を報告。綱領改定を受け、幅広い共同の努力がどこでも広がっていること、党の自己改革の努力が始まり、意思決定機関に女性を増やすなどして、党に新しい風が吹き始めていることを紹介するとともに、全国に共通する悩みや疑問も出されていると指摘。交流会を学び合い、知恵を出し合う機会としたいと述べました。

経験も悩みも双方向で交流

 討論では18人の担当者が発言するとともに、全体で質疑応答も行って参加者同士が悩みや疑問も出し合い、それに努力や工夫をアドバイスするなど、双方向で実りあるものとなりました。

 「幅広い女性運動団体と協力し、『女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書』を、県議会で全会一致で採択させた」「綱領にジェンダーを掲げたことによって、党活動自体が今まで気づかなかったような問題も配慮できて生活に根差したやさしいとりくみが可能に」など、改定綱領が幅広い人たちとの共闘や自己変革に大きな力を発揮していることが生き生きと語られました。

 足を踏み出した各地の多彩なとりくみや努力は、どれも参加者の胸を打つものでした。工夫を凝らした独自のジェンダーパンフレットや女性団体が作製した「かるた」の活用、オンラインも使って地区、支部で学習を重ねている様子が報告されました。

 党内に女性幹部を増やし、意思決定の場に女性の参加を高める点では、前進とともに、ぶつかっている苦労も率直に出し合って交流されました。

 ジェンダー平等を求めるさまざまな活動を通じて党員や「赤旗」読者が増えていることが報告され、『女性のひろば』読者拡大の経験と決意が述べられました。

 東京都の担当者は、都議選勝利へ「オリンピックを中止しコロナ対策に全力を」と呼びかけていると語り、「ジェンダー平等を進め、個人の尊厳を大切にすることも大きな争点」とのべ、全国からの支援強化を訴えました。

倉林責任者まとめ発言

 倉林責任者がまとめの発言を行い「活発な討論と意見交換で、勇気と元気あふれる重要な会議になりました」と述べ、野党共闘で菅内閣を追い詰めている国会の動きを報告するとともに、次の2点の行動提起を行いました。

 一つは、当面する都議選・総選挙に向けて、ジェンダー・女性分野での条件をくみつくす大奮闘を行うことです。

 二つ目は、ジェンダー・女性分野での党勢拡大・党建設の意識的追求です。

 倉林氏は「多くのヒントを得た発言をみんなで共有し、これを力に、さらに一歩、とりくみを広げよう」と呼びかけました。

(しんぶん赤旗 2021年6月6日)